王女殿下は家出を計画中

ゆうゆう

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隠されていた事

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花火の打ち上げをイザベラ様が協力?
あの方がそんな事を?

そうか、イザベラ様は火属性をお持ちの上に、相当な魔力があったはずだからそんなに大変な事ではないのかも…
それに、収穫祭で上げる花火となると、自分の事を国民にアピール出来る訳ね。
もしかしたら、お父様に対してのアピールもあるかも…
だとしたら、何でいきなり止めちゃったのかな?
何となく気になる…

「ずいぶん考え込んでるね」
お兄様に顔を覗き込まれた。

「え?ああ、ごめんなさい考え込んで。
何で止めちゃったのかなぁって気になって」

と、ここで言葉を止めた。安易に大勢の前で言うべき事ではない。

「お兄様」私は兄だけを通路の裏側に連れていく。

「もし、本当にイザベラ様が花火の打ち上げに関わっていたのなら、突然止めたことに違和感を覚えます。
イザベラ様なら自分を認めさせるいい機会を、自分から止めるとは思えません。
しかもお母様が亡くなった後なら、お父様にアピールするいい機会でしょ?」

「確かにね。あの人の性格を考えると違和感を覚えるな… ただその頃の詳細が分からないことには何とも言えないよ」

「私、これから魔法棟へルカルク様にお会いしに行ってきます」

魔法棟は王宮の東にある建物で魔法省の機関と魔法研究所が入っており、この国の魔法に関する全ての管理、指導教育、補佐等を行っている。

ルカルク様は魔法省の特別顧問と魔法研究所の前所長をされていました。
今は一線を退かれご自分の研究を優先されています。
私はたまにルカルク様のところへ行って、いろいろな魔法の話を教えてもらっていました。

ルカルク様は王族としては、出来損ないと言われる私を、一般の魔法使いより魔法の知識は優秀だし魔法の質が高いといつも誉めてくれるのです。

私にとっては、やさしいおじいちゃんみたいな存在です。

「じゃあ私も一緒に行くよ。どちらにしろ花火を行うなら、話を聞かないといけないから。」

借りた本をエマリアとルイスに預け、先に部屋に戻ってもらい、私はお兄様と一緒にルカルク様のもとへむかいました。


◇◇◇◇◇

コンコン!

ルカルク様の研究室のドアをノックするとすぐに
返事が返ってきます。

「こんにちは、ルカルク様。少しお時間頂けませんか?」
私が声をかけると、机から視線をあげたルカルク様が
嬉しそうに破顔しながら、答えてくれました。

「おお、シルビア様どうされました?
おや?殿下もご一緒でしたか。」

「ちょっとお聞きしたいことがあるのです。」

「どうぞ、こちらへ
何をお聞きになりたいのですかな?」

私達は、ソファーをすすめられ、お兄様と並んで座ると私から切り出します。

「私たちが子供の頃、収穫祭で花火を打ち上げていたと聞きました。その事をルカルク様が詳しく知ってらっしゃるとも。
花火を上げなくなった詳細をお聞きしても?」

ルカルク様は遠い目をして昔を思い出すように、

「ああ、その事ですか…確かに花火をあげておりましたな~結構大規模で、城下の者も毎年楽しみにしておりました。」
そして顎ひげをなでながら、
「あれは、いつから止めたのだったか…」

「母上が亡くなった年からと聞いたのだが」
お兄様が促します。

「ああ、そうでした!確かに王妃様がお亡くなりになり、国全体が悲しみに包まれ、その年と次の年の収穫祭はなくなりましたな…」

「あの時は、自分の無力さを思い知らされました。」
目を閉じてじっと痛みに耐えるような顔をされてるルカルク様。
この人もお母様を救えなかった自責の念に苛まれているのだろう。

つかの間3人が各々母への無念の想いを巡らす。

私は気を取り直して口を開いた
「翌々年からは収穫祭は開かれたのでしょ?どうして花火は再開しなかったのでしょう?
遠いある国では死んだ人の魂を慰める為に花火を上げると聞いたことがあるのですが…
お母様を思ってなら反対に上げることで、民に王妃を悼んでもらえるのでは?」

「なるほど。そのような考えを持つ国がありますか。
王妃様が亡くなったのに、不謹慎だからと言うことではありませんでしたな。
単に今までのような大規模な花火を打ち上げるだけの火属性の魔法使いが足りなかったと言うことです。」

「「え?」」
私とお兄様は顔を見合せます。

「ルカルク、花火を上げる為にイザベラ様が協力していたときいたが?
あの方の魔力量なら普通の魔法使い10人分や20人分補えたのではないのか?」

「はい、確かにそれまではイザベラ様が1人で花火を打ち上げてくれていました。」

そこでルカルク様はちょっと考え込んで、息を吐き出しました。

「これは、機密事項です、本来はお話するには、陛下の許可がいります。」
私達は息をのみます。
一応部屋の中には私達しかいません。護衛は外の扉前です。この部屋には会話を盗み聞き出来ないように盗聴防止の魔法もかかっています。

でも、機密と言われると無理には聞き出せません。


「なので、これはじいさんの独り言だと、思いこの部屋を出たら、お忘れ下さい。」

ルカルク様は絶対に漏らさないように釘をさしつつも、私達2人を信頼してくれてます。

私達が頷くのをみて、話し始めます。

「イザベラ様は王妃様が亡くなった頃から、魔力量が極端に減ってしまわれたのです。
今では魔法使いの平均値と変わりますまい。」

「それを知っているのは?」

「この事実を知られた陛下はすぐに箝口令を引かれました。なので国王陛下と魔法省の幹部のみかと。」

私は思ってもみなかった、話に言葉を失った。
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