美化係の聖女様

しずもり

文字の大きさ
32 / 66
ガーナの街にて

黒いモヤは無事に消えました。

2階は二部屋あり、レコアさん夫婦の寝室とロイ君の部屋、それにトイレがあった。


どちらの部屋も埃が溜まっているぐらいで部屋自体はキチンと整理整頓されていて比較的綺麗な部屋だった。

但し、レコアさんの部屋は黒いモヤが結構棲みついていらっしゃる。この状態でレコアさんに生活魔法綺麗にな~れをかけても意味がないだろう。

だから、先ずはレコアさんにロイ君の部屋で待機して貰って、レコアさんの部屋の黒いモヤをした方が良いと判断した。


レコアさんは胸の辺りにベッタリと黒いモヤがついている所為か、補助無しで歩くのは難しいらしい。何とかベッドから体を起こす事は出来ても一人では歩けそうにない。

ロイ君と私で二人がかりで支えるにはロイ君の身長がまだ低いので難しい。そうなると私一人で支えないといけないけれど万が一、支えきれずに倒れたら大変だ。


だからレコアさんに肩を貸す時に背中を支える様に手を回し、こっそりと『綺麗にな~れ!』と心の中で念じてみた。


すると後ろから押し出されて出てきた感じでレコアさんの胸の辺りから黒いモヤがザザッと出てきた。


おぉぅっ、黒いモヤって体の中にまで入り込んでくるんだね。


体の中に入ってくるって何だか怖いな。そりゃ体調も悪くなるよねぇ。


レコアさんは『あ、あら?』と何か体調の変化を感じたようだけれど、まだ黒いモヤは残っている。それでも先程よりは体調が良くなったようで、私一人の補助で歩ける様になってロイ君の部屋まで歩く事が出来た。



ロイ君にはお母さんについているようにお願いしてから、レコアさんの寝室に戻って扉を閉める。


目がある様には見えないけれど、さっきの様子を見ていたかのように私が部屋に戻ってくると、大量の黒いモヤは私を避ける様に勢い良く部屋の隅にバッと大移動した。


ふっふっふ、黒いモヤ君たち、そんな所に逃げても無駄なんだよ?


掃除をしながら何となく『綺麗にな~れ!』と言って黒いモヤを消滅させていた少し前の私とは違うのだ。


今はこの『綺麗にな~れ!』が浄化クリーンだという事を私はしているのだ。


なんでもそうだと思うけれど、何となくしていた時と自覚を持ってしている時では効果に違いが出てくる、、、気がする。個人的に。


だからこの『綺麗にな~れ!』は少し前とは効果の強さが違うのだ、、、たぶん。


一人で黒いモヤに向かってドヤ顔かましている姿は他人から見たら十分怪しい。けれど誰にも見られていないなら問題無し、だ。


私は胸の前で両手を祈る様に結んで強く強く願った。



綺麗にな~れ!!


その瞬間、何処かへと移動するのではなく、黒いモヤはシュッと消えて無くなった。


気のせいかも知れないけれど、部屋の中も少し明るくなった様な、、、。


確認の為、部屋をグルリと見回して黒いモヤが無くなっている事を確認する。


「良しっ、黒いモヤは全部消えたね。じゃ、部屋の掃除とシーツを交換してしまおう!」


昨日、入手したばかりの魔法鞄ポシェットからお馴染みの掃除道具を一式出すと病人を待たせているので手早く掃除を済ませた。


「あらっ、何だか部屋が明るくなったみたい。
やだわ、そんなに薄汚れていたのかしら?恥ずかしいわ。」


レコアさんは普段、綺麗好きなのか几帳面なんだろうな。さっきも気にしていたし。


「そんな事ないですよ。きっと空気の入れ替えをしたからそう見えるんだと思いますよ。」


さっきまで部屋は黒いモヤだらけでした、と言っても何の事か分からないだろう。


「それではベッドに横になって楽にして下さい。服の上から少し胸の辺りに触れますけれど脱ぐ必要はありませんしすぐ済みますから。」


そう言って私には見えている黒いモヤにソッと手を近づけた。しぶとく残っていた黒いモヤを逃がさない様に囲い込む様に両手を近づけて『綺麗にな~れ!』としつこく念じた。


リカルドさんやロイ君の手に付いていた様に黒いモヤは体の弱っている部分や怪我をしている部分に纏わりついてくるのだろう。


レコアさんから黒いモヤは見えなくなったけれど、きっとレコアさんは胸の辺りに何か病気を患っているのだと思う。それが肺炎のようなモノなのか腫瘍のようなモノなのかは私には分からない。


「えーと、レコアさん。少しは症状が軽くなったりといった感覚は有りますか?」


「えぇ、えぇ。私の体に貴女の手が触れた時、とても温かい何かに包まれたような感じがしたの。
それからスーッと胸のつかえが取れたような感覚になって大分楽になったわ。ありがとうございます。」


「お母さんっ!」


先程よりも一人で楽に体を起こした後、レコアさんは驚いた顔をした後に嬉しそうに言った。ロイ君はその様子を見て嬉しそうにレコアさんに抱きついている。


「少しでも楽になったのなら良かったです。後はお医者様の管轄だ思いますのでもう一度診てもらって下さい。」


「えぇ、本当にありがとうございます。でもどうやってお礼をしたらいいのかしら。」

少し申し訳なさそうにレコアさんは言うけれど、私は治癒師でも医者でも無いからねぇ。これぐらいでお礼なんてして貰ったらダメでしょ。病気の原因とか病名が分かる訳ではないしね。


「気持ち程度体が楽になっただけでしょう。それぐらいの事でお礼なんて不要ですよ。念の為、明日、もう一度、様子を見に来ますね。」


この後、一階を綺麗に片付けて帰るつもりだけれど、黒いモヤが復活すると大変なので明日また様子を見に来よう。


「リオ姉ちゃん、ありがとうっ!また明日来てくれるのっ?」


ベッドから起き上がったレコアさんにヒシッとしがみついていたロイ君は振り返って私を見ると嬉しそうに笑顔でお礼を言ってくれる。


「うん、また明日ね。」


この笑顔が見られて良かったなぁ~。


実は何も出来なかったらどうしよう、と内心は不安だったんだよね。少しでも役に立てたなら良かった、良かった。










あなたにおすすめの小説

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。 第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。 生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。 その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。 「加護縫い」 (縫った布に強力な祝福を込められる) 「嘘のほころびを見抜く力」 (相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする) を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。 さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王子が近付いて来て……?

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね