知らないけど、知ってる【顔も知らない旦那様改定版】

ゆうゆう

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数日後、私は王都に戻って、お父様と対面をしました。

「お父様、只今帰りました」



「リディアーヌおかえり、マルクスは変わりないか?」


「はい、北部から流れて来た者達もやっと落ち着いた生活が遅れる様になりましたし、新たな名物のビスケットクッキーも順調に広まっています」

「そうか、被害のなかった地区にも迷惑をかけてしまったな。
今回のリディアーヌの施策はとてもよかった」

お父様が誉めてくれるなんて…
父としては娘にとても甘い人ですけど、伯爵、領主としては厳しいのです。

今までも任された地では自由にやらせてくれるけど、認めてもらえるのはなかなか大変なんです。



「そうだ、ロエベ子爵もお前に会いたがっていたよ」

「そうですか、私もテオバルド様との交流の報告をしたいですね」

「手紙のやり取りは順調なようだね」

「はい、お互いの事もいろいろ話していますから、それなりに仲良くなっていると自負しています」

「そうか、お前の顔を見る限りは嫌々やっているようでもないし、それなら、良かったよ」

「お父様、まさかまだ私に後ろめたい思いを抱いておられますの?
私は1度もこの結婚を後ろ向きに捉えたことはありませんよ
むしろこの状況を楽しんでおります」

「そ、そうか…」

「はい、顔が分からない分、手紙の書き方や文章から相手を想像していくのが楽しい程です。
あの方は本当にお優しいし、私の事を大事に想ってくれているのが文面からも伺えるのです。
もし、これでテオバルド様が極悪人だったとしたら、とんでもなく嘘に長けたお方ですよ」
つい、むきになってしまいました。

そうなのだ、毎回テオバルド様からの手紙には私の事を気遣う気持ちに溢れているし、少しでも自分を知ってほしいと思っていることも伝わってくるのだ。
そんな人が悪い人間な訳もない。

なら、私の旦那さまは絶対に素敵な人のハズなのです。

私の心の中ではもうテオバルド様を全面的に信頼し好意さえ持っています。

でも、それは私にしか分からない事でした。

建国際でもあんなに私の為を考えて下さった贈り物をくれたテオバルド様なのに、お父様から見た私達はまだ会ったこともない他人同士なのですね…



        :



王都滞在3日目、ロエベ子爵が訪ねてきました。。

「リディアーヌ様、お久しぶりですね、お変わりありませんか?」

「はい、建国際の時期以来ですね。
私は至って元気ですし、変わりなく過ごしております」

「それは良かった。
こちらは息子から頼まれました。
リディアーヌ様へのプレゼントですよ」

「まあ、テオバルド様からですか?」

綺麗な化粧箱は明らかに、宝石類を連想させる。
そっと箱を開けるると中には美しいお揃いのイヤリングとネックレスが。

サファイアとダイヤを使ったブルーを基調としたデザインでした。


「まあ、素敵!」
とても見事な出来で、私の好みにぴったりです。

その上、今回作って来た髪飾りとよく合いそうなのです。

わたしが自分の為に作った髪飾りは白と青の羽を使ったものだったのです。

すごい偶然だわ、まだテオバルド様には髪飾りの事は言っていないのに…。

テオバルド様には社交界の反応を見てから手紙に書こうと思っていたのだ。


    
「リディアーヌ様、気に入って頂けましたかな?」
ロエベ子爵は私の様子を見ながら聞いてくる。


「はい、とても素敵ですね。
私このようなデザインが大好きなのです」

「それは、よかった。
息子は随分とリディアーヌ様の好みを分かっているようですね」

「本当に… とても不思議なんですけれどね。
この前のドレスや首飾りだってとても評判が良くて、私にピッタリのドレスだと皆様に言っていただけたのです。
私もとても気に入って。
だから、その疑問をテオバルド様に聞いたばかりです」


「ほほう、息子はなんと?」

「私達が手紙で自分の好き嫌いの話をしているので、段々と分かるような気がしてきたそうです」

「なるほど、お互いの事を考えているいると分かるね。
リディアーヌ様も息子の事は分かってきましたかな?」


「ええ、少しですけれど…」

そういいながら、少し照れてしまいました。

ロエベ子爵はそんな私の様子を見て優しく微笑み
「リディアーヌ様が気に入って下さったと言っておきますよ」

「ありがとうございます
私もお礼の手紙を書きますわ」
  
 
        :






ロエベ子爵がお帰りになった後、私は早速手紙を書きます。
手紙には贈り物のお礼を書いて、とても自分の趣味にあっていたとも書きました。
そして、この贈り物は、また私の好みを考えてみてくれたのか?
それともテオバルド様の好みなのか?
と聞いてみました。

まあ、その返事をもらうのはまだ先ですけどね。

手紙を出してくれるよう頼んで、お母様の所へ伺います。

「お母様、今度商会から髪飾りを売るつもりなのです。
見て感想を頂けますか?」

私は目の前に出来上がった3種類の髪飾りを並べます。

「まあ、素敵ね。
このところ夜会で皆さんが付けて来る羽根飾りがどんどん大きくなってきて、品がなくなってとても不愉快だったの。
これはとても上品な出来ね。素敵だわ。
それに今皆が付けている羽より色が鮮やかで繊細ね」

この頃の夜会では流行りの羽をどんどん大きく人より目立つように、競いあっているそうで。
それにお母様は辟易していたようです。

しかも皆が付けている羽は白やねずみ色の羽根に着色しているものが殆んどで、上手く色が乗らないのかよく見ると斑だったり、色がくすんいるのだとか。

この羽は鳥の本来の色だから、とても色がクリアできれいですものね。

私は自分が作った羽飾りが評判になる未来を確信しました。
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