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ゲームは進行中
新たな交流イベント発生!!
トンッ!
生け垣から飛び出してきた何かは、勢いの割にはぶつかった時の衝撃はそれほどでもなかった。だけど驚いて反射的に逃げようと体が動いた瞬間だったので、そのまま何かと一緒によろけて尻もちをついてしまった。
アンッ!
私の膝の上には焦茶色の毛がふわふわしている生き物が乗っていた。
「え?何これ?可愛い・・・」
私の手のひらぐらいの顔に大きな黒い瞳の生き物は・・・犬?それとも猫?
両手で抱きしめたら、すっぽりと隠れてしまうぐらい小さい。やっぱり猫、かな?
焦茶色の生き物をじっと見ていたら、尻尾をバタバタさせながら、私の胸元に足をかけて私の顔に向かってよじ登ろうとしてきた。今までどこにいたのかは知らないけど、汚れている足のせいで私の制服がどんどんと汚れていく。
困ったなぁ・・・。
べろんっ
「きゃっ」
頬を舐められて声を上げたら、私の声に驚いたみたいで、ころんっ、と転がって膝の上に着地した。すごく変な形で転がったから怪我していないか心配になる。恐る恐る頭を撫でてみると、べろんっ、と手を舐められた。
はっ、はっ、と息を荒くして舌をだらしなく出しているけれどこれが普通なの?
「・・・ーク!どこ・・・」
私の膝の上で寛ぎ始めた生き物をどうすれば良いのか分からなくて困っていたら、小さな声で何かを言いながら、誰かが近付いて来る気配がした。
「きゃっ!・・・あなた!」
後ろからやって来た人は、座り込んでいる私に驚いて声を上げて立ち止まった。
「あ、あの・・・」
顔だけ動かして、後ろを振り返ったら、胸元に私と同じ色のリボンをしている女生徒だった。ということは同級生ということだ。でも同じクラスの子以外は誰が誰だか分からない・・・。
それは相手も同じだったのかも?
目は合ったけれどお互い黙ったまま・・・。
アンッ!
「ルーク!」
「え?この子、あなたの?」
「あっ!違っ・・・」
彼女は確かに私の膝の上の生き物の名前を呼んだはずなのに、汚れた私の制服を見た途端、彼女は踵を返して寮の方へと逃げるように走り去って行ってしまった。
「えぇ?どうして?」
どう見てもこの子の事を知っていそうだったのに。
「取り敢えず、寮に連れて帰って寮母さんに聞いてみれば良いかな」
私の腕の中でバタバタと手足を動かしている生き物を抱えながら立ち上がったところ、今度は中庭の方から足音が聞こえてきた。
今度は体ごと振り返ってみたら、男子生徒が驚いた顔をして立っていた。
「っ!」
その男子生徒は知っている人だった。
ウィルフレッド・デルモンテ公爵令息様。
私がこの学園に編入した時に事務室まで案内してくれた人。
そして私のノートが破られているのを見て声を掛けてくれた人。
「君は・・・なぜ、ここに?それにその犬は」
「えっ?!この子が犬なんですか?」
相変わらず腕の中で落ち着かないこの生き物が犬なの?
思わず顔を下に向けたら、べちっ、と尻尾が顔に当たった。
「あの、持ち方が・・・」
デルモンテ公爵令息様に遠慮がちな声で言われて腕の中の犬を見たら、いつの間にか頭が下を向いていて逆立ちをしているような体勢に変わっていた。
「あ、だから尻尾が顔に当たったんだ」
「いや、だから、その。ちょっとその子を貸して?ちょっと失礼するよ」
犬を抱きしめるように抱えていたから、貸して、と言われても、どうやって渡せば良いのかが分からない。まごまごしていたら、彼が私のすぐ目の前まで近付いて、犬を下からすくい上げるように両手を犬の足の付け根辺りに入れて持ち上げた。
「あ、そういうふうに掴めば良かったんですね」
「掴む・・・まあ、そうだね」
私がそう言ったら、なんだか変な表情をされてしまったけれど、犬はデルモンテ公爵令息様の手をべろべろと舐め回している。
「随分と人懐っこい犬だね。・・・この仔犬は、その君の?」
「いえ。今、ばったり、と。その生け垣から飛び出して来たんです。あの、仔犬という事は、この犬はまだ子どもという事ですか?」
トマスは犬にも犬種によって、大きさが違うと言っていた。どうして一目みて、この犬が子どもだって分かったんだろう?
「え?見れば分かると思うけど・・・?まさか、君。もしかして犬を初めて見たの?」
「あ。やっぱり犬を初めて見たなんて、おかしい、ですかね?」
デルモンテ公爵令息様もアマンダたちみたいに驚いた顔をしているので、やっぱりこの歳まで犬を見た事がないのはおかしいのだろう。恥ずかしくなって下を向いた時ーー。
「私を襲った犬が見つかったんですって!?」
甲高い声とともに、寮の方から人がやって来るのが分かった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読みいただきありがとうございます。
「いいね」やエールでの応援もいつもありがとうございます。
生け垣から飛び出してきた何かは、勢いの割にはぶつかった時の衝撃はそれほどでもなかった。だけど驚いて反射的に逃げようと体が動いた瞬間だったので、そのまま何かと一緒によろけて尻もちをついてしまった。
アンッ!
私の膝の上には焦茶色の毛がふわふわしている生き物が乗っていた。
「え?何これ?可愛い・・・」
私の手のひらぐらいの顔に大きな黒い瞳の生き物は・・・犬?それとも猫?
両手で抱きしめたら、すっぽりと隠れてしまうぐらい小さい。やっぱり猫、かな?
焦茶色の生き物をじっと見ていたら、尻尾をバタバタさせながら、私の胸元に足をかけて私の顔に向かってよじ登ろうとしてきた。今までどこにいたのかは知らないけど、汚れている足のせいで私の制服がどんどんと汚れていく。
困ったなぁ・・・。
べろんっ
「きゃっ」
頬を舐められて声を上げたら、私の声に驚いたみたいで、ころんっ、と転がって膝の上に着地した。すごく変な形で転がったから怪我していないか心配になる。恐る恐る頭を撫でてみると、べろんっ、と手を舐められた。
はっ、はっ、と息を荒くして舌をだらしなく出しているけれどこれが普通なの?
「・・・ーク!どこ・・・」
私の膝の上で寛ぎ始めた生き物をどうすれば良いのか分からなくて困っていたら、小さな声で何かを言いながら、誰かが近付いて来る気配がした。
「きゃっ!・・・あなた!」
後ろからやって来た人は、座り込んでいる私に驚いて声を上げて立ち止まった。
「あ、あの・・・」
顔だけ動かして、後ろを振り返ったら、胸元に私と同じ色のリボンをしている女生徒だった。ということは同級生ということだ。でも同じクラスの子以外は誰が誰だか分からない・・・。
それは相手も同じだったのかも?
目は合ったけれどお互い黙ったまま・・・。
アンッ!
「ルーク!」
「え?この子、あなたの?」
「あっ!違っ・・・」
彼女は確かに私の膝の上の生き物の名前を呼んだはずなのに、汚れた私の制服を見た途端、彼女は踵を返して寮の方へと逃げるように走り去って行ってしまった。
「えぇ?どうして?」
どう見てもこの子の事を知っていそうだったのに。
「取り敢えず、寮に連れて帰って寮母さんに聞いてみれば良いかな」
私の腕の中でバタバタと手足を動かしている生き物を抱えながら立ち上がったところ、今度は中庭の方から足音が聞こえてきた。
今度は体ごと振り返ってみたら、男子生徒が驚いた顔をして立っていた。
「っ!」
その男子生徒は知っている人だった。
ウィルフレッド・デルモンテ公爵令息様。
私がこの学園に編入した時に事務室まで案内してくれた人。
そして私のノートが破られているのを見て声を掛けてくれた人。
「君は・・・なぜ、ここに?それにその犬は」
「えっ?!この子が犬なんですか?」
相変わらず腕の中で落ち着かないこの生き物が犬なの?
思わず顔を下に向けたら、べちっ、と尻尾が顔に当たった。
「あの、持ち方が・・・」
デルモンテ公爵令息様に遠慮がちな声で言われて腕の中の犬を見たら、いつの間にか頭が下を向いていて逆立ちをしているような体勢に変わっていた。
「あ、だから尻尾が顔に当たったんだ」
「いや、だから、その。ちょっとその子を貸して?ちょっと失礼するよ」
犬を抱きしめるように抱えていたから、貸して、と言われても、どうやって渡せば良いのかが分からない。まごまごしていたら、彼が私のすぐ目の前まで近付いて、犬を下からすくい上げるように両手を犬の足の付け根辺りに入れて持ち上げた。
「あ、そういうふうに掴めば良かったんですね」
「掴む・・・まあ、そうだね」
私がそう言ったら、なんだか変な表情をされてしまったけれど、犬はデルモンテ公爵令息様の手をべろべろと舐め回している。
「随分と人懐っこい犬だね。・・・この仔犬は、その君の?」
「いえ。今、ばったり、と。その生け垣から飛び出して来たんです。あの、仔犬という事は、この犬はまだ子どもという事ですか?」
トマスは犬にも犬種によって、大きさが違うと言っていた。どうして一目みて、この犬が子どもだって分かったんだろう?
「え?見れば分かると思うけど・・・?まさか、君。もしかして犬を初めて見たの?」
「あ。やっぱり犬を初めて見たなんて、おかしい、ですかね?」
デルモンテ公爵令息様もアマンダたちみたいに驚いた顔をしているので、やっぱりこの歳まで犬を見た事がないのはおかしいのだろう。恥ずかしくなって下を向いた時ーー。
「私を襲った犬が見つかったんですって!?」
甲高い声とともに、寮の方から人がやって来るのが分かった。
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