捨てられ令嬢は屋台を使って町おこしをする。

しずもり

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イケアの街と面倒事

よくある話のつづき

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翌朝、昨日のモヤモヤを引きずりながら、朝食を食べに向かうと天使なサミュエル君もミリアさんの隣にちょこんと座っていた。

昨夜、腹黒っぽい人と話してたから、本当に癒されるわっ。


クリスは何故だか、ニヤニヤと悪い笑顔で機嫌が良さそうだった。

対照的に、昨日とは打って変わってロイドさんが、何やら悩ましそうな、寝不足の様な顔つきで何かを言いたげに私を見てくる。


夜に何があったんだろう?

それでもサミュエル君の存在に、今朝の食事は味を感じて美味しく頂けました。

心のモヤモヤをさっさと払いたかったので、食後はクリスに昨夜の話を聞こうと部屋に突撃した。


「~と、言う訳でピレネー一家は命を狙われた訳だ。」


「はぁ?ロイドさんはどうでもいいけど、ミリアさんと天使のサミュ君を狙うなんてサイッテー!!馬鹿か、バカ犬か!

自分勝手過ぎるし、トール村の原因もそのバカ犬ロイド兄のせいじゃん。頭禿げろっ!」


どこに居るか知らないし、もう禿げ上がっている人かも知れないけど、窓に向かって叫んでおいた。


天使を手にかけようとするなんてっ、万死に値するわ。


「ぶふっ、ロイドアイツはどうでも良いんだ?」


おぅっ、笑いの沸点が低いクリスの、吹き出した笑い顔を久しぶりに見たな。


クリス、ロイドさんの事を相当嫌っているなぁ。まぁ、私も微妙に苦手。

馬車でご一緒してた時は、普通に人当たり良さそうな笑顔で、いい人そうに見えていたんだけどね。それがいきなり後ろ盾がどうとか、貼り付けた嘘臭い笑みを浮かべて喋る人に変わってた。


「私の後ろ盾が、とか言っていたのは何だったの?」


「あ~、それは、ティアナが元貴族令嬢だったってのに気づいたみたいで、平民としてやっていけるのか、心配になったらしいぞ。」


いや、絶対違くない?


一見、人に興味なさそうで、強引にクリスをピレネー家の揉め事に巻き込む事がきる人が、平民になった他人の女の心配する?


でもしつこく聞いても答えてくれそうにないな。一先ず、誤魔化されておくか。


「で、クリスは具体的に何をするの?」


「それを今、聞きに行こうとしてたんだよ。」


「あ、私も一緒に聞きに行くよ!クリスが依頼を受けている間の事もあるしね。」


そうなんだよね。クリスに依頼していたけど、『じゃあ、私は何もしなくていいの?』とかその場合、私は関係ない人間になるから、ここを出て、どこかの宿に滞在した方が良いの?とか決めないといけない事がある。だからクリスと一緒に聞いた方が早いでしょ。



2人でロイドさんが居る執務室に向かうと、ロイドさんにとても良い笑顔でソファに座るように促された。出来る執事のセバスさんが私たちが座るタイミングで、サッと紅茶が私たちの前に置かれた。


すごっ!本当、ここの使用人たちって何者?


「クリス殿、ティアナ嬢には説明は?」


「・・・ざっと。」


クリスは相変わらずロイドさんには素っ気ない。


「分かりました。クリス殿には護衛をお願いしたい、と伝えてあります。但し、最近はなるべく外出を控えているので、四六時中、私に張りついている必要はありません。

まぁ、いかにも護衛です、という姿も相手の警戒を強くしてしまう可能性もあります。

そこでクリス殿には、執事見習いで雇用した事にして、この邸で過ごして頂こうとかと思っています。」


確かに執事見習いなら、クリスの容姿を見れば違和感はないだろうし、警戒もされないかもしれないわね。


でも、それじゃあ、あまり護衛の意味無くない?


「あぁ、勿論ティアナ嬢には我が家の客という事で、ここにずっと滞在して頂こうと思っています。

その方がクリス殿も安心でしょう。もし外出したい場合はクリス殿か、我が家の者と一緒に行動して頂いた方がいいでしょう。

買い物などは我が家御用達の商人もおりますので、邸に呼んでくれて構いませんよ。セバスかミリアに声をかけて下さい。」


「ありがとうございます。えっと、私は平民ですし、ティアナ嬢ではなく普通にティアナと呼んで下さい。」


何かね、ティアナ嬢って呼ばれる度に、含みのある言い方に聞こえるのよねぇ。それに貴族だったころは元々、私をティアナ嬢なんて殆ど呼んでくれる人も居なかったし、そもそも狭い行動範囲で生きてきてたしね。


「相手が仕掛けくるまで待つだけなのか?邸の警備強化は勿論しているんだろう?」


「勿論。但し、新しく使用人や警備の人数を今、雇うリスクは避けたかったので、万全とは言えないかも知れません。警備が手薄になっていた場所や邸の周辺などの見直しはしっかりとやったつもりです。」


「あの~、今回、馬車を襲うという話はどうやって知ったのですか?」



ルードはどうやら、闇カジノで知り合った冒険者崩れのゴロツキに依頼した様です。別邸で彼らが酔ってポロリと洩らしたのを耳にした者からの情報です。」


ぼかしているけど、別邸にロイドさんの手の者が居るって事か。



「でも、また襲ってきたところでルード男爵自ら、でなければ捕まえられないのではないですか?」



「そうですね。横領とかで引っ張れれば楽なんですが、領主としての仕事は、他の物に丸投げにしていますからね。

兄の代わりに捕まるような事は避けたいので、闇カジノ以外で他に違法な事に手を出していないか、今探らせているところですよ。」


闇カジノかー、コレも出入り自体、違法なんだけどね。闇カジノを運営している組織って、後ろに貴族がいそうよね。それなりに元手がなければ、始められないだろうし、いざと言う時のコネも無ければすぐに潰されてしまうもの。

後ろに居るのは下手したら高位貴族かも知れない。遊んでいるのも貴族ばかりだからねぇ。余程の事がなければ捕まえられないだろうな。


んー、そうなるといつまでイケアここに滞在する事になるか、見当が付かないなぁ。とりあえずあまり外出が出来ないなら、屋台の修理と商売に必要な物の準備を始めようかな。


あれ、もしかして私、クリスに言う事をきかせる為の、人質って訳ではないんだよね?








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