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罰則と処遇
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「先ず最初にミレーヌ・シルフィード嬢、本来ならば卒業生たちを、そして貴女の門出を祝う日にこのような事態になった事、本当に申し訳なかった。」
学園長が私に向かって小さく頭を下げて謝罪した。
「いえ、このような事が起こるとは誰もが思っていなかった事だと思います。ですから仕方のなかった事だと思いますわ。」
本当に、アル様たち以外は。
「そう言ってもらえると学園としては有り難いが、だからこそ今日の騒動については厳罰に処すつもりだ。」
学園長はそう言って、今度はアルたちに向き直った。
「アルフリート殿下、このような事態になり誠に残念です。ギルバート君も殿下を止める立場であった筈だ。
君たちは揃いも揃って学園の校則を知らないばかりか、基本的な学園の事柄についても把握していなかった事に私を始め教師一同、驚きを隠せなかったよ。」
学園長が本当に残念そうな声で言った。本当にまさかあそこまで校則は疎か学園の事を知らないとは思わなかっただろう。
アルたちだって毎日学園に通い試験を受け合格し、今日、卒業生として祝われる予定だったのだから。
流石にアルたちも気まずそうにしている。
「まぁ、この様な事態になってしまえばそれも今更だろう。では話を先に進めるとしよう。
先程、シルフィード公爵令嬢が言った通り、我が校には独自の校則があり違反をした場合に罰則が設けられている。
アルフリート殿下たちの行った行為が数々の違反を犯している事は、流石に理解されていると思いますが、そう考えて宜しいですかな?」
「むっ、た、確かに我が校にその様な校則があった事は理解した。しかし ー 。」
「理解して下さったようで何よりです。」
学園長はこれ以上、アルの言葉を聞きたくない、とばかりに言葉を遮って話を進めるつもりみたいね。
まぁ、これ以上、違反を重ねさせるのは学園長としても本位ではないのでしょう。
アルの方はこのような校則があった事は理解したけれど、納得はしていない、という感じが表情に出ている。アリスさん以外はただ黙って俯いているだけ。
アリスさんも納得していないような顔をしているけれど、こちらは思い通りに事が進まなかったという表情ね。罰則が気にならないのかしら?
「本当に数々の違反を犯している事から退学でもおかしくは無いのだが、シルフィード公爵令嬢はそこまでお望みかな?」
えぇ~、なんか私、試されている感じ?それとも確認しただけかな?
「いえ、確かに校則違反を重ねているかとは思いますが、そこまでは望んでおりません。」
本当のところ、一発退場の退学になっている内容ではあるのよ。でも、アリスさんは兎も角、アルたちは今日卒業する筈だったのに、流石に退学ではこの3年間が無駄だった事になってしまうと思うの。どれだけ実のある学校生活だったかは置いとくけど。
「分かりました。先ず、誰にでも過ちを犯す事はあるでしょう。学生という未熟な身であれば余計に。
だから『婚約破棄』『真実の愛』など言ってはいけないという校則については、弾みで言ってしまう可能性も含め2回までは3日から2週間程度の停学処分を言い渡している。」
学園長の言葉に子爵と男爵の令息コンビがさっと指で数える素振りをしている。きっと自分達の言動を思い出しているのね。
「あぁ、だが、加えて学校行事の場で婚約破棄宣言をしたというのも当人だけでなく、一緒に行った者も罰則を受ける事になるのを忘れずに。」
学園長が子爵と男爵令息たちの方を向いて言うと2人は顔に絶望の表情を浮かべた。
その時、ギルがポツリと呟いた。
「あれ、俺たちは今日で卒業だよな?じゃあ、停学なんて関係無いんじゃねえの?」
その言葉に子爵令息たちは嬉しそうな顔になる。
ギル、黙れ!本当に空気を読んで?
学園長が最初に私に退学を望むかどうかを聞いたのを覚えている?
今日、卒業するはずの生徒の退学を望むのかを聞いたのよ?
