離したくない、離して欲しくない

mahiro

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その10

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そう思って暫く様子を見るも依頼メールの取り消し連絡はない。
これはもしや誰からも許可をいただけてないのではないのでは。
それはそれで、可哀相だな。


「……望月先輩とかどうだろ」


高校の頃に先輩が仲良かった友達で、俺と寮で同室だった人だ。
面倒見のいい人だし、色々と言われながらも許可貰えそうだけど。
それか坂道先輩。
昔のキャプテンで、声が大きくてよく背中を豪快に叩いてきたりするけど、しっかりしてるし先輩のこと守ってくれそうだけど。
その二人はどうかと送ってみるか。


『お疲れ様です。俺の家、お世辞にも綺麗とは言えないですし寝るところの確保が難しいです。
望月先輩とか坂道先輩とかには連絡されましたか?』


打ってて思い出したけど、連絡先知らなくて連絡出来ないのか?もしかして。
だとしたら俺が変わりに聞くけど。


『もし連絡先をご存じなければ俺が変わりに聞きますよ』


これでよし、送信。
すると、すぐに返信が来た。


『聞いたけど断られた』


まさかの断られた後だったか。
あれか?
面倒なことに巻き込むな、とかそういうやつか。


『部屋のこととか寝るスペースとか気にしないから頼む』


続いてこのメールが届いた時点で、俺はもう諦めた。
困ったときはお互い様だよな。
車で送って貰ったし、今までお世話になった人でもあるし。


『分かりました。汚いとか狭いとか文句言わないでくださいね』


『ありがとう。今晩また迎えに行くわ。文句は言わないように努力する』


努力って。
努力しなきゃ言うのか。
まぁ、文句が出ない方が可笑しい所だから仕方ないか。


『ありがとうございます。また夜にお願いします』


さて、メールはここまでにして仕事に戻るとするか。
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