あなたに婚約破棄する事は出来ません

ゆうゆう

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レイチェルの章

2人の末路

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「お前とは離縁したいが、国王と王妃が別れるなど、この国ではあり得ないような出来事だ。
そのような醜聞にまみれたくはない」
この陛下の言葉にどこかホッとするカミラ王妃だったが…
続けてアーサー王はこう言った。

「ニコラスの事で王妃は心労で倒れた。もう公の場には出れぬであろうな」
「「御意」」
アッシュベリー公爵とメッシュバリー公爵の2人はその言葉に頷くと
カミラ王妃を見てこう言った。

「すぐに北の塔へお移り頂きます」

「これからは、公務など何も気にする事はありません。
そして陛下と言い争う事も、傷つけ合うこともありません
心静かに、余生をお送り下さい」

3人はカミラに、誰にも真実を知られず北の塔で一生を送れと言っていた。

北の塔は王族が罪を犯した時に入れられる場所であった。

「そ、そんな… へ、陛下お許し下さい。
心を入れ換えます。
私を愛せ、尽くせとは言いません
ですから、どうぞ今のまま、このままでいさせて、お願い!」
最後は悲鳴の様な声で懇願するが、アーサー王の表情は変わることはなかった。

信頼のおける侍女頭が呼ばれ、速やかに王妃の北の塔への移動が命じられた。
王妃は準備が出来るまで、騎士に見張られながら謹慎となった。

その様子を見ていたニコラス殿下の顔も今では真っ白だった。

アーサー王は息子に視線を戻して言った。
「ニコラスいくら母から繰り返し聞いていたとはいえ、お前も充分大人になった。
この国の事を客観的に見て、女神様の信仰の話を聞いていれば、自ずとどちらを信じなければいけないか、解ったであろう
それを自分のいいように解釈して、好き勝手するなど、許されるものではないのだ」


「ち、父上 わたしは…」

「何度もレイチェルがお前を諭していたはずだ。
なぜあんな売女にうつつを抜かし大事な婚約者の言う事に耳を貸さなかった
お前には何度もチャンスはあったはずだ」
そう言ってアーサー王はまたメッシュバリー公爵を見ました。

「ニコラス殿、もうあなたは王子ではなくなりました。
よって、一般庶民の女神侮辱罪が適応されます。
明日、王城広場にて百叩きの刑になります」
そう言われて、除籍された書類を目の前に出されました。

そこへアッシュベリー公爵が見下ろしながら言いました。

「あなたはレイチェルより婚約破棄をされました。
本来なら娘から慰謝料の請求があるはずですが、娘はそれを望まぬそうです。
侮辱罪の刑が無事に執行された後はどうぞご自由に。
あのリネットとかいう令嬢があなたと一緒にいてくれるかは、わかりませんが…」

ニコラスもと王子は騎士によって今度は貴族牢ではなく牢屋へ連れられて行った。
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