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その2
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茶髪にネコ毛のような柔らかそうな髪、涼しげな瞳に整った目鼻立ち。
白いTシャツに黒のパンツを履いたその人は、高校の頃に好きだった先輩によく似ていた。
身長が高く、何頭身あるだと問いたくなるような顔の小ささは健在のようだ。
「あれ、何でお前がここに居んの?」
その人物は俺を見るなり、一瞬目を見開くもすぐにいつものポーカーフェイスに戻ってしまった。
この反応からするに、似てる、ではなく本人のようだ。
そういえば、昨日の朝に女の子たちが話していた有名人の名前って『逞生』という名前だった。
「ここが俺の働いてる職場だからっすよ、大里先輩」
大里逞生。
それがこの人の名前だ。
まさか有名人になっていたなんて知らなかった。
この人は俺が高校の頃に好きだった同じ高校の先輩で、この人が卒業するまで、いやしてからもずっと片思いしていた人だ。
男性からも女性からもモテていたこの人は、学生時代特別な人を作ることはしなかった。
周りには誰か特別な人を作るよりも仲の良い友達と遊んでいる方が楽しいと言っていたらしいが、本音は分からない。
「そう。遅くまでお疲れさん、まだ帰れねぇの?」
昔と変わらず話しかけてくるこの人に、俺も昔のように返答したいが、疲れすぎてテンションを上げられない。
昔なら『先輩もお疲れ様です!久しぶりっすね!オレはまだ仕事っすよ!』とか元気よく答えていたのだろうけど。
「まだ仕事がたんまり残ってて……それより、先輩はどうしてここに?」
「仕事だよ。ここの会議室で撮影があってな」
「こんな時間までですか?」
「そ。なかなか上手く撮れなくてさ。一人で没頭してたらいつの間にか誰もいなくなっちゃったってわけよ」
撮影って何の撮影だろうと思って、先輩の手元を見てみれば一眼レフのカメラを持っていた。
もしかして、それで何かを撮影していたのだろうか。
でも一体何を。
会議室なんてテーブルと椅子しかないけど。
「何を撮っていたんすか?」
単純に興味で問えば、先輩は人差し指を口元へ持っていき笑った。
「秘密」
「そうっすか……」
まぁ、そう簡単に情報を漏らすわけには行かないもんな。
「それよりさ、俺帰りたいんだけど何処から出りゃ良いの?」
「案内しますよ」
俺が席を立ち、ポケットから鍵を取り出すと先輩は首を横に振った。
「いや、お前が帰るときに一緒に出るから良いわ」
「え、それじゃああと4時間は帰れないっすよ」
「そんな時間まで残ってんのかよ、お前」
「はい」
何をそんなに驚いているんだか、と思いながらドアに向かえばその後を先輩がついてきた。
やっぱり扉が開いたときの香りは先輩からしたものだったか。
高校の頃もこんな風な香りだったのかもしれないけど、こんなに気にしたことはなかったのかも。
白いTシャツに黒のパンツを履いたその人は、高校の頃に好きだった先輩によく似ていた。
身長が高く、何頭身あるだと問いたくなるような顔の小ささは健在のようだ。
「あれ、何でお前がここに居んの?」
その人物は俺を見るなり、一瞬目を見開くもすぐにいつものポーカーフェイスに戻ってしまった。
この反応からするに、似てる、ではなく本人のようだ。
そういえば、昨日の朝に女の子たちが話していた有名人の名前って『逞生』という名前だった。
「ここが俺の働いてる職場だからっすよ、大里先輩」
大里逞生。
それがこの人の名前だ。
まさか有名人になっていたなんて知らなかった。
この人は俺が高校の頃に好きだった同じ高校の先輩で、この人が卒業するまで、いやしてからもずっと片思いしていた人だ。
男性からも女性からもモテていたこの人は、学生時代特別な人を作ることはしなかった。
周りには誰か特別な人を作るよりも仲の良い友達と遊んでいる方が楽しいと言っていたらしいが、本音は分からない。
「そう。遅くまでお疲れさん、まだ帰れねぇの?」
昔と変わらず話しかけてくるこの人に、俺も昔のように返答したいが、疲れすぎてテンションを上げられない。
昔なら『先輩もお疲れ様です!久しぶりっすね!オレはまだ仕事っすよ!』とか元気よく答えていたのだろうけど。
「まだ仕事がたんまり残ってて……それより、先輩はどうしてここに?」
「仕事だよ。ここの会議室で撮影があってな」
「こんな時間までですか?」
「そ。なかなか上手く撮れなくてさ。一人で没頭してたらいつの間にか誰もいなくなっちゃったってわけよ」
撮影って何の撮影だろうと思って、先輩の手元を見てみれば一眼レフのカメラを持っていた。
もしかして、それで何かを撮影していたのだろうか。
でも一体何を。
会議室なんてテーブルと椅子しかないけど。
「何を撮っていたんすか?」
単純に興味で問えば、先輩は人差し指を口元へ持っていき笑った。
「秘密」
「そうっすか……」
まぁ、そう簡単に情報を漏らすわけには行かないもんな。
「それよりさ、俺帰りたいんだけど何処から出りゃ良いの?」
「案内しますよ」
俺が席を立ち、ポケットから鍵を取り出すと先輩は首を横に振った。
「いや、お前が帰るときに一緒に出るから良いわ」
「え、それじゃああと4時間は帰れないっすよ」
「そんな時間まで残ってんのかよ、お前」
「はい」
何をそんなに驚いているんだか、と思いながらドアに向かえばその後を先輩がついてきた。
やっぱり扉が開いたときの香りは先輩からしたものだったか。
高校の頃もこんな風な香りだったのかもしれないけど、こんなに気にしたことはなかったのかも。
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