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第二章
メモ
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ふうっとため息をついた後、ミカエラは、リチャードが持ってきてくれた本に目を移す。
「これ…懐かしい。」
何冊か持ってきてくれた本の中に、ふと目についたのが、昔から父と読んでいた本だった。
「でも…これは読んだことのある本よね…リチャードが知らないとは思えないし…今更…?」
ぱらぱらと本をめくる。すると、ミカエラは、小さなメモ紙を見つけた。
「これ…」
メモに目を通すと、
【4日後 秘密の通路の先で待つ 壁を探れ レオナルド】
「…お父様…」
ミカエラは、メモを両手で抱きしめる。
まだ諦めちゃダメだ。お父様がついてる。リチャードもこの本を持ってきてくれたということは、表立っては何も出来なくても、私の力になってくれるってことだわっ!
嬉しくて泣きそうになりながら、周りを見渡す。
「壁…何かスイッチがあるのかしら。」
焦る気持ちを抑えながら、深く深呼吸して立ち上がる。メモを握りしめて、暖炉の方へ向かうとメモ紙を何度も見返した後、暖炉の中へ放り込む。
暖炉の炎を見つめ、メモが燃えたのを確認した後、また壁の方へ歩き出す。
じーっと壁を見つめて何か違いがないか隈なく見つめ、触れてみるものの、部屋は大きく、時間はあっという間に過ぎてしまう。
コツコツと足音が聞こえてきたので、慌てて椅子へ戻り、リチャードが持ってきてくれた本を開く。
ガチャガチャ ガチャン
鍵の開く音が聞こえ、ドアに目線を移すと、そこには
フレッドが立っていた。
「…フレッドお兄様…」
「やぁ、ミア。 大人しく待っていたようだね。 何をしていた? あぁ。 本を持ってきてもらったのか。 1人は寂しくなかったかい?」
ミカエラの言葉を聞く前に一方的に話しかけてくるフレッドに、少し眉間に眉を寄せる。読んでもない開いた本をパタンと閉じて、立ち上がり、背筋を伸ばして凛と佇む。
「お兄様。 私をここから出してください。 1人になった時、ずっと考えていたんです。 私は確かにみんなに隣国へ行くことをギリギリまで黙っていました。 内緒にされていたことにみんなが怒ることも分かります。 しかし、こんな監禁されるほど悪いことをしたとは思えませんっ!」
キッと睨み、フレッドに抗議するものの、フレッドはくっくっと声を押し殺すように笑っているだけだった。
笑顔のまま、ミカエラにゆっくりと歩み寄って行く。
「ああ。 愚かなミア。 それがいけなかったとなぜ分からない? 私から、離れようとしたのがそもそも間違いだとなぜ気付かない? 私は君のことを愛している。 兄妹という枠を超えて…ね。 本当は私1人でミアを愛でて、囲う予定だったんだけど、色々と1人じゃ立ち回り切れない部分があってね。 彼らと利害と思いが一致してしまった。 だから協力してもらったのさ。 まぁ、足を切断すれば私1人で事足りたのだけれど。」
「お兄様…嫌…来ないで…」
ミカエラはゆっくりと近づき、以前クラウドから聞いた足の切断の提案者が兄だという事実に恐怖を覚え、一歩ずつ後ずさる。しかしついに壁際に追い込まれ、ミカエラの背中が壁に当たるとフレッドは、目の前で青褪める妹を愛おしそうに見つめ、頬にスッと触れる。その目はもぅ、ミカエラが家族として好きだったフレッドの姿ではなかった。執着によって、狂気と化してしまったフレッドに、ミカエラは絶望する。
「これ…懐かしい。」
何冊か持ってきてくれた本の中に、ふと目についたのが、昔から父と読んでいた本だった。
「でも…これは読んだことのある本よね…リチャードが知らないとは思えないし…今更…?」
ぱらぱらと本をめくる。すると、ミカエラは、小さなメモ紙を見つけた。
「これ…」
メモに目を通すと、
【4日後 秘密の通路の先で待つ 壁を探れ レオナルド】
「…お父様…」
ミカエラは、メモを両手で抱きしめる。
まだ諦めちゃダメだ。お父様がついてる。リチャードもこの本を持ってきてくれたということは、表立っては何も出来なくても、私の力になってくれるってことだわっ!
嬉しくて泣きそうになりながら、周りを見渡す。
「壁…何かスイッチがあるのかしら。」
焦る気持ちを抑えながら、深く深呼吸して立ち上がる。メモを握りしめて、暖炉の方へ向かうとメモ紙を何度も見返した後、暖炉の中へ放り込む。
暖炉の炎を見つめ、メモが燃えたのを確認した後、また壁の方へ歩き出す。
じーっと壁を見つめて何か違いがないか隈なく見つめ、触れてみるものの、部屋は大きく、時間はあっという間に過ぎてしまう。
コツコツと足音が聞こえてきたので、慌てて椅子へ戻り、リチャードが持ってきてくれた本を開く。
ガチャガチャ ガチャン
鍵の開く音が聞こえ、ドアに目線を移すと、そこには
フレッドが立っていた。
「…フレッドお兄様…」
「やぁ、ミア。 大人しく待っていたようだね。 何をしていた? あぁ。 本を持ってきてもらったのか。 1人は寂しくなかったかい?」
ミカエラの言葉を聞く前に一方的に話しかけてくるフレッドに、少し眉間に眉を寄せる。読んでもない開いた本をパタンと閉じて、立ち上がり、背筋を伸ばして凛と佇む。
「お兄様。 私をここから出してください。 1人になった時、ずっと考えていたんです。 私は確かにみんなに隣国へ行くことをギリギリまで黙っていました。 内緒にされていたことにみんなが怒ることも分かります。 しかし、こんな監禁されるほど悪いことをしたとは思えませんっ!」
キッと睨み、フレッドに抗議するものの、フレッドはくっくっと声を押し殺すように笑っているだけだった。
笑顔のまま、ミカエラにゆっくりと歩み寄って行く。
「ああ。 愚かなミア。 それがいけなかったとなぜ分からない? 私から、離れようとしたのがそもそも間違いだとなぜ気付かない? 私は君のことを愛している。 兄妹という枠を超えて…ね。 本当は私1人でミアを愛でて、囲う予定だったんだけど、色々と1人じゃ立ち回り切れない部分があってね。 彼らと利害と思いが一致してしまった。 だから協力してもらったのさ。 まぁ、足を切断すれば私1人で事足りたのだけれど。」
「お兄様…嫌…来ないで…」
ミカエラはゆっくりと近づき、以前クラウドから聞いた足の切断の提案者が兄だという事実に恐怖を覚え、一歩ずつ後ずさる。しかしついに壁際に追い込まれ、ミカエラの背中が壁に当たるとフレッドは、目の前で青褪める妹を愛おしそうに見つめ、頬にスッと触れる。その目はもぅ、ミカエラが家族として好きだったフレッドの姿ではなかった。執着によって、狂気と化してしまったフレッドに、ミカエラは絶望する。
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