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ガーナの街にて
黒いモヤは無事に消えました。
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2階は二部屋あり、レコアさん夫婦の寝室とロイ君の部屋、それにトイレがあった。
どちらの部屋も埃が溜まっているぐらいで部屋自体はキチンと整理整頓されていて比較的綺麗な部屋だった。
但し、レコアさんの部屋は黒いモヤが結構棲みついていらっしゃる。この状態でレコアさんに生活魔法をかけても意味がないだろう。
だから、先ずはレコアさんにロイ君の部屋で待機して貰って、レコアさんの部屋の黒いモヤを掃除した方が良いと判断した。
レコアさんは胸の辺りにベッタリと黒いモヤがついている所為か、補助無しで歩くのは難しいらしい。何とかベッドから体を起こす事は出来ても一人では歩けそうにない。
ロイ君と私で二人がかりで支えるにはロイ君の身長がまだ低いので難しい。そうなると私一人で支えないといけないけれど万が一、支えきれずに倒れたら大変だ。
だからレコアさんに肩を貸す時に背中を支える様に手を回し、こっそりと『綺麗にな~れ!』と心の中で念じてみた。
すると後ろから押し出されて出てきた感じでレコアさんの胸の辺りから黒いモヤがザザッと出てきた。
おぉぅっ、黒いモヤって体の中にまで入り込んでくるんだね。
体の中に入ってくるって何だか怖いな。そりゃ体調も悪くなるよねぇ。
レコアさんは『あ、あら?』と何か体調の変化を感じたようだけれど、まだ黒いモヤは残っている。それでも先程よりは体調が良くなったようで、私一人の補助で歩ける様になってロイ君の部屋まで歩く事が出来た。
ロイ君にはお母さんについているようにお願いしてから、レコアさんの寝室に戻って扉を閉める。
目がある様には見えないけれど、さっきの様子を見ていたかのように私が部屋に戻ってくると、大量の黒いモヤは私を避ける様に勢い良く部屋の隅にバッと大移動した。
ふっふっふ、黒いモヤ君たち、そんな所に逃げても無駄なんだよ?
掃除をしながら何となく『綺麗にな~れ!』と言って黒いモヤを消滅させていた少し前の私とは違うのだ。
今はこの『綺麗にな~れ!』が生活魔法の浄化だという事を私は自覚しているのだ。
なんでもそうだと思うけれど、何となくしていた時と自覚を持ってしている時では効果に違いが出てくる、、、気がする。個人的に。
だからこの『綺麗にな~れ!』は少し前とは効果の強さが違うのだ、、、たぶん。
一人で黒いモヤに向かってドヤ顔かましている姿は他人から見たら十分怪しい。けれど誰にも見られていないなら問題無し、だ。
私は胸の前で両手を祈る様に結んで強く強く願った。
綺麗にな~れ!!
その瞬間、何処かへと移動するのではなく、黒いモヤはシュッと消えて無くなった。
気のせいかも知れないけれど、部屋の中も少し明るくなった様な、、、。
確認の為、部屋をグルリと見回して黒いモヤが無くなっている事を確認する。
「良しっ、黒いモヤは全部消えたね。じゃ、部屋の掃除とシーツを交換してしまおう!」
昨日、入手したばかりの魔法鞄からお馴染みの掃除道具を一式出すと病人を待たせているので手早く掃除を済ませた。
「あらっ、何だか部屋が明るくなったみたい。
やだわ、そんなに薄汚れていたのかしら?恥ずかしいわ。」
レコアさんは普段、綺麗好きなのか几帳面なんだろうな。さっきも気にしていたし。
「そんな事ないですよ。きっと空気の入れ替えをしたからそう見えるんだと思いますよ。」
さっきまで部屋は黒いモヤだらけでした、と言っても何の事か分からないだろう。
「それではベッドに横になって楽にして下さい。服の上から少し胸の辺りに触れますけれど脱ぐ必要はありませんしすぐ済みますから。」
そう言って私には見えている黒いモヤにソッと手を近づけた。しぶとく残っていた黒いモヤを逃がさない様に囲い込む様に両手を近づけて『綺麗にな~れ!』としつこく念じた。
リカルドさんやロイ君の手に付いていた様に黒いモヤは体の弱っている部分や怪我をしている部分に纏わりついてくるのだろう。
レコアさんから黒いモヤは見えなくなったけれど、きっとレコアさんは胸の辺りに何か病気を患っているのだと思う。それが肺炎のようなモノなのか腫瘍のようなモノなのかは私には分からない。
「えーと、レコアさん。少しは症状が軽くなったりといった感覚は有りますか?」
「えぇ、えぇ。私の体に貴女の手が触れた時、とても温かい何かに包まれたような感じがしたの。
それからスーッと胸のつかえが取れたような感覚になって大分楽になったわ。ありがとうございます。」
「お母さんっ!」
先程よりも一人で楽に体を起こした後、レコアさんは驚いた顔をした後に嬉しそうに言った。ロイ君はその様子を見て嬉しそうにレコアさんに抱きついている。
「少しでも楽になったのなら良かったです。後はお医者様の管轄だ思いますのでもう一度診てもらって下さい。」
「えぇ、本当にありがとうございます。でもどうやってお礼をしたらいいのかしら。」
少し申し訳なさそうにレコアさんは言うけれど、私は治癒師でも医者でも無いからねぇ。これぐらいでお礼なんてして貰ったらダメでしょ。病気の原因とか病名が分かる訳ではないしね。
「気持ち程度体が楽になっただけでしょう。それぐらいの事でお礼なんて不要ですよ。念の為、明日、もう一度、様子を見に来ますね。」
この後、一階を綺麗に片付けて帰るつもりだけれど、黒いモヤが復活すると大変なので明日また様子を見に来よう。
「リオ姉ちゃん、ありがとうっ!また明日来てくれるのっ?」
ベッドから起き上がったレコアさんにヒシッとしがみついていたロイ君は振り返って私を見ると嬉しそうに笑顔でお礼を言ってくれる。
「うん、また明日ね。」
この笑顔が見られて良かったなぁ~。
実は何も出来なかったらどうしよう、と内心は不安だったんだよね。少しでも役に立てたなら良かった、良かった。
どちらの部屋も埃が溜まっているぐらいで部屋自体はキチンと整理整頓されていて比較的綺麗な部屋だった。
但し、レコアさんの部屋は黒いモヤが結構棲みついていらっしゃる。この状態でレコアさんに生活魔法をかけても意味がないだろう。
だから、先ずはレコアさんにロイ君の部屋で待機して貰って、レコアさんの部屋の黒いモヤを掃除した方が良いと判断した。
レコアさんは胸の辺りにベッタリと黒いモヤがついている所為か、補助無しで歩くのは難しいらしい。何とかベッドから体を起こす事は出来ても一人では歩けそうにない。
ロイ君と私で二人がかりで支えるにはロイ君の身長がまだ低いので難しい。そうなると私一人で支えないといけないけれど万が一、支えきれずに倒れたら大変だ。
だからレコアさんに肩を貸す時に背中を支える様に手を回し、こっそりと『綺麗にな~れ!』と心の中で念じてみた。
すると後ろから押し出されて出てきた感じでレコアさんの胸の辺りから黒いモヤがザザッと出てきた。
おぉぅっ、黒いモヤって体の中にまで入り込んでくるんだね。
体の中に入ってくるって何だか怖いな。そりゃ体調も悪くなるよねぇ。
レコアさんは『あ、あら?』と何か体調の変化を感じたようだけれど、まだ黒いモヤは残っている。それでも先程よりは体調が良くなったようで、私一人の補助で歩ける様になってロイ君の部屋まで歩く事が出来た。
ロイ君にはお母さんについているようにお願いしてから、レコアさんの寝室に戻って扉を閉める。
目がある様には見えないけれど、さっきの様子を見ていたかのように私が部屋に戻ってくると、大量の黒いモヤは私を避ける様に勢い良く部屋の隅にバッと大移動した。
ふっふっふ、黒いモヤ君たち、そんな所に逃げても無駄なんだよ?
