新たな物語はあなたと共に

mahiro

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それを聞いたときにまだ命があるだけ良いじゃないかと思ってしまった私はおかしいのだろうか。
薄暗い地下牢に入ることなく、処刑場に立たされることも多くの人の目にも触れるのとない処罰。
何てーーー生易しい処罰なのか。


こんなことを思ってしまったなんて、口が裂けても言える筈がない。
まだドミニク殿下が高校一年生だからそんな残酷なことが言えないのだろうか。

いや、今言えないのに二年後に言えるようになるわけないだろう。
その間に成長したとしても、何が彼を変えたというのだ。
振り返った所で彼を変えたものなど思い付きもしない。


「ドミニク殿下が君のことまで言うなんて………仲間意識でも芽生えたか?」


ボソッと耳元でローランドが呟き、不思議そうにドミニク殿下を見つめるローランドの横顔を見た。
処罰の内容ばかりに頭が行っていて忘れていたが、確かに処罰の内容に私のことも含まれていた。
昔と比べて無難な関係であるとは思っているが、まさかローランドだけでなく、ドミニク殿下からも守られる立ち位置になったとは驚きが隠せない。
まぁ、今回はたまたまなのだろうけど。


「良かったじゃないか、君」


そう言って笑うローランドに首をかしげた。


「何が良かったのよ。確かにドミニク殿下に守られる立ち位置は今後のためには良いことなのだろうけど、それがないと学園生活が送れなくなるなんて私は望んでないわ」


そもそも私は二人と関わらずに幸せになることが目標なのだ。
何が悲しくてこんなに関わらなきゃならない………と言いつつ今回頭を突っ込んだのは私だったりする。
その矛盾に関して、うまく説明が出来ないけれど今回のことは踏み込まずにはいられなかった。


「かっこいいなぁ………アルレートに聞かせてやりたいくらいだ」


「彼女はドミニク殿下に守られてこその立場だから良いのよ」


こそこそと私とローランドは話しているが、その正面では泣き崩れる取り巻きとご慈悲を、と頭を下げるグレゴリーの姿があった。
それをアルレートは鼻で笑ってからドミニク殿下に近寄ろうとするも途中で大きなクシャミをしていた。
それを見たドミニク殿下は彼女たちなど見向きもせず、アルレートに近寄り先程貸そうとしていた上着を貸していた。


「ローランド、俺はもう用が済んだからあとは好きにすると良い」


しっかりとアルレートを支えながら言うドミニク殿下の表情は先程よりもスッキリしていて、どこかホッとしているようにも見えた。


「ほーい、そうします!」


去っていく二人に向かって彼女たちは必死に泣き叫ぶも、二人が足を止めることはなかった。
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