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クリスマスイブ 20時 対決 4
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結局、本人は上手く隠せていると思っていても、そう上手いこといくわけないって話だよ。
最初は慎重に行動し、証拠を残さないようにしていても『絶対にバレるわけがない』という過信から、ボロが出ていくものなんだろう。
浮気に全く気付いていなかった私は・・・まあ、真希と聖が関係を持つようになったのは半年前かららしいので、いずれは気がついた、はず。たぶん。
週末に出張が重なる事が多い恭ちゃんは、真希に対してずっと申し訳ないと思っていたそうだ。
半年前、相手側のミスで商談が急遽キャンセルになったので、恭ちゃんは真希の為にホテルをキャンセルして帰ることにした。
翌朝の昼には到着する夜行バスで戻って来る。こっそり帰って真希を喜ばそうと考えた恭ちゃんは、さりげなく真希の予定を聞いたらしい。会いに行って真希が不在がいなかったら無駄足になってしまうからだ。
バスは順調に昼に到着し、恭ちゃんは一人暮らしの真希の家を出張先で購入した土産を持って訪れた。けれど真希は不在だった。
家にいるとは言っていても、真希だって二、三十分ぐらいの外出ぐらいするだろう。そう思った恭ちゃんは真希のアパートの前にある公園のベンチで待っていたらしい。二時間ほど。
そこまで待って戻って来ないのなら、真希は急に予定が入ったのだろう。連絡も無しに来たのは自分の方だから、と恭ちゃんは納得して自宅へ帰ったらしい。
真希のことを疑うつもりもなかった恭ちゃんが何故、浮気を疑うことになったのかといえば、その夜に掛かってきた真希からの電話だった。
『恭クンが居なくて寂しかっただよ?でもね、恭クンはお仕事を頑張っているんだもんね。だからボク、今日はずっと家で恭クンの為にお料理の練習してたんだぁ。明日は会えるよね?今日のボクの練習の成果を見せるからね」
恭ちゃんは真希のその言葉で、初めて真希の浮気を疑ったらしい。
アパートのドアは何度かノックした。ずっと家にいたのなら気付かないはずはない。だって真希は豪邸に住んでいるわけじゃない。ごく普通の1DKの一人用アパートだ。
仮に真希が食材を買いに出掛けていたとしても、二時間も公園から真希の帰宅を待っていた恭ちゃんが気付かないはずがない。何より二時間も外出していたのならずっと家にいたというような言い方をするだろうか。
それでもまだほんの少し疑っただけ。もしかしたら真希が誇張して言っただけで、外出していた事を隠しているわけではない。そう考えて真希にそれ以上は尋ねる事もせず、けれど小さな疑惑の芽から目を逸らすのは何かが引っかかって。
それから恭ちゃんは真希と会わない休日やドタキャンすることになってしまった時に、真希のの会話の中にある矛盾を探すようになったらしい。
因みに恭ちゃんが二時間待ちぼうけだった日の外出は、聖との箱根旅行だったらしい。数日後に真希から箱根饅頭を貰っていたらしい。
くぅっ!!
この時に私が聖の浮気に気付けていたら!
この時の私は、恭ちゃんから真希の話を聞いた時に真希を庇ってしまったのだ。
真希が一目惚れから一年もアピールして付き合う事になった相手が、まさか恭ちゃんだとは思わなかった。
真希の素行は日頃から聞いていた事もあって真希が嘘を吐いていただろうこと。そしてその嘘が浮気を隠す為の嘘だということにも、確証はなくとも何となくはそうなのだろう、と気付いていたのに。
けれど二人が付き合う事になるまでの真希の頑張りを聞かされていた私は従兄弟よりも、仲良くしている職場の後輩を取ってしまったのだ。
だって真希が本当に恭ちゃんのことが好きだと思っていたから。
恭ちゃんに中々会えなくて、寂しくて当てつけのように男友達と遊んでいるだけだろう、と。
だから私が何度も忠告すれば、真希も遊ぶのを止めるんじゃないか、って。
そうすれば、『浮気はしてないと思うし、何かあったら連絡するよ』なんて、私も恭ちゃんに嘘を吐いてしまった。
もしかしたら恭ちゃんに嘘を吐いた後ろめたさから、真希にしつこく注意してたのかもしれない。
「恭ちゃん、ごめんね。私も嘘を吐いてた。真希が恭ちゃん以外の男友達と遊んでるのを知ってた。だけど真希が好きなのは恭ちゃんだったから、遊ぶのを止めるように言い続ければ問題ないって思い込もうとしてた。
だからバチが当たったみたい。真希は私の彼氏と浮気してた。今日も私の彼氏とホテルに行こうとしてたよ」
私が真希の目の前で電話をしてきた事から、恭ちゃんは予想をしていたのかもしれないけど、真希の浮気相手が私の彼氏だったと聞いて、恭ちゃんの驚く気配がスマホ越しからでも伝わってきた。
「ちょっ!恭クン、嘘だから!佳奈先輩が勝手にそう思い込んでいるだけだよっ。ボク、浮気なんか絶対してないから!彼氏と上手くいってない佳奈先輩の逆恨みで、八つ当たりで。ボクは悪くない!全部、誤解だから!」
私に言葉に慌てた真希が、私の手からスマホを奪い取って叫ぶ。
「・・・真希。明日の夜にはそっちに戻るから。そうしたらちゃんと話をしよう」
「ボク、別れ話なんか嫌だからね!絶対、絶対別れないからね!」
「佳奈、巻き込んで悪かった。今度、改めて連絡する」
プツッ。プープープー。
スマホのスピーカーから通話を終了した音が薄暗い夜道に大きく響いた。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
最初は慎重に行動し、証拠を残さないようにしていても『絶対にバレるわけがない』という過信から、ボロが出ていくものなんだろう。
浮気に全く気付いていなかった私は・・・まあ、真希と聖が関係を持つようになったのは半年前かららしいので、いずれは気がついた、はず。たぶん。
週末に出張が重なる事が多い恭ちゃんは、真希に対してずっと申し訳ないと思っていたそうだ。
半年前、相手側のミスで商談が急遽キャンセルになったので、恭ちゃんは真希の為にホテルをキャンセルして帰ることにした。
翌朝の昼には到着する夜行バスで戻って来る。こっそり帰って真希を喜ばそうと考えた恭ちゃんは、さりげなく真希の予定を聞いたらしい。会いに行って真希が不在がいなかったら無駄足になってしまうからだ。
バスは順調に昼に到着し、恭ちゃんは一人暮らしの真希の家を出張先で購入した土産を持って訪れた。けれど真希は不在だった。
家にいるとは言っていても、真希だって二、三十分ぐらいの外出ぐらいするだろう。そう思った恭ちゃんは真希のアパートの前にある公園のベンチで待っていたらしい。二時間ほど。
そこまで待って戻って来ないのなら、真希は急に予定が入ったのだろう。連絡も無しに来たのは自分の方だから、と恭ちゃんは納得して自宅へ帰ったらしい。
真希のことを疑うつもりもなかった恭ちゃんが何故、浮気を疑うことになったのかといえば、その夜に掛かってきた真希からの電話だった。
『恭クンが居なくて寂しかっただよ?でもね、恭クンはお仕事を頑張っているんだもんね。だからボク、今日はずっと家で恭クンの為にお料理の練習してたんだぁ。明日は会えるよね?今日のボクの練習の成果を見せるからね」
恭ちゃんは真希のその言葉で、初めて真希の浮気を疑ったらしい。
アパートのドアは何度かノックした。ずっと家にいたのなら気付かないはずはない。だって真希は豪邸に住んでいるわけじゃない。ごく普通の1DKの一人用アパートだ。
仮に真希が食材を買いに出掛けていたとしても、二時間も公園から真希の帰宅を待っていた恭ちゃんが気付かないはずがない。何より二時間も外出していたのならずっと家にいたというような言い方をするだろうか。
それでもまだほんの少し疑っただけ。もしかしたら真希が誇張して言っただけで、外出していた事を隠しているわけではない。そう考えて真希にそれ以上は尋ねる事もせず、けれど小さな疑惑の芽から目を逸らすのは何かが引っかかって。
それから恭ちゃんは真希と会わない休日やドタキャンすることになってしまった時に、真希のの会話の中にある矛盾を探すようになったらしい。
因みに恭ちゃんが二時間待ちぼうけだった日の外出は、聖との箱根旅行だったらしい。数日後に真希から箱根饅頭を貰っていたらしい。
くぅっ!!
この時に私が聖の浮気に気付けていたら!
この時の私は、恭ちゃんから真希の話を聞いた時に真希を庇ってしまったのだ。
真希が一目惚れから一年もアピールして付き合う事になった相手が、まさか恭ちゃんだとは思わなかった。
真希の素行は日頃から聞いていた事もあって真希が嘘を吐いていただろうこと。そしてその嘘が浮気を隠す為の嘘だということにも、確証はなくとも何となくはそうなのだろう、と気付いていたのに。
けれど二人が付き合う事になるまでの真希の頑張りを聞かされていた私は従兄弟よりも、仲良くしている職場の後輩を取ってしまったのだ。
だって真希が本当に恭ちゃんのことが好きだと思っていたから。
恭ちゃんに中々会えなくて、寂しくて当てつけのように男友達と遊んでいるだけだろう、と。
だから私が何度も忠告すれば、真希も遊ぶのを止めるんじゃないか、って。
そうすれば、『浮気はしてないと思うし、何かあったら連絡するよ』なんて、私も恭ちゃんに嘘を吐いてしまった。
もしかしたら恭ちゃんに嘘を吐いた後ろめたさから、真希にしつこく注意してたのかもしれない。
「恭ちゃん、ごめんね。私も嘘を吐いてた。真希が恭ちゃん以外の男友達と遊んでるのを知ってた。だけど真希が好きなのは恭ちゃんだったから、遊ぶのを止めるように言い続ければ問題ないって思い込もうとしてた。
だからバチが当たったみたい。真希は私の彼氏と浮気してた。今日も私の彼氏とホテルに行こうとしてたよ」
私が真希の目の前で電話をしてきた事から、恭ちゃんは予想をしていたのかもしれないけど、真希の浮気相手が私の彼氏だったと聞いて、恭ちゃんの驚く気配がスマホ越しからでも伝わってきた。
「ちょっ!恭クン、嘘だから!佳奈先輩が勝手にそう思い込んでいるだけだよっ。ボク、浮気なんか絶対してないから!彼氏と上手くいってない佳奈先輩の逆恨みで、八つ当たりで。ボクは悪くない!全部、誤解だから!」
私に言葉に慌てた真希が、私の手からスマホを奪い取って叫ぶ。
「・・・真希。明日の夜にはそっちに戻るから。そうしたらちゃんと話をしよう」
「ボク、別れ話なんか嫌だからね!絶対、絶対別れないからね!」
「佳奈、巻き込んで悪かった。今度、改めて連絡する」
プツッ。プープープー。
スマホのスピーカーから通話を終了した音が薄暗い夜道に大きく響いた。
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
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