掃除をしながら何となく『綺麗にな~れ!』と言って黒いモヤを消滅させていた少し前の私とは違うのだ。
今はこの『綺麗にな~れ!』が生活魔法の浄化だという事を私は自覚しているのだ。
なんでもそうだと思うけれど、何となくしていた時と自覚を持ってしている時では効果に違いが出てくる、、、気がする。個人的に。
だからこの『綺麗にな~れ!』は少し前とは効果の強さが違うのだ、、、たぶん。
一人で黒いモヤに向かってドヤ顔かましている姿は他人から見たら十分怪しい。けれど誰にも見られていないなら問題無し、だ。
私は胸の前で両手を祈る様に結んで強く強く願った。
綺麗にな~れ!!
その瞬間、何処かへと移動するのではなく、黒いモヤはシュッと消えて無くなった。
気のせいかも知れないけれど、部屋の中も少し明るくなった様な、、、。
確認の為、部屋をグルリと見回して黒いモヤが無くなっている事を確認する。
「良しっ、黒いモヤは全部消えたね。じゃ、部屋の掃除とシーツを交換してしまおう!」
昨日、入手したばかりの魔法鞄からお馴染みの掃除道具を一式出すと病人を待たせているので手早く掃除を済ませた。
「あらっ、何だか部屋が明るくなったみたい。
やだわ、そんなに薄汚れていたのかしら?恥ずかしいわ。」
レコアさんは普段、綺麗好きなのか几帳面なんだろうな。さっきも気にしていたし。
「そんな事ないですよ。きっと空気の入れ替えをしたからそう見えるんだと思いますよ。」
さっきまで部屋は黒いモヤだらけでした、と言っても何の事か分からないだろう。
「それではベッドに横になって楽にして下さい。服の上から少し胸の辺りに触れますけれど脱ぐ必要はありませんしすぐ済みますから。」
そう言って私には見えている黒いモヤにソッと手を近づけた。しぶとく残っていた黒いモヤを逃がさない様に囲い込む様に両手を近づけて『綺麗にな~れ!』としつこく念じた。
リカルドさんやロイ君の手に付いていた様に黒いモヤは体の弱っている部分や怪我をしている部分に纏わりついてくるのだろう。
レコアさんから黒いモヤは見えなくなったけれど、きっとレコアさんは胸の辺りに何か病気を患っているのだと思う。それが肺炎のようなモノなのか腫瘍のようなモノなのかは私には分からない。
「えーと、レコアさん。少しは症状が軽くなったりといった感覚は有りますか?」
「えぇ、えぇ。私の体に貴女の手が触れた時、とても温かい何かに包まれたような感じがしたの。
それからスーッと胸のつかえが取れたような感覚になって大分楽になったわ。ありがとうございます。」
「お母さんっ!」
先程よりも一人で楽に体を起こした後、レコアさんは驚いた顔をした後に嬉しそうに言った。ロイ君はその様子を見て嬉しそうにレコアさんに抱きついている。
「少しでも楽になったのなら良かったです。後はお医者様の管轄だ思いますのでもう一度診てもらって下さい。」
「えぇ、本当にありがとうございます。でもどうやってお礼をしたらいいのかしら。」
少し申し訳なさそうにレコアさんは言うけれど、私は治癒師でも医者でも無いからねぇ。これぐらいでお礼なんてして貰ったらダメでしょ。病気の原因とか病名が分かる訳ではないしね。
「気持ち程度体が楽になっただけでしょう。それぐらいの事でお礼なんて不要ですよ。念の為、明日、もう一度、様子を見に来ますね。」
この後、一階を綺麗に片付けて帰るつもりだけれど、黒いモヤが復活すると大変なので明日また様子を見に来よう。
「リオ姉ちゃん、ありがとうっ!また明日来てくれるのっ?」
ベッドから起き上がったレコアさんにヒシッとしがみついていたロイ君は振り返って私を見ると嬉しそうに笑顔でお礼を言ってくれる。
「うん、また明日ね。」
この笑顔が見られて良かったなぁ~。
実は何も出来なかったらどうしよう、と内心は不安だったんだよね。少しでも役に立てたなら良かった、良かった。
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