わがままな妹のおかげです

ゆうゆう

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わがままな妹

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「お姉様!聞いてください。ステラ様ったら私がわがままだって言うんですよ!」

「その通りじゃない。またお茶会で何かやらかしたの?」

「お姉様ひど~い。私は悪くないもん。」

はあ~また私が令嬢たちに謝って回る事になりそう。

私はエレナ・ベルガモット。
伯爵家の長女です。

そこで騒いでるのは妹のミア。
彼女はすぐ騒ぎを起こす問題児、両親もちょっと匙を投げています。

私の知る限り父も母も私たちを分け隔てなく育ててくれました。
なのに、なぜミアはこうなったのか…
我が家の七不思議に数えられている。

ミアは夜会に出れば、周りを気にせず誰とでも気さくに話をしたり、踊ったりするから貴族世界では浮いてしまう。
だってパートナーがいる男性でも、構わず声をかけて親しげに振る舞うから、相手の令嬢は激怒する。
お茶会に出れば他の令嬢と直ぐ喧嘩をして途中で帰ってくる。騒ぎを起こせば主催した家の令嬢に失礼だし、途中無断で帰るなんて言語道断だ。

あまりに礼儀知らずなので、お父様は王族主催の夜会には出席禁止にしている程だ。
この頃は高位貴族が催す夜会も禁止になったかしらね…

何度マナーの家庭教師を、変えてもミアを変えることが出来ない。

「ミア今日はステラ様の、イルガー伯爵家のお茶会だったの?」

「違いますわ、フィオナ様のおうちですわ」

「え?エアクイン侯爵家だったの!?」

よりによって、うちより格上の侯爵家で問題起こしてくるなんて…お父様が知ったらまた血圧が上がってしまいそう。

もうお茶会も出席禁止にされるかもね。

とりあえず、フィオナ様にお詫びしに向かおう。

「アンナ、出かけるから、支度手伝って!」
侍女を呼んで部屋に戻ります。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「フィオナ様この度は妹のミアがお茶会を騒がせ、誠に申し訳ございません。」

私はエアクイン侯爵家の応接間でフィオナ様と体面中です。
我が領で新たに流通始めたチョコレートを持ってお詫びに来ました。

「エレナ様が謝ることではないですわ、それにステラ様が挑発したのも悪いんですよ。ミア様の事は皆分かってることですから、上手く対応すればいいんですもの」

ああ、ミアったら、この前夜会でステラ様のパートナーにちょっかい出してましたものね。ステラ様はまだ怒っていたのでしょう…

「いつもながら、寛大な対応ありがとうございます
本当にフィオナ様には感謝しております」

「フフ、私たちの仲ではありませんか、それよりエレナ様婚約が整ったと聞きましたわよ」

「ええ、そうなのです」

「あら?あまり嬉しくなさそうですね まあ相手がゲルク侯爵令息と聞きましたから分からなくもないですわね」

苦笑いしか出てこない私にフィオナ様が
「私たちは親が決めた縁談は従うものだけど、あなたのお父様は話が分かる方だから、話せば何とかなったのではなくて?」

「そうね、でもゲルク様を断ったからと言って、次に来る縁談がいいと決まってる訳ではないわ、それなら少しでも、家の為になる縁を結ぶのが長女の務めでしょ?」

フィオナ様も分かってはいることだから、それ以上は言わなかった。
それにフィオナさまも他人事ではないのよね。
いつ望まない婚約話が舞い込むか気が気ではない筈だし。

ちょっと話が暗くなりそうなので、気を取り直して他の話を振る。
「それより、フィオナ様このチョコレート食べてみて、新作なの」

「あら?この前貰った物と違ったの?」

「今度はナッツとキャラメルがはいってるの」

「まあ、私キャラメルに目がないのよ」

何とかお互いに気持ちを切り替えてスイーツ話に花を咲かせました。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇


帰りの馬車で先程のフィオナ様の言葉を考えました。
確かに私がどうしても嫌だと言えば、お父様は婚約をやめてくれたかもしれない。

私の婚約相手はアラン・ゲルク様といい侯爵家の三男です。
アラン様は顔もそこそこで普通ならとてもいいお話だと言われそうですが、女性関係が派手で今までもいろんな方と浮き名をながしていました。

そんな方が私みたいに真面目で面白味のない女を相手にするとは思いませんでした。
多分顔合わせで邸にいらした時に断られると思っていたのに、なぜかアラン様は私を気に入りトントン拍子に婚約が整ってしまったのです。

今さらやめたいとも言えず、かといってひとつも話の合わないアラン様とこのまま夫婦になるのかと思うと憂鬱になります。
なので、あまり考えないようにしていました。
現実逃避って訳です。

「もう後戻りはできませんもの」

馬車が宵闇が広がり出した町にのまれていく…



━*━*━*━*━*━*━

お読み頂きありがとうございます。
短編で書いてみました。
4、5話の予定ですので、よかったら最後までお付き合い下さい。


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