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その3
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「サンキュ、助かった」
職員用出入口まで案内した所で先輩とはお別れするものだと思っていたのだけど、先輩は何故かなかなか外に出ようとはせず、俺に背を向けたまま、立ち止まった。
どうかしたのかと尋ねようとしたら、ほぼ同じタイミングで先輩が問い掛けてきた。
「なぁ、あと四時間で仕事本当に終わるのか?」
「え?仕事は終わりはしないっすけど、家には帰れるかなって感じです」
「何だそれ?」
「えーと、職場での仕事は何とか片付いて、あとは家で帰ってやれる内容になるってことです!」
先輩の声音がワントーン下がったような気がして、慌てて返答してみれば更に先輩の纏う空気が重くなったような気がするのは気のせいか。
「…………笠原」
「はい?!」
ワントーンどころかツートーンくらい、それかそれ以上下がった声に、気のせいではないことに気がつく。
高校の頃にオーバーワークした所を見つかり、怒られたときのことを思い出した。
その頃と同じ様な状況に声を裏返しながら返事をする。
こちらに背中を向けているから顔は見えていないが、怒りながらも表面上は笑っているのを経験上よく知っている。
「終わらせろ。いいか、全てを、だ。俺が4時間後、ここに迎えに来る。それまでに全て終わらせてここに来ること。いいな?」
「え、いや、そんなの無理というか、迎えとかそんなの俺男ですし必要ない……」
「分かったな?」
遮るようにそう言うと、先輩はスタスタと駐車場の方へと足を進めていた。
俺は慌てて追い掛けて断ろうとするも、今まで俺が先輩に1度でも勝てたことがなかったことを思い出し、溜め息を吐いた。
言い出したら聞かない人だから、絶対に4時間後にここに来る。
そのときに終わっていなければ、怒られついには冷たい目線を向けられるのを知っている。
こんな所でボーッとしていないで早く終わせる努力をしよう。
そうと決まれば席に戻って報告書作成に取りかかるぞ!
職員用出入口まで案内した所で先輩とはお別れするものだと思っていたのだけど、先輩は何故かなかなか外に出ようとはせず、俺に背を向けたまま、立ち止まった。
どうかしたのかと尋ねようとしたら、ほぼ同じタイミングで先輩が問い掛けてきた。
「なぁ、あと四時間で仕事本当に終わるのか?」
「え?仕事は終わりはしないっすけど、家には帰れるかなって感じです」
「何だそれ?」
「えーと、職場での仕事は何とか片付いて、あとは家で帰ってやれる内容になるってことです!」
先輩の声音がワントーン下がったような気がして、慌てて返答してみれば更に先輩の纏う空気が重くなったような気がするのは気のせいか。
「…………笠原」
「はい?!」
ワントーンどころかツートーンくらい、それかそれ以上下がった声に、気のせいではないことに気がつく。
高校の頃にオーバーワークした所を見つかり、怒られたときのことを思い出した。
その頃と同じ様な状況に声を裏返しながら返事をする。
こちらに背中を向けているから顔は見えていないが、怒りながらも表面上は笑っているのを経験上よく知っている。
「終わらせろ。いいか、全てを、だ。俺が4時間後、ここに迎えに来る。それまでに全て終わらせてここに来ること。いいな?」
「え、いや、そんなの無理というか、迎えとかそんなの俺男ですし必要ない……」
「分かったな?」
遮るようにそう言うと、先輩はスタスタと駐車場の方へと足を進めていた。
俺は慌てて追い掛けて断ろうとするも、今まで俺が先輩に1度でも勝てたことがなかったことを思い出し、溜め息を吐いた。
言い出したら聞かない人だから、絶対に4時間後にここに来る。
そのときに終わっていなければ、怒られついには冷たい目線を向けられるのを知っている。
こんな所でボーッとしていないで早く終わせる努力をしよう。
そうと決まれば席に戻って報告書作成に取りかかるぞ!
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