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クリスマスイブ 20時 決着
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「嘘っ!ヤダっ!恭くん、何で電話を切っちゃったの!?
酷いよ、酷いっ!全部、佳奈先輩の所為じゃん!!
もし、恭クンと別れる事になったら、恨んでやる!復讐してやる!
佳奈先輩の馬鹿ぁあああ~!!」
さっきまで優越感丸出しで、あんなに憎たらし態度だった真希は、恭ちゃんに浮気を知られた事にすっかり余裕を無くして、捨て台詞を吐いて駅の方へと走り去って行った。私から奪ったスマホをガンッと地面に叩きつけるのを忘れずに。
「とっくに私に復讐してるじゃん」
そう呟きながらスマホを拾う。地面に叩きつけられた私のスマホは、保護シートを貼ってあったので損傷は免れた模様。
私の所為も何も、真希が聖を寝取らなければ、恭ちゃんは真希に浮気疑惑を持つことはなかったかもしれないのに。
復讐って、既に私から彼氏を奪っているんだから、もう復讐は終わってるんじゃない?
だけど身勝手で他責思考の真希の捨て台詞も、涙声だった事を思うと胸がズキリと痛む。
性悪ビッチの真希でも、恭ちゃんを本当に好きだったのを私のは知っているから。
「・・・な、佳奈。お金を下ろしてきたから、俺、もう帰ってもいいかな?」
「はぁ?」
背後から遠慮がちに声を掛けてきた聖は、どうやら少し前から戻って来ていたらしい。
「あ、これ。お金。ちゃんと二十枚あるから!これで時計は俺の物で間違いないよな?なっ?」
聖がそろりそろりと近付いて来て、薄い札束を私の方へ差し出す。
「・・・」
「な、なんだよ!数えなくてもちゃんと二十万あるって」
聖から黙ってお金を受け取り、枚数を数える。
「・・・一枚、足りないんだけど?」
「え?あ、あれ?本当に!?おっかしいなぁ。
・・・・・。
あ!あった、あった。ハイ、これでピッタリ二十枚っと」
鞄でも財布からでもなく、ポケットの中からクシャっとなった一万円札を愛想笑いを浮かべながら聖が渡してくる。
本っ当、お金に関してセコい男だな、聖は!
ヘラヘラと笑う聖にイラっとくるけれど、もう流石に疲れた。怒る気力も無くなった。
「あ!ケーキもあるし、予約した豪華ディナー付き五万円のスイートルームが勿体ないよな。
そうだ!腹も空いたし、今から食べに行こうぜ。折角だからついでに泊まって行けば良くね?」
・・・・。
無言で肩をブンブンと振り回し、アイアンクローをキメるポーズを取りながら、大きく息を吸い込む。
「きよしぃ!!いい加減にしろぉっ!!!」
「ヒイィッ!それだけは勘弁してくれぇぇえええ」
私の怒鳴り声に、聖は両手で顔を庇う仕草になって後ずさると情けない声で逃げて行った。
そうして暗い夜道に取り残された私。それからケーキの入った箱。
何、これ?
今夜って、クリスマスイブだよね?
聖なる夜ってヤツだよね!?
なのに、何で私はこんな暗い夜道で叫ばなきゃいけないわけ?
いや、叫ばなきゃいいだけってのは同意するけれども。
叫ばずにはいられない時ってあるじゃん。
今がその時だったんだって。聖なる夜だけど。
もう、マジで疲れた。
早く家に帰りたい。
今すぐベッドに潜り込んで眠りたい。
まだケーキを食べてないけども。
・・・ん?
あれ?
今すぐ寝れるじゃん!
豪華ディナー付き一泊五万のスイートルームが、直ぐそこにあったじゃん!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読みいただきありがとうございます。
酷いよ、酷いっ!全部、佳奈先輩の所為じゃん!!
もし、恭クンと別れる事になったら、恨んでやる!復讐してやる!
佳奈先輩の馬鹿ぁあああ~!!」
さっきまで優越感丸出しで、あんなに憎たらし態度だった真希は、恭ちゃんに浮気を知られた事にすっかり余裕を無くして、捨て台詞を吐いて駅の方へと走り去って行った。私から奪ったスマホをガンッと地面に叩きつけるのを忘れずに。
「とっくに私に復讐してるじゃん」
そう呟きながらスマホを拾う。地面に叩きつけられた私のスマホは、保護シートを貼ってあったので損傷は免れた模様。
私の所為も何も、真希が聖を寝取らなければ、恭ちゃんは真希に浮気疑惑を持つことはなかったかもしれないのに。
復讐って、既に私から彼氏を奪っているんだから、もう復讐は終わってるんじゃない?
だけど身勝手で他責思考の真希の捨て台詞も、涙声だった事を思うと胸がズキリと痛む。
性悪ビッチの真希でも、恭ちゃんを本当に好きだったのを私のは知っているから。
「・・・な、佳奈。お金を下ろしてきたから、俺、もう帰ってもいいかな?」
「はぁ?」
背後から遠慮がちに声を掛けてきた聖は、どうやら少し前から戻って来ていたらしい。
「あ、これ。お金。ちゃんと二十枚あるから!これで時計は俺の物で間違いないよな?なっ?」
聖がそろりそろりと近付いて来て、薄い札束を私の方へ差し出す。
「・・・」
「な、なんだよ!数えなくてもちゃんと二十万あるって」
聖から黙ってお金を受け取り、枚数を数える。
「・・・一枚、足りないんだけど?」
「え?あ、あれ?本当に!?おっかしいなぁ。
・・・・・。
あ!あった、あった。ハイ、これでピッタリ二十枚っと」
鞄でも財布からでもなく、ポケットの中からクシャっとなった一万円札を愛想笑いを浮かべながら聖が渡してくる。
本っ当、お金に関してセコい男だな、聖は!
ヘラヘラと笑う聖にイラっとくるけれど、もう流石に疲れた。怒る気力も無くなった。
「あ!ケーキもあるし、予約した豪華ディナー付き五万円のスイートルームが勿体ないよな。
そうだ!腹も空いたし、今から食べに行こうぜ。折角だからついでに泊まって行けば良くね?」
・・・・。
無言で肩をブンブンと振り回し、アイアンクローをキメるポーズを取りながら、大きく息を吸い込む。
「きよしぃ!!いい加減にしろぉっ!!!」
「ヒイィッ!それだけは勘弁してくれぇぇえええ」
私の怒鳴り声に、聖は両手で顔を庇う仕草になって後ずさると情けない声で逃げて行った。
そうして暗い夜道に取り残された私。それからケーキの入った箱。
何、これ?
今夜って、クリスマスイブだよね?
聖なる夜ってヤツだよね!?
なのに、何で私はこんな暗い夜道で叫ばなきゃいけないわけ?
いや、叫ばなきゃいいだけってのは同意するけれども。
叫ばずにはいられない時ってあるじゃん。
今がその時だったんだって。聖なる夜だけど。
もう、マジで疲れた。
早く家に帰りたい。
今すぐベッドに潜り込んで眠りたい。
まだケーキを食べてないけども。
・・・ん?
あれ?
今すぐ寝れるじゃん!
豪華ディナー付き一泊五万のスイートルームが、直ぐそこにあったじゃん!
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
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