11 / 35
クリスタルに誘われる者達
バスカリアの雄はお宝をgetする
しおりを挟むFRDは頭を掻きながらゆっくりと伺うように自己紹介と提案を話しかける。
「え~っと…私はゾーンのFRDです。……敵です!……できれば今は争いたく無いんですが…いいですかねぇ?!」
当然マリアも驚いたがFRDの提案に納得していた。
共闘し、瀕死の私を最後のポーションを使ってまで助けてくれた者に、争いたく無いとまで言われたのだから。
「はい!恩を仇で返すなんてとんでもない!」
そう笑顔で答えるマリアに安心したFRDは満面の笑顔で「じゃあ宝箱開けちゃいましょー!」と言いながらマリアと共に4つの宝箱を開けた。
「……すごい!レアアイテムですね!この靴は私のスキルじゃ完全に確認できないのですが、風の加護があるみたいですよ。」
マリアは初めて異世界に入ったと同時にスキル「鑑定・中」を授かった為、ある程度の内容が分かるらしく、FRDに説明していった。
初めて異世界に入ると光の中でステータスウィンドウが現れジョブを選択するのだが、ジョブを選択し装備を決定すると、自分のステータスが浮かび上がる。その時スキル欄にごく稀だが特殊なスキルが書かれている事がある。この事を「ユニークスキル」と呼び、実はFRDも1つスキルが与えられているのだが…類い稀な彼は全く確認しないで異世界に転移したので知らずにマリアのスキルやアイテムの説明に「すごいねぇ!」や「なるほどぉ」など不思議がるマリアへ声を大きくし答えていた。
「あと、これは炎の魔石ですね。えっ…と魔力を込めると炎を放出するらしいですね、魔石の類は初めて見ますよ!後は…HPポーションとMPポーションですね。」
喜んでアイテムを触りながら鑑定しているマリアに対して、FRDは思考し声を掛ける。
「じゃあ 私は魔石とHPポーションが欲しい!その代わりその靴とMPポーションはマリアさんが貰っていいよ!どうかなぁ??」
「え!!そんな!この靴はかなりのレアアイテムですよ?どう考えてもFRDさんの方が倒した数は多いし私だって放って置けば良いのを助けて頂いているのに。」
マリアは振り返りびっくりした顔でFRDに声を大きくして返事をするが、FRDは、のほほんとした表情で受け答える。
「いやね?その靴は確かにレアだけどさ、魔石の方が私には気になってね。それに例え敵さんだとしても今後の事を考えると恩を売っておいても損はないかなぁなんてねwww。」
マリアは少しため息をつくと渋々了承した。本当は靴も魔石も全てFRDに渡したいのだが、さっきのゴブリンファイターのドロップアイテムの時に分かったのだ。彼は余り曲げる様な性格じゃないことを。
その均等に分けたゴブリンファイターのドロップアイテムと宝箱のアイテムを二人はアイテムボックス(アイテムボックスとはこれも初めて異世界に転移した時、転移者全員に与えられるスキルで手をかざし念じるだけで異空間に収納出来き、収納された物は時間が止まるので腐敗しないのだ。但し生命があるものは収納できず、許容量は大小関係なく99個まで収納できる。※これは流石に類い稀な彼でも転移者会議の説明者が目の前でやって見せたので知っている。)に収納すると二人は光に包まれ出した。
どうやらトラップクリアの為この部屋から転移される様だ。
マリアは別れの言葉を告げた。
「今回バスカリアを選んで良かったです。素敵な人に出会えたのでwwwいつかまた、その時は敵ですので斬りかかりますけどwww」
一瞬ドキッとしたFRDだが不敵な笑みをしながら答えた。
「マリアさんありがとう!けどね、まだ今回は終わりじゃないよ!」
光に包まれ二人は別々の場所へ転移されていった。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる