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ソフィー 2
しおりを挟むゲストルームと思われる部屋で、お互い無言のままソフィーは水色のドレスに着替えさせられて乱れた髪を手早く整えられる。
元の部屋に戻ると、苦虫を噛み潰したような表情をしたガルバ伯爵とその隣には彼を羽交締めにしていた男性が並んでソファに座っていた。よく見ると二人は顔立ちもよく似ていた。
老けているかいないかの違いぐらい?
あぁ、でもガルバ伯爵様は目の下に大きな隈があってすごく疲れた顔をしている。不眠症なのかしら?
折角、見目の良いお顔をしていらっしゃるのに、疲れた表情で実際の年齢よりも老けて見られているんじゃないかな。
一度離れて気持ちを落ち着ける時間があったからか、ソフィーはガルバ伯爵の顔をまじまじと見る。それからハッとして貴族令嬢としてはマナー違反なのだと気付いて慌てて下を向いた。
「お前は、何故、あんな物を着て此処に来た?」
ガルバ伯爵の低く唸る様な声にもう一度前を向いたが、怒りを向けられる理由が分からず小首を傾げながら質問に答えた。
「?公爵家の方々に用意して頂いたドレスを着て来たのですが、何か問題があったのでしょうか、ガルバ伯爵様。」
「何っ?私は契約書にちゃんと明記してあった筈だぞ。何を考えているんだ、ディバイン公爵家はっ!」
急に大きな声を出すガルバ伯爵に乱暴に腕を掴まれ事を思い出してビクリと肩が揺れる。
「どういう事なんだ?ディバイン公爵家?それにガルバ伯爵?一体、君は何なんだ?」
隣に座っていた男性が眉根を寄せながら私に問いただしてくる。
ガルバ伯爵の事を『父さん』と呼んでいたから息子さんなんだよね?もしかして後妻として入る事を何も聞いていなかったのかしら?
「名乗りもせず失礼しました。ディバイン公爵の娘のソフィアと申します。
ガルバ伯爵様との婚姻が決まり、既に支度金も受け取っております。今日も伯爵家の迎えの馬車に乗りこちらへ参りました。」
私は座ったまま挨拶をした。貴族教育も淑女教育なども一切受けていない私はカーテシーの仕方も挨拶のマナーも分からない。無理にそれっぽい事をしても恥を晒すだけだ。私に出来る精一杯の丁寧な言い方をしてみる。
「ディバイン公爵の娘?・・・ソフィア嬢?
・・・それは随分とまぁ。ディバイン公爵家は結婚詐欺でもするつもりか?
あぁ、でも嫁に出した相手の事も知らないのだから、行き当たりバッタリの物乞いだった、という事かな。」
ガルバご子息の冷たい視線に奮い立たせた勇気が萎んでいく。
「先ず初歩的な間違いを正そう。君は私の隣にいるこのジジイをガルバ伯爵様と呼んだが、コレは前ガルバ伯爵だ。もうだいぶ前に爵位を私に譲っている。
社交界には最低限出席しているつもりだったが、まさかディバイン公爵家が知らないとは思いもしなかったよ。」
ガルバご子息の父親に対するぞんざいな物言いは『前伯爵には苦労させられている』という事を態度で表しているのかしら?
でも父親の事をジジイ、だとかコレとか言いながらも、その口調に不快さは感じられない。寧ろこれはディバイン公爵家への牽制を込めて言っているのかも。
「では貴方様がガルバ伯爵様になるのですか?」
現ガルバ伯爵と名乗られて、聞かされていた話と違う事に今度はソフィーが戸惑う番だった。
ソフィア様だけでなく、直接会っている筈のディバイン公爵も思い違いをしていたの?そんな事ってあり得る?
「それに私の妻は健在だ。後妻などという話が出る訳が無い。
いいかい、君。ここまでは理解したね?
では次は私から君に質問だ。
君はソフィアと名乗った。ディバイン公爵家のソフィア嬢は一部の者からは『ディバイン公爵家の至宝』と呼ばれているそうだね。何でも見事な金髪に空色の瞳と愛らしい容姿をしているとか。
けれど君は見事な金髪とは言い難い上に、その髪色は良く言ってピンクゴールドのようだが?」
確かにディバイン公爵家の至宝はソフィア様を言い表す言葉だ。私は別にソフィア様のフリをするつもりは無い。勿論、リア姉さんの名前を騙る事なんて絶対にしたく無かった。
彼らはどうして私たちが公爵家を離れても従順に彼らの言い付けを守ると思っていたのだろう。
私たちが弱くて言い返す事も出来無い虐げられ続けていた人間だから大丈夫だと思った?
けれどリア姉さんはさっさとディバイン公爵家を出て行ったじゃない。
だったら私だって大人しく命令に従う訳が無いと、どうして気付かなかったのかしら?
それだけ私たち舐めていたんだろうな。傲慢なあの母娘ならともかく、実の娘を居ない者として扱ってきた公爵ぐらいは恨まれているかも、と考えても良さそうだったのにね。
私もリア姉さんも彼を父親と思った事は無い。居ない者と思っていたのはお互い様だ。
けれど、私はリア姉さんを売った公爵に怒っていた。初めてした父親面が『後妻として嫁げ。』だなんてあんまりだ。
だから、これは私からのディバイン公爵家への意趣返しだ。
「私もディバイン公爵の娘でソフィアという名です。
私は公爵とディバイン公爵家で働いていた使用人との間に出来た子です。認知などされていませんので公爵の娘ではありますが家名は名乗れませんけど。
たぶん私の事を知っているのは公爵だけかと思います。そして私も公爵が後妻とその娘を迎え入れるまでは、ソフィアと呼ばれていたのです。
公爵家のご令嬢と同じ名前を名乗る訳にはいかない、とソフィーと名乗る様に亡き母に言い付けられていました。」
嘘の様な本当の話だけれど、私の名前は母にソフィアと名付けられていた。王都の役場にはソフィアで登録されているので、今でも正式な名はソフィアなのだ。
けれど何の因果か、後妻としてやってきたキャロライン様の娘もソフィアという名前だった。そしてその日から私はソフィーとなった。
「その話を信じろ、と?」
「信じなくても構いません。私はディバイン公爵家に恩も義理もありません。だから嘘を吐く必要は無いと判断して、この事を初めて話しました。」
私が公爵の娘だという証も証言してくれる人も居ない。公爵が認める訳もないから公爵から名誉毀損で訴えられたら捕まる可能性もあるかも知れない。
けれどそんな事は知ったこっちゃ無い。私が気にするのは私が公爵の娘だとリア姉さんが知ってしまった時に受け入れてもらえるかどうかだけだ。
「・・・・ディバイン公爵家には複雑な事情がある事は分かったよ。
しかし、最初から君が伯爵家に来る事になっていたのかい?」
「それは、、、公爵はディバイン公爵家の第一子のアメリア様を嫁がせる予定でした。」
「ディバイン公爵家の第一子、、、、アメリア?君と似たような年齢だと仮定してうちの息子とも年が近い筈だが、その名に聞き覚えが無いのだが?」
現ガルバ伯爵が困惑したように首を捻っている。
「アメリアお姉様は前妻のマーガレット様が亡くなられてから、公爵には居ない者として扱われて使用人以下の扱いを受けていました。
当然、学校にも行かせて貰えず、デビュタントにも参加出来ませんでした。公爵にとってはソフィア様だけが娘という事なのでしょう。」
私の言葉に現ガルバ伯爵は大きく顔を歪めて黙り込んでしまった。そしてチラリと前ガルバ伯爵に視線を向けると今度は大きくため息を吐いた。
「・・・・成る程。漸く話が見えてきた。
はぁ~、しかしどうして父さんの所には定期的に娘を差し出す親が居るんでしょうね。
しかも父さんが私に爵位を譲って自領に引き篭もり始めた途端に、ですよ?
父さん、また借金の肩代わりをして女性を引き取る契約をしたのですね?」
「・・・・娘を差し出すから援助をしてくれ、と頼んできた、気がする。」
前ガルバ伯爵様が少し気まずそうにして縮こまるように体を小さくして、そっぽを向きながら答える。
また、という事はこういう事が何度もあったの?
思い描いていた展開とは掛け離れてきていると思いながら、ガルバ伯爵様と前伯爵様の会話に集中する。
「・・・あのですねぇ、父さん。我が家が陰で何と噂されているのか知っていますか?
女狂いの前伯爵が金に困った貴族から娘を買っては亡き妻を殺した女への恨みを解消している、ですよ?
差し出された娘たちの行く先を探して送り出している私の身にもなって欲しいですよ。
夜会でもこっそりと娘を売ろうと話を持ちかけてくる阿呆が少なからず居るんですからね。」
現ガルバ伯爵の言葉に、リア姉さんに対するソフィア様の狙いが分かってピリッと怒りが湧き上がる。
どうせ公爵はお金を多く引き出させる事にしか興味がなく、その後のリア姉さんの扱いになど気にもしていなかったのだろう。
「だが、私は何か善行を積まないと死んでも許される事は無いんだ。シャーロットが殺されたのは私の所為なのにっ。」
「はぁっ。善行を積みたいなら教会や孤児院にでも寄付をすれば良いじゃないですか。
大体何度も言っていますが、母さんが亡くなったのは父さんの所為では無いんですよ。
確かに結婚前の父さんは女にダラシが無いクズだったかも知れません。けれど、それも母さんと出会って改心したのでしょう?
関係のあった全ての女性と縁を切ってから母さんと婚約をした、間違い無いですよね?」
「クズ、、、。そうだ、シャーロットと出会って私は本当の愛を知ったんだ。」
息子の容赦無い言葉に傷ついたような表情を浮かべた前伯爵様は、それでも大切な何かを思い出したかのように本当の愛と言った瞬間に目を輝かせた。
どうしよう。本当に話が予想外の方向に進んでいるわ。
「はぁ、まぁ、本当の愛だとかはどうでも良いのです。
母さんが夜会で白いドレスの女に殺されたのは、犯人の身勝手な行動の所為ですよ。
だってその女は勝手に貴方を自分の恋人だと思っていたのでしょう?付き纏いも酷くて相手の家にも何度も抗議をしていた、とも聞いています。
だから父さんが何十年も自分の所為だとうじうじジメジメと罪悪感を抱く必要は無いんです。」
うわぁ~、物凄く重い話になってきた気がするのだけど。そしてガルバ伯爵様はご自分のお父様に本当に容赦が無い。
でも、白いドレスを用意したのはソフィア様だ。伯爵の様子だと、契約した時に『白いドレスは着るな。』と警告してあった、という事よね?
彼女は契約書を見ていない?それとも態と私が伯爵の不興を買う様に仕向けたのかしら?
ソフィア様は私とは殆ど接触は無かった筈なのに、何の目的があってそんな嫌がらせをしたの?
けど、その割には私に『学校へ通え。』というような事を遠回しに言っていた気がするのだけど、どうして?
「けどっ、でも私が女性に誠実に接していたらシャーロットは死ななくて済んだだろうっ?私はっ、、、、私が!」
前伯爵様は両手で顔を覆って小刻みに震えだした。前伯爵様の過去は知らないけれど、奥様を失ってずっと後悔と悲しみに苛まれた毎日を送っていたのね。
現ガルバ伯爵様はこれも何度も繰り返されている事なのか、ヤレヤレという表情で首を横に軽く振っている。
何だか前伯爵様がお気の毒で、何かを言わなきゃ、という気持ちになる。
「あのっ、私の大事な人が言っていたのですが、『負の感情に振り回され続けると自分の事さえ分からなくなる。』って。
奥様を亡くされて辛いのは分かります。私も唯一の肉親を早くに亡くしていますから。
でも、ただ後悔と悲しみで心を一杯にしているだけじゃ、きっとその気持ちから抜け出せないままだと思います。
忘れろ、と言っている訳じゃありません。ただ悲しみ続けるのではなくて、故人を悼む気持ちは持ち続けて、故人の好きだった事、やりたかった事を代わりに前伯爵様がして差し上げたら如何でしょう?
だって愛し合っていたのでしょう?きっと奥様も喜ばれる思います。
私はそういう気持ちはまだよく分からないですけど、でも大事な人が幸せになってくれると嬉しいしいつもそれを願っています。」
私には恋や愛なんてまだよく分からない。唯一知っているのは家族への愛だけだ。違いがあるのかどうかも分からないけど、相手の幸せを願うのは一緒なんじゃないのかな。
あぁっ!私よりも何十年と生きている前伯爵様に偉そうに言ってしまったけど、不敬だとか言われないよね?
前伯爵はゆっくりゆっくりと顔を上げて私の方を見ている。怒ってはいない感じだけれどちょっと驚いた顔をしていた。
「シャーロットの好きだった事?やりたかった事、だと?」
ボソリと呟いて前伯爵はまた黙ってしまった。小娘が偉そうな事を言って気分を害しちゃった?
あぁっ!もしかしてっ!
「あっ、えっと、その、奥様の好きな事とか、もしかして昔過ぎて忘れちゃいましたっ?
そ、そういう時は自分の好きな事とかやりたい事して見せるのもいいと思います。
きっと前伯爵様のそういう姿を見るのも楽しんでくれるかとっ!
あぁっ!前伯爵様がお歳を召しているから、忘れっぽそうとかは思ってはいなくて、ですね。
そのっ、えっと、えっと、、、。」
言った先から失礼な事を言っている気がして焦って余計に何を言っているのか分からなくなってしまう。そのままワタワタとしていると、前に座る二人の方から笑い声が聞こえてきた。
あれ?ガルバ伯爵様だけじゃなくて前伯爵様も笑っていらっしゃる?
「ふははっ。君が一生懸命に父の事を思って言ってくれたのは分かるよ。私も君と似たような事を言ってきたつもりだったけど、君の言葉の方が父には響いたようだよ?」
ガルバ伯爵は笑いながらそう言って隣の前伯爵様を見た。
「ははは、私もそこまで忘れっぽくはないつもりだよ。
けれどシャーロットがこの世から居なくなってしまった事ばかりに囚われて、私は生前の彼女がどんな事で喜び、何が好きだったか、なんてもうずっと考えた事も無かった。
ましてや彼女が何を願っていたかなんて、、、。」
前伯爵様はそう言って少し寂しそうに笑っていた。
「本当に。これでよく私は真っ当に育ったと思いますよ。
まぁ、まだまだ時間はあるんです。
母さんの好きだった事や物をゆっくり思い出しながら余生を過ごしてみれば良いんじゃないですか?」
「そうだな。そうしてみるよ。」
二人は互いに視線を合わせて頷きあっている。
良かった、前伯爵様はこれで健康的なお顔に戻られるかも知れないわ。このままじゃ病気になりそうなぐらいに不健康そうな顔をしていたもの。
「さぁ、父の事が片付いたら次は君の事をどうするか考えようか?」
「えっ?私の事、ですか?」
不意に話を振られて思わず聞き返した。そう言えば私はリア姉さんの代わりにガルバ伯爵の後妻になるよう差し出されたんだった。実際は前伯爵様に、だったけれど。
でも、今までの話からすると前伯爵様はそんなつもりはカケラもなくて、実際はガルバ伯爵様が今後の行く先を探してくれていたのよね?
「仕事先を斡旋して欲しい?それとも嫁ぎ先を紹介して欲しいかい?さぁ、君はどうしたい?」
私の方にしっかりと向き直ってガルバ伯爵様が訪ねてくる。
私のやりたい事?
まだよく分からないけれど、私もリア姉さんみたいになれるかな?
夢だとか目標だとか深く考えた事は無かったけれど、、、、。
私は深く息を吸って姿勢を正してから答えた。
「私、、、私はこれからの人生を自由に好きに生きてみたいです。」
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ここまでお読み下さりありがとうございます。
この後はそれぞれの後日談的な話を書く予定です。(軽めに)
文字数によって一人一話づつにするか、三人まとめて一話にするかを考え中で、1~3話で完結します。
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