宝石はすぐそばに

2

シドと再会したのは今から1ヶ月前の俺がこの学校に入学したときだった。
すでにジェイドと再会していたシドは俺も記憶がないのだと思っていたらしく、面と向かって会った瞬間、あ！と声を上げたと思ったら一瞬にしてションボリし始めたのだ。
その姿があまりにも前世の姿にそっくりで思わず笑ってしまった。


「相変わらず、分かりやすい人ですね」


前世では同い年だったが、今はシドがひとつ上の学年のネクタイを着用していたので言葉を改めれば、これまた分かりやすく目を見開いたシドに両肩を掴まれ、さっきのようにワンワン泣き叫んだのだ。


「心の友よ！会えてオレは嬉しいぞ！」


喜ぶのは良いが声は抑えて欲しかったし、掴まれた手に力が入りすぎて痛かった。
それ程までに前世の知り合いに会いたかったのだろうと思ったし、俺も言葉にはしなかったが繋がりのある人と再会して嬉しかった。
正直もう2度と出会えないものだと思っていたし、最期を思うと出会わない方が良いのかもしれないと思っていたが、やはりこうして出会うと嬉しさが勝った。


「そーいやさ、これこの間、寮のドアポストに入ってたんだけど、どう思う？」


時は戻り、少女漫画から視線を上げるとシドは真っ白な封筒を1通差し出してきた。
宛名も何も書いていないそれに何だこれはと疑問を抱きつつ封を開けてみた。


「………は？」