あなたに婚約破棄する事は出来ません

ゆうゆう

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レイチェルの章

ニコラスの不貞

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「ニコラス様~」

「リネットか どうした?」

「だって、昨日私待ってたのに、ニコラス様いつものところにいなかったじゃないですか~」

「ああ、悪いちょっと昨日は用事があったんだ。許せ」

「もう~今日はちゃんと来てくださいね」

「ああ、後でな」


何? 今の…
え?もしかしてニコラス殿下が婚約破棄したい理由ってあのリネットって言う女性の所為?

私は殿下の不貞に巻き込まれたって事なのかしら?

この国は女神信仰のため特に浮気などの不誠実な行いを禁じています。
なぜなら愛を尊ぶ女神様に嫌われる様な事をすれば、女神の恩恵を受けれなくなるのです。

ですが、不貞があった場合なら教会に婚約破棄の申請は出来るのです。
破棄する側の正当な理由として受理してもらいやすくなるのは確かなはず。

今まで相手の浮気や暴力行為などで申請をして、通らなかった事はないと記憶しています。
だから、これは私に取ってはチャンスです。

不貞があっての婚約破棄成立なら、私に女神様のお怒りはありませんもの。

早速帰ってお父様に報告をしなければ…


       ◆


「ニコラスさま、私寂しかったですよー」

「だから、今日はこうしてちゃんと来ただろ」

ここは、学校の庭園の奥にある女神像の裏側。
女神像の背後には、飾り塀が置かれている。その裏はちょっとした隠れ家のようだった。

塀に持たれて2人は話をしていた。

「それで、婚約破棄は出来たんですか?」

「うん? ああ、キッパリ破棄すると言ってやった」

「スゴーい 今度こそ大丈夫ですよね?」

「ああ、多分大丈夫さ」

「これで、私達が婚約出来るのですね」
とリネットはうっとりとニコラスを見てます。

そして、彼の胸に抱き付きました。

リネットはこの国で育っていなかった。
カンターナ伯爵が外に作った子供で、嫉妬深い夫人の目を誤魔化す為に隣の国の知り合いに預けていた娘であった。

去年、夫人が事故で亡くなり、母親共々家に招き入れたのだ。

そのような理由から、リネットはこの国の女神信仰を理解していなかった。

そして、ニコラスもこの女神信仰を信じていなかった。
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