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嫌がらせ その1 真相究明
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「は!?何を言っているのだ。現にお前が破いた教科書は目の前にあるだろうが!」
一瞬、呆気に取られた顔をしたアルフリート様は私の目の前に破れた教科書を突き出して言った。
違う!そうじゃないの、アルフリート様っ。
「違います。存在しないとはそういう意味では無いのです。この学園では、紙の教科書を使った授業は行っていないのです。」
私はこの学園の生徒なら知っているはずの事を改めて言った。周囲の先生方も卒業生たちもウンウンと頷いています。
そりゃそうよね。だって入学当初からそうだったのよ?
「「あっ!」」
ヨーデル子爵令息とデリヒ男爵令息が同時に声を上げ、制服の左胸ポケットの辺りに付けているブローチに手をやった。やっと気が付いたか。
アリスさんはその様子をキョトンとして見ています。その意味に本当に思い当たらない様ですわね。1年間、何をしていらっしゃったのでしょう?
「ん?・・・んあぁっ!?」
ギルバート様が更に数秒遅れてブローチの意味に気づいたようです。それでも反応を見るからに随分と使用していなかったみたいね。
「この学園では22年前のとある騒動から紙の教科書とノートの使用を中止したのです。
ですから現在、この学園でそのような教科書が存在する事は無いのです。」
そうなんだよね~。22年前の騒動の原因のイジメの一つ『教科書やノートを破られたり隠されたりした』という話を受けて、その数年後にはペーパーレス化されたのよ。
入学する際に生徒たちが受け取るブローチは特殊な魔石を使用する魔道具だ。専用の机にブローチをセットすると、机の左側半分には授業内容が表示され、右側にはノートになる。そしてノート部分には特殊なペンを使って書くとブローチに記録されるという仕組みになっている。
勿論、家でも勉強出来る様に薄い板のような専用魔道具を使ってブローチをセットすれば同じ様に使用出来るようになっているんだよね。
「ん、ん?という事はアリスは自主的に教科書を持ってきていたのだな。」
そんな訳あるかぁー!!
あ、アリスさんが私の言葉で顔色を悪くしていたのに、アルフリート様の発言でパァーっと明るい表情になった。いや、それで納得する人はこの会場には居ないよ?
「サッと見ただけですが、その教科書は3年生程度の内容になっておりますわよ?」
適当な教科書をつかって破いたのでしょうねぇ。私のツッコミに言葉を無くす2人。
「いや、ミレーヌの嫌がらせはそれだけじゃないだろう?
アリスを学園の中庭にある池に突き飛ばして池に落としただろ?訓練帰りの俺がびしょ濡れのアリスを見つけたんだ。しっかりこの目で見たんだぞ!」
急に割って入ったのは助け舟のつもりでしょうか?いや、船底に穴の空いた舟では助からないと思うの。
ギルバート様・・・・。筋肉好きの脳筋マッチョは脳の記憶の引き出しをどこに捨ててきてしまったのでしょうね。
周囲の卒業生の顔を見てみなさいよ。『それ、お前が言うか?』という顔をしているわよ?私もハッキリと大声で言いたい。
ねぇ、貴方がそれを言っちゃうの?
「訓練帰りと言う事は中庭の睡蓮の池、という事で合っていますか?」
盛大なツッコミを入れたいところだけどここは我慢しなくちゃ。なるべく穏便に話を進めるのよ。私への誤解が解ければアルフリート様たちもきっと矛を収めてくれるでしょう。
罰は受けるでしょうけれど、今ならまだ最小限の罰で済むかも知れないもの。
「勿論そうだ。いつも俺はそこを通るからな。
俺が中庭まで来た時にアリスがびしょ濡れで泣いていたんだよ。
何故、泣いているのか?中々言わなかったんだが、やっと聞き出してみればミレーヌに突き飛ばされた、と言うじゃないか。
ミレーヌ、お前一体どうしちまったんだよ。お前、そんな意地の悪い事するようなヤツじゃなかったじゃないか。」
私はどうもこうもしておりません。ギルバート様こそ、記憶を何処へやってしまったのよ。
どうでもいいけれど幼馴染とは言え、婚約者でもなんでもない貴方がこの場で私を呼び捨てなのはどうかと思うわね、ギルバート様。
一瞬、呆気に取られた顔をしたアルフリート様は私の目の前に破れた教科書を突き出して言った。
違う!そうじゃないの、アルフリート様っ。
「違います。存在しないとはそういう意味では無いのです。この学園では、紙の教科書を使った授業は行っていないのです。」
私はこの学園の生徒なら知っているはずの事を改めて言った。周囲の先生方も卒業生たちもウンウンと頷いています。
そりゃそうよね。だって入学当初からそうだったのよ?
「「あっ!」」
ヨーデル子爵令息とデリヒ男爵令息が同時に声を上げ、制服の左胸ポケットの辺りに付けているブローチに手をやった。やっと気が付いたか。
アリスさんはその様子をキョトンとして見ています。その意味に本当に思い当たらない様ですわね。1年間、何をしていらっしゃったのでしょう?
「ん?・・・んあぁっ!?」
ギルバート様が更に数秒遅れてブローチの意味に気づいたようです。それでも反応を見るからに随分と使用していなかったみたいね。
「この学園では22年前のとある騒動から紙の教科書とノートの使用を中止したのです。
ですから現在、この学園でそのような教科書が存在する事は無いのです。」
そうなんだよね~。22年前の騒動の原因のイジメの一つ『教科書やノートを破られたり隠されたりした』という話を受けて、その数年後にはペーパーレス化されたのよ。
入学する際に生徒たちが受け取るブローチは特殊な魔石を使用する魔道具だ。専用の机にブローチをセットすると、机の左側半分には授業内容が表示され、右側にはノートになる。そしてノート部分には特殊なペンを使って書くとブローチに記録されるという仕組みになっている。
勿論、家でも勉強出来る様に薄い板のような専用魔道具を使ってブローチをセットすれば同じ様に使用出来るようになっているんだよね。
「ん、ん?という事はアリスは自主的に教科書を持ってきていたのだな。」
そんな訳あるかぁー!!
あ、アリスさんが私の言葉で顔色を悪くしていたのに、アルフリート様の発言でパァーっと明るい表情になった。いや、それで納得する人はこの会場には居ないよ?
「サッと見ただけですが、その教科書は3年生程度の内容になっておりますわよ?」
適当な教科書をつかって破いたのでしょうねぇ。私のツッコミに言葉を無くす2人。
「いや、ミレーヌの嫌がらせはそれだけじゃないだろう?
アリスを学園の中庭にある池に突き飛ばして池に落としただろ?訓練帰りの俺がびしょ濡れのアリスを見つけたんだ。しっかりこの目で見たんだぞ!」
急に割って入ったのは助け舟のつもりでしょうか?いや、船底に穴の空いた舟では助からないと思うの。
ギルバート様・・・・。筋肉好きの脳筋マッチョは脳の記憶の引き出しをどこに捨ててきてしまったのでしょうね。
周囲の卒業生の顔を見てみなさいよ。『それ、お前が言うか?』という顔をしているわよ?私もハッキリと大声で言いたい。
ねぇ、貴方がそれを言っちゃうの?
「訓練帰りと言う事は中庭の睡蓮の池、という事で合っていますか?」
盛大なツッコミを入れたいところだけどここは我慢しなくちゃ。なるべく穏便に話を進めるのよ。私への誤解が解ければアルフリート様たちもきっと矛を収めてくれるでしょう。
罰は受けるでしょうけれど、今ならまだ最小限の罰で済むかも知れないもの。
「勿論そうだ。いつも俺はそこを通るからな。
俺が中庭まで来た時にアリスがびしょ濡れで泣いていたんだよ。
何故、泣いているのか?中々言わなかったんだが、やっと聞き出してみればミレーヌに突き飛ばされた、と言うじゃないか。
ミレーヌ、お前一体どうしちまったんだよ。お前、そんな意地の悪い事するようなヤツじゃなかったじゃないか。」
私はどうもこうもしておりません。ギルバート様こそ、記憶を何処へやってしまったのよ。
どうでもいいけれど幼馴染とは言え、婚約者でもなんでもない貴方がこの場で私を呼び捨てなのはどうかと思うわね、ギルバート様。
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