やっと、

mahiro

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幸せオーラを全身に纏ったエディスに、思わず顔を引きつらせた。


「ノエリア王子喜んだみたいで、良かったじゃん」


「うん!これもミュライユちゃんのお陰だよ。ありがとう。気持ちを込めて手紙を書くなんて初めてで緊張したけど、あんなに喜んで貰えるなんて思わなかったよ」


満面の笑みを惜し気もなく振り撒くエディスを見ながら、さぞかしノエリア王子の表情は弛んだのだろうなと容易く想像できる。


「いつ式は挙げるんだ?」


「あのね…色々準備があるから3か月後っていう話だよ」


「3ヶ月か」


その頃には確実にこの国にはいないな。
戻ってきても良いかもしれないが、結構広い国だから外の国々からも様々な人々が来るだろうし、近寄らない方が良いだろう。
もしかしたら私がいた国や私が悪事を起こした国の人たちも来るかもしれないし。


「ミュライユちゃんもお手伝いしてね!」


「………は?」


「え?」


今何と言いましたか?
周りに花を飛ばしてそうな人は。
私に手伝えと言わなかったか?


「手伝いって、私はもう旅に戻るぞ?ここにいても稼げないしな」


「え、歌えないから?!じゃ、じゃあ、結婚式で歌えばお金になる?!」


「いや、私、結婚式で歌うような曲知らないし、歌えないから」


誰が来るか分からない所で歌うなんて無理だし。


「場所の提供とかお金を払おうとか考えなくて良いから。その分、宿泊代もなく温かいご飯とお風呂まで借りちゃったしこれで十分と言うかお釣りがたんまり出たくらいだよ」


「それくらい当たり前だよ!ねぇ、どうしても旅に出ないといけないの?」


先程とはうって変わって悲しげな表情を浮かべるエディスに、何と答えるか迷う。
私の旅は特に行く先があるわけではない。
ここでの生活も数日間させて貰ったが、特に嫌な思いもせずに暮らせている。
なら、エディスが飽きるまでここで働いても良いのでは、と思うのと。


ルネ王子に言えなかった言葉を歌にした曲は、もう何度も形にしてきた。


もう、それも止めて新しいことを初めて良いタイミングなのかもしれないという考えもここ数日出てきたりもしていた。


「別に、旅も絶対じゃないし歌も稼ぐために必要だから歌っていただけで、何がなんでもって訳じゃない」


「なら、エディスの世話係としてここで働け」


急にエディスの声とは異なる声が聞こえて振り返れば、いつもの怖い表情とは違い、無表情で私とエディスを腕を組みながら壁に寄りかかるノエリア王子が斜め後ろにいた。

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