あなたに婚約破棄する事は出来ません

レイチェルの章

後始末

王宮、国王の執務室

「ジェフリー　すまん。
まさかあのバカ者がこんな騒ぎを起こすとは思わなかった」

「陛下、ニコラス殿下に婚約解消の話はされてなかったのですか？
殿下も知っていれば、このような騒ぎは起きなかったのでは？」

「お前と話合った後、何度かあれを呼んでいたのだが、いろいろ理由を付けて話を聞きに来なかったのだ」
はあーと陛下はため息を吐きながら、言う。

何か誤解でもしたか、怒られるとでも思って父親を避けて、最悪のカードを引いたのだろう。
まあ、同情はしないがな。

「ニコラス殿下の処遇はどうされるので？」

「それなりに、重いものにはするつもりだ。
ジェフリーには悪いが、婚約破棄のことより、女神様に対しての言動は問題だからな」

「それに、関係する事になると思いますが…」
そう言ってメッシュバリー公爵が報告書を、差し出しました。

「ランドルフ、お前にもいろいろ世話をかけたな」

「これが私達の仕事ですよ
それより、もっと早く探っておくべきでしたよ
陛下はもっと我らを使うべきだったのです」

我らの、はとこである国王は、よくも悪くも正義感が強く、素直で自分の周りの者を信じやすい人間だ。
そんな彼は影を使った情報収集が苦手なのだ。

だが一国の王としては、もっと疑り深くてもいいのだ。
権力を持つ者には、いろんな思惑を抱き寄ってくる者は多いのだから。

我らの様に、血の繋がりと友情で繋がっている者と一緒くたにしてはいけない。

陛下は報告書を読み進めるうちに、どんどん顔色が悪くなっていった。
まあ、無理もないよな。

全ては彼の側近が、係わっていたと言っても過言ではないだろう。

陛下がどこまでを切ることが出来るのか？

今後を見守っていこう。