新しい道を歩み始めた貴方へ

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立ち上がって俺の真横に腰掛けたセヴランは、記憶にある人物よりも魅力的だった。
こんな人物の人生に汚点を残さなくて良かった、と潜めていた息を吐いた。
それが溜め息だと感じたのかセヴランは俺の背を撫でた。


「寒い？大丈夫？ここは冷暖房完備されていないから冷えるよね」


「俺は大丈夫。お兄さんの方が寒そうだけど」


ワイシャツ1枚にスラックスだけだもんな。
俺は護身用に色々ロジェにつけられたから暑いくらいだ。


「俺も大丈夫だよ。こう見えても鍛えてるし」


そういえばこの人、身体鍛えるのが好きだったっけ。
学生時代、休み時間によく走り回っていたような気がする。


「ねぇ、君の名前は？俺はセヴラン・キャリーっていうんだ」


知ってる。
ここを去ってからの14年間を除いた学生時代のセヴランのことならよく知ってる。
困った人を見過ごせないお人好しの奴だって。
だから、こんな奴に捕まるし、アナクレトのような男に目をつけられるんだよ。


「ルイ、よろしく」


「ルイ君だね、よろしくね」


散々背中に触れさせた後にフルネームを伝えた所で問題ないとは思うが、念のため名前だけにしておこう。