私の願いは貴方の幸せです

mahiro

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娘さんの状態を再度確認した後、家の周辺を調べた。
足跡らしきものを見つけ出し、その後を歩いていたら1メートルくらいの魔物を発見した。
痕跡や先程の娘さんの残り香から、この魔物が彼女を襲ったものだと分かった。
周辺に民家も建ち並んでいることから、すぐに退治し、その周辺にも仲間がいないか確認したがどうやらいないようだ。
その事にホッとひと息吐き、視線を上に向けたときだった。


「やぁ」


胡散臭さ満載の笑顔を浮かべ、右手をヒラヒラこちらに向かって振っている男性がいた。
その男性は木の上で私が魔物を退治している姿を黙って見ていたようだ。


「………一応、聞きますがいつから居ましたか?」


「ロマーヌちゃんが魔物を探してる辺りかな」


「何でそのとき声かけなかったんですか」


「いやぁ、邪魔しちゃ悪いかなって思ってね。ごめんごめん」


悪びれた様子もなく謝罪の言葉を吐くこの男性はナマンの右腕であり、親友でもあるウェリアム・メラーという者で、ナマンと並び立つことが唯一出来る存在とされている、らしい。
らしいというのも噂でしか聞いたことがないので、正しいかどうかは分からないのだ。
そんな彼が何故ここにいて、私の監視紛いのことをやっているのかは分からないが、周辺にあの魔物以外いなかったのはウェリアムが退治したからだろう。


「じゃあ今度はこっちが質問ね。ロマーヌちゃんは仕事でもないのに魔物退治するため護衛もつけず町に出たのかな?」


「違います。魔物退治はたまたまです」


「あれ?そうなんだ。それじゃあ、これから町に戻って用を済ませるの?それなら付き合うけど、もうそろそろ夕方だから危ないんじゃないかな?」


言い終わると同時に高い木の上から降り立ったウェリアムは笑みを深めた。
夕暮れ時は特に魔物の出やすい時刻で、一般人でさえ外を出歩くのを控える時間だ。
なら、今日は大人しく帰って後日改めて住む場所などを探した方が良さそうだ。


「今日はあのご家族に魔物を退治したことを伝えて帰ります」


「それは大丈夫。私がさっき『聖女様が元凶を祓ってくださったのでご安心くださいね!』って言っておいたから。そしたら『ありがとうございます、流石は聖女様ですね!』って言ってたよ」


用意周到過ぎるだろう、いくらなんでも、という言葉はウェリアムとナマンには通用しないことは昔から嫌なほど分かっている。
彼らはそういう人たちだ。


「………ありがとうございます。それで、本当の目的は何ですか?ただ、私の監視をするためや魔物退治のためにではないですよね。それこそ何かのついでだと思うのですが」


「今日のロマーヌちゃんは質問が多いねぇ。まぁ、その通りなんだけどさ。はい、これが本題ね」


スッと目の前に出されました紙をそのまま受け取れば、そこには新たな仕事内容が書かれていた。


「明日の午後、地図に書かれた所に行って魔物退治と永遠の幸せを得られるとされる指輪を隣町の教会から受け取ってきて欲しいんだ。本当はひとりで行かせたくないんだけど、明日、私もナマンもヨアンや他の者たちもラシェルの発表兼御披露目会で出れなくてね。悪いんだけど、ひとりで行ってきて貰えるかな?」
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