8 / