【 本編 完結 】結婚式当日に召喚された花嫁は、余興で呼ばれた聖女、でした!?

しずもり

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【 番外編 】ざまぁ、な話。その後の話。

ルシウス 〜ガイナード公爵という人〜 1

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ナターシャの弟ルシウス視点になります。


================

「大人しく" 別邸はなれでお過ごし下さい。何人かがいますので、後でこちらに行かせますから。」


私が告げたに呆然と立ち尽くす彼女姉上にそれ以上話す事はないと別邸はなれから本邸へと戻る。



・・・・・。


・・・・・・・・・。


ハハハッ!

言ってやった!とうとう言ってやったぞ!!


ルシウス・ガイナード、改め、ルシウス・クレルは、会えば嫌味を言い、虐げ、暴力を振るってきた姉ナターシャ、、、戸籍上の姉というだけで血の繋がりは無いアレに長年の恨みを晴らすかのようにガイナード家の真実を告げてやった。


ちょっと足が震えていたような気がするけれど、ビシッと、それでいて良い感じに上から目線で言えたんじゃないだろうか?
小心者の僕にしては、だ。




実は元姉とは長い付き合いでは無い。
僕が七歳になる頃には隣国の貴族学院に父上によって留学させられていた。だからそれまでの数年間、一緒に暮らしていただけだ。


そのたった数年の間に散々虐められた。トラウマにならなかったのが不思議なくらい虐められた。それも意味の分からない理由で。


何、あの人。使用人たちにはチヤホヤされて、父上には全てを許容されて我儘放題、贅沢三昧だった癖に、何で僕を虐めていた訳?


兎に角、僕は外面だけは良くて屋敷内では暴君で性格が最悪な元姉が苦手だった。


苦手な主な理由はそれが大部分を占めていたんだけど、もう一つ、苦手な理由があった。


あの人、何かを沢山引き連れてない?


僕、高位貴族の割には魔力量も少ないし使える魔法も殆ど無い人間なんだよ。
まぁ、それはぶっちゃけ高位貴族の血筋じゃ無かったからなんだけどさ。


だけど属性は一応、光属性だったらしくて
見えないし祓う事も出来ないから何も対処出来なかったんだけど。


子どもの頃は分からなかった、というかその頃の彼女にはそれ程はいなかったんだと思う。
それが成長するにつれて色々とやりたい放題で好き勝手していたあの人は恨みを買いまくっていたんじゃないかなぁ。


だって年々、あの人の背後がヤバかった。だから休暇で帰国した際に顔を合わせれば、何度も忠告したんだよ。

" 日頃の行いには気をつけろ!"

" 巫女見習いなんだから神殿で真面目に修行しろ!"

ってね。

なんで自分自身が光属性持ちなのに気付かないんだろう?
もしかして背後だったから自分じゃ見えなかった?

元姉にそんな口を聞くのは結構、勇気のいる事だったんだけど、会う度に言わずにはいられない程だったんだよ。


元姉がああいう性格になったのは、公爵の甘やかしがあったのは確かだけれど、元々の気質ってのもあったんだろうね。

幼少の頃は元姉の言う通り、彼女だけが溺愛されて僕は疎まれているのだと思っていた。

屋敷の中で公爵と顔を合わすのは食事の時だけ。それも僕の席は二人から離れた場所に設けられていて、勿論、公爵が僕に話しかける事なんて一度も無かった。

いつも元姉が楽しそうに公爵に話しかけ、それに微笑みを浮かべて公爵が頷き返すのをただ眺めているだけ。

だから七歳で隣国の貴族学院の寄宿舎に入れられると知った時は、とうとう捨てられたのだと思った。元姉も嬉しそうにそう言っていたからね。


だけど不思議な事に隣国に行くと、公爵はせっせと僕に会いに来た。それも沢山のお土産を持って。


何がなんだか分からなかったし、公爵は口下手なのか、会話が弾む事はないのに嬉しそうに目を細めて、緊張して上手く話せない僕の頭を撫でながら微笑んでいた。

話す僕の頭を撫でていた、ってどんだけ距離が近かったか?

驚く事に公爵は僕の話を聞くときには僕を膝の上に乗せて、僕の瞳を覗き込むように話を聞いていたんだ。
元姉でさえ、膝の上に乗せた事なんて無かったのに。


その事がちょっと嬉しくて公爵が会いに来てくれるのが楽しみになってきた頃に、母国から留学して来た侯爵令息に" ガイナード公爵家の闇 "を聞かされた。

『君、本当にガイナード公爵の息子?

人畜無害そうに見えて、実は裏で悪どい事してるのかい?』


二人になった時、そう言われて" なんて失礼な人なんだ。"と本当にビックリした。

僕のその表情を見て聞いてきた本人も狼狽えていた。
どうやら彼の家はガイナード公爵家に恨みがあったようで、その話を聞いていた彼は子どもの僕ならば、と思ったらしい。

だけど僕が余りにも平々凡々で、だけど、とカマをかけたつもりだったのだとか。

僕の正体を暴いて学院で孤立させるつもりが、間抜け面になっただけの僕を見てだと焦ったらしい。


だが、彼は間違ってはいなかった。僕は間違いなくガイナード公爵令息である、と言えば彼は今度こそ心底驚いていた。

いや、そんなに僕ってガイナード一族らしくなかったの?
まぁ、実際に一族の者ではなかったんだけどね。


それから彼は僕に詫びてくれ、" 何故、絡んできたのか?"と問う僕に、渋りながらも" ガイナード一族 "について教えてくれた。


・・・・ガイナード一族、怖っ!!


王国の闇?影の支配者?

何、それ!?

放っておいていいんですか、王族の皆様方!


我が家の話なのに恐怖で怯える僕を呆れながら苦笑いしていた彼は、一年の留学予定だったのに半年で学院を去って行った。

何故?


僕は会いに来た公爵に半年で去ってしまった彼の事を" 大親友だ!彼が居なくなって寂しい。"と必死に公爵に訴えた。

その後、送り主の無い手紙が届いた。便箋には一言、" ありがとう。"の文字。


どういう経緯で彼の家が伯爵に降爵したのかは知らないけれど、一時は" 爵位剥奪は確実 "だったそうだ。
彼、僕の事を恨んでないかな?
僕も国に戻って来たし今度会いに行ってもいいかな?

あ、でも僕はもう公爵令息ではなくてクレル男爵だった。爵位的にダメだろうか。


あぁ、元姉の話から随分と話が逸れてしまったな。

僕は結局、ガイナード公爵の嫡男として育てられたが、の事は何一つ知らなかった。

ガイナード一族の頂点である公爵家の嫡男としてと判断された?


と思わなくも無かったけれど、そうではない事を知ったのは母国でとあった事も知らず、まさかの元姉の結婚式にも呼ばれず、その事さえも知らずに呑気に隣国の貴族学院を卒業後、その上の大学院に通っていた時だった。

そう賢くもない僕が大学院なんぞに通っていたのも公爵の指示だった。
どうやら公爵は僕を徹底的にに置いて置きたかったらしい。


ある日、一通の手紙が公爵から届いた。内容は" 国に戻って来い。"のただ一言。

貴族の手紙って簡潔に書くのが普通なの?

" 一時的に帰国しろ。"なのか、" 荷物まとめて引き上げてこい。"なのかも分からず、ノロノロと荷物をまとめていると今度は封筒が二通来た。公爵の方は封筒ではなく小包と言った方が正しいな。

もう一通は王家からだった。

マジか!王家から僕宛に手紙を貰うなんて初めてなんだけれど!
あ、僕に手紙をくれる人なんて今まで公爵と彼がくれただけだった。少し悲しくなりながら、王家から来た手紙を最初に開く。


" ルシウス・ガイナードをクレル男爵家当主とする。"


・・・・僕の母国って便箋いらなくない?もう一筆箋で良くない?


意味が分からないけれど、どうやら僕は国に戻らなければいけないらしい。公爵から届いた小包は超分厚い本か何か。

貴族年鑑かと思ってパラパラと捲れば、ビッシリと何かが書いてある。

母国まで船で二週間。一人の船旅は暇だらけだ。" 船に乗ってから読めばいいや "、と読むのを後回しにした事を後で後悔した。


何アレ。呪物とか何かじゃないの?

いつもの船酔いが吹っ飛ぶぐらいに気持ち悪くて怖くて体調を崩してしまった。
本当に僕って小心者だ。


そのだった。

二、三十年分の。


日記を書くなんて三日坊主が当たり前な僕としたら、驚異の年月が書かれた日記それは、公爵の心の内が赤裸々に綴られていた。


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ここまでお読み下さりありがとうございます。

一話の予定が文字数が多くなってしまったので二話に分割する事にしました。

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