カランコエの咲く所で

mahiro

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「言われてみればそうだったかもしれません」


ヨーゼフがそう答えたとき、俺は何を思って今までステッキを振り回したり体術などの特訓をしてきたか考えた。
昔は、有能な一族に生まれたのだから魔法を使えて当たり前、体術も使えて当たり前と言われ続け俺もそう思っていた。
ステッキ片手に軽く振り回せば、魔法なんてすぐに使えるものだと思っていた。
そんなわけがなかったわけだけど。
それからは何故使えないのか、どうして俺ではダメなのかと魔法のことよりも俺自身のことばかりを考えていた気がする。
強くなりたいだとか、守りたいだとか、全く考えていなかったわけじゃない。
だけど、同時に別のことを考えていたような覚えがある。
例えば、悔しいとか、どうせまた出来ないだろうとか。
プラス思考なものよりもマイナス思考なものばかり考えていたと思う。
それは今も変わらないわけで、もしかしたらそれが原因で今まで開花しなかったのかもしれない。


「やっぱりね。『守りたい』とか『強くなりたい』とか純粋な気持ちが放出されたものが魔法と呼ばれるもので、初めてそれが放出されることを能力の開花ってみんな呼んでる。
開花後に複数の気持ちが含まれていると気持ちを放出させたいのに、放出出来なくなってしまうわけ。それが今のヨーゼフの状態。その状態から純粋な気持ちにリセットするには、家族だとか大切な人に会うことが効果的って言われているのを思い出してね。ヨーゼフには家族的存在のイヴ君がそれに該当するなって思って。ほら、無関係じゃないでしょ?」
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