「ギルバート君、君はその短絡的思考が今回の騒動に加担する事になったのをもう忘れたのか?もう少しよく考えてから発言するように心掛けなさい。」
学園長が呆れた顔でギルを見るけれど本当にそうよ。学園長が何故、この場で発言しているのかを考えれば分かる事じゃない。
「アルフリート・ガルド、ギルバート・ギレアム、ジョセフ・ヨーデル、ルシウス・デリヒ。そして2学年に在籍中のアリス・デリル。
君たち5人は卒業生たちの為の卒業パーティーを『婚約破棄宣言』などという馬鹿げた理由で台無しにした。
そして数々の校則違反を犯した事はこの会場に居る者全てが目撃者である。寄って違反の事実は皆が認めるものだ。
先ず4人の卒業予定者ついては罰則規定の記載に『卒業生が卒業式及びパーティーで違反を犯した場合、卒業は取り消しとなり留年扱いとなる』という追記で記載されている。
よって君たち4人は卒業取り消しとなる。そして在校生のアリス・デリル、君には色々尋ねたい事もあるが、今回の件では3ヵ月の停学処分の上、同じく留年とする。」
学園長の言葉で子爵令息たちはヘナヘナと床に座り込んでしまった。ギルはまさかの留年処分に呆気に取られている。そしてアルはー。
「学園長、お、私の処分については致し方ない事だと思っています。ですが、他の者の処遇については再考をお願い出来ないでしょうか。」
学園長が私に向かって小さく頭を下げて謝罪した。
「いえ、このような事が起こるとは誰もが思っていなかった事だと思います。ですから仕方のなかった事だと思いますわ。」
本当に、アル様たち以外は。
「そう言ってもらえると学園としては有り難いが、だからこそ今日の騒動については厳罰に処すつもりだ。」
学園長はそう言って、今度はアルたちに向き直った。
「アルフリート殿下、このような事態になり誠に残念です。ギルバート君も殿下を止める立場であった筈だ。
君たちは揃いも揃って学園の校則を知らないばかりか、基本的な学園の事柄についても把握していなかった事に私を始め教師一同、驚きを隠せなかったよ。」
学園長が本当に残念そうな声で言った。本当にまさかあそこまで校則は疎か学園の事を知らないとは思わなかっただろう。
アルたちだって毎日学園に通い試験を受け合格し、今日、卒業生として祝われる予定だったのだから。
流石にアルたちも気まずそうにしている。
「まぁ、この様な事態になってしまえばそれも今更だろう。では話を先に進めるとしよう。
先程、シルフィード公爵令嬢が言った通り、我が校には独自の校則があり違反をした場合に罰則が設けられている。
アルフリート殿下たちの行った行為が数々の違反を犯している事は、流石に理解されていると思いますが、そう考えて宜しいですかな?」
「むっ、た、確かに我が校にその様な校則があった事は理解した。しかし ー 。」
「理解して下さったようで何よりです。」
学園長はこれ以上、アルの言葉を聞きたくない、とばかりに言葉を遮って話を進めるつもりみたいね。
まぁ、これ以上、違反を重ねさせるのは学園長としても本位ではないのでしょう。
アルの方はこのような校則があった事は理解したけれど、納得はしていない、という感じが表情に出ている。アリスさん以外はただ黙って俯いているだけ。
アリスさんも納得していないような顔をしているけれど、こちらは思い通りに事が進まなかったという表情ね。罰則が気にならないのかしら?
「本当に数々の違反を犯している事から退学でもおかしくは無いのだが、シルフィード公爵令嬢はそこまでお望みかな?」
えぇ~、なんか私、試されている感じ?それとも確認しただけかな?
「いえ、確かに校則違反を重ねているかとは思いますが、そこまでは望んでおりません。」
本当のところ、一発退場の退学になっている内容ではあるのよ。でも、アリスさんは兎も角、アルたちは今日卒業する筈だったのに、流石に退学ではこの3年間が無駄だった事になってしまうと思うの。どれだけ実のある学校生活だったかは置いとくけど。
「分かりました。先ず、誰にでも過ちを犯す事はあるでしょう。学生という未熟な身であれば余計に。
だから『婚約破棄』『真実の愛』など言ってはいけないという校則については、弾みで言ってしまう可能性も含め2回までは3日から2週間程度の停学処分を言い渡している。」
学園長の言葉に子爵と男爵の令息コンビがさっと指で数える素振りをしている。きっと自分達の言動を思い出しているのね。
「あぁ、だが、加えて学校行事の場で婚約破棄宣言をしたというのも当人だけでなく、一緒に行った者も罰則を受ける事になるのを忘れずに。」
学園長が子爵と男爵令息たちの方を向いて言うと2人は顔に絶望の表情を浮かべた。
その時、ギルがポツリと呟いた。
「あれ、俺たちは今日で卒業だよな?じゃあ、停学なんて関係無いんじゃねえの?」
その言葉に子爵令息たちは嬉しそうな顔になる。
ギル、黙れ!本当に空気を読んで?
学園長が最初に私に退学を望むかどうかを聞いたのを覚えている?
今日、卒業するはずの生徒の退学を望むのかを聞いたのよ?
「ギルバート君、君はその短絡的思考が今回の騒動に加担する事になったのをもう忘れたのか?もう少しよく考えてから発言するように心掛けなさい。」
学園長が呆れた顔でギルを見るけれど本当にそうよ。学園長が何故、この場で発言しているのかを考えれば分かる事じゃない。
「アルフリート・ガルド、ギルバート・ギレアム、ジョセフ・ヨーデル、ルシウス・デリヒ。そして2学年に在籍中のアリス・デリル。
君たち5人は卒業生たちの為の卒業パーティーを『婚約破棄宣言』などという馬鹿げた理由で台無しにした。
そして数々の校則違反を犯した事はこの会場に居る者全てが目撃者である。寄って違反の事実は皆が認めるものだ。
先ず4人の卒業予定者ついては罰則規定の記載に『卒業生が卒業式及びパーティーで違反を犯した場合、卒業は取り消しとなり留年扱いとなる』という追記で記載されている。
よって君たち4人は卒業取り消しとなる。そして在校生のアリス・デリル、君には色々尋ねたい事もあるが、今回の件では3ヵ月の停学処分の上、同じく留年とする。」
学園長の言葉で子爵令息たちはヘナヘナと床に座り込んでしまった。ギルはまさかの留年処分に呆気に取られている。そしてアルはー。
「学園長、お、私の処分については致し方ない事だと思っています。ですが、他の者の処遇については再考をお願い出来ないでしょうか。」
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