カランコエの咲く所で

mahiro

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何だこれは。
確かにあの時、瓦礫の山は綺麗な建物になっていたし俺たちが去るまでその姿のままだった。
まさかその直後にそれが音もなく崩れ、元の瓦礫の山に戻っていたなんて予想もしていなかった。
誰が一体、こんなことをしたのだろう。
俺たちが去ったと同時ということは、それを見計らった犯行か、それともゲルハルトの言うように身内の犯行か。
正直、今ある情報だけだと判断がつきにくい。
何か他に情報はないものかと、思っていると隣から声が聞こえた。


「なるほどね」


何かが分かったかのような顔で村を見下ろすゲルハルトに、何がなるほどなのかと問おうとした瞬間、目の前が急に真っ暗になり、瞬きをしたら真っ白な空間に俺とゲルハルトだけが向かい合って立っていた。


「ごめんね、イヴ君。ちょーとあそこで話すわけには行かないから俺の作り出した空間に移動させて貰ったよ」


「作り出した空間?」


物の顔を覗いてみたり、空間作ってみたり、瞬間移動してみたり何でも出来るなこいつ。
流石は特級クラスの魔法使いってか。


「そう。俺が招いた人物しか入れない空間でね、作戦会議を行いたいときとか、周りに聞かれたくない話をしたいときによく使っているかな。今回は後者ね」


「エクベルトとヨーゼフには聞かせたくない話ってことか?」


「そういうこと。さぁて、本題に入るとしよう。さっきの瓦礫の山、イヴ君にはどう見えていたかな?」
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