きっと、君は知らない

mahiro

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「ブルーって誰だ?」


「俺の知り合いで隣町に住んでいるやつだ」


どうしたものかと先輩に視線を向ければ、先輩はショウンさんに視線を向け訊ねた。


「どうする?ショウンさん。隣町の方角に『矢』があったりする?」


「ん?んーそうやな。方角的には合っとるし、困ってそうやから行った方がええやろ」


「と、いうわけで行くとしよう」


「助かる。案内はしよう」


リファンはそう言うとスタスタと歩き始めてしまった。
俺たちは慌ててその背を追いかけついていった。
それから数時間後に辿り着いた町は、今まで見てきた街よりも何処か針詰めた空気が漂っていた。
人もあまり歩いていないし、店もほとんどやっていない。
この地はいったい何が起きているのだろうか。


「ここだ」


大きなテントのようなものの前に足を止めたリファンはそう言うなり中に声をかけた。


「おい、ブルー。怪我を見せろ」


すると中から不機嫌な声が聞こえた…のだが、どこかで聞き覚えのある声だった。
一体何処で聞いたのかと記憶を遡って見た結果、思い出した。
そうだ、中学時代の同級生にいたやつだと。


「あ?いきなり来て何だ?てめえは」


日に焼けた肌に短髪の黒髪。
鋭い目付きは相変わらずで、記憶にある人物より少し大人びて見える。
あれ、そういえば先輩の結婚式にも来ていたような気がするがあまり記憶にないな。


「怪我を治せる能力を持つ人を連れてきた。つべこべ言わずに見せるのだよ」


「お、おい、急に引っ張るなっての!」


いつまでも中から出てこようとしないブルーに苛立ちを見せたリファンは強引にブルーのおそらく怪我をしていない方の腕を掴み引っ張り出した。


「治せるか?」


掴んでいない方の腕を指差し俺を見てきたリファンに俺は頷いて見せ、ブルーの腕に手を翳し治療を開始した。

数分経過し、漸く怪我が治ったのを確認し手を離せばブルーは新しいオモチャを手にした子供のような顔で自分の腕を見ていた。


「すげー。どんな医者にも無理だって言われてたのに綺麗に治った………お前すげーな」
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