きっと、君は知らない

mahiro

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「えーと、つまり、ここは俺がいた日本じゃなく異世界で、ここにいるメンバーで旅に出ていた所だったと。そんでもってその途中で俺が突然意識を失って目覚めた所だった……って訳か。なるほどな」


フランさんが流れを説明するとムシューニ、と呼んで良いのか分からないが、その人物は納得したように何度も頷いていた。


「だからあんた泣いてたのか」


ケイトにそう訊ねれば『あんた』と言われたことにショックを受けたのかフリーズしているのが見える。


「悪いけど、何にも思い出せないな。俺はさっきまで自分の結婚式の会場にいてさ、それで」


それで、と繰り返し、表情が急に凍り付いた。


「何かが起きて目を覚ましたらここに居たんだな?」


深く追求はせず、フランさんがそう促すと首を縦に何度か頷いてみせた。
これはもしかしてあの出来事の直後、ということだろうか。
だとしたら、悪夢を見てきた、ということと今目の前にいるこの人はムシューニではなく『先輩』そのもとというわけだ。


「………夢なら覚めてくれって思ったらここにいたんだ。どういうことなんだろうな。あれは夢だったのか?それとも現実に起きたことなのか?」


ここで夢ではない、現実に起きたことだと説明できるのは俺の身体にある傷痕だけだ。
でも、それだって証拠になるものは何処にもない。
ただの傷痕だと言われればそれだけとなってしまうのだから。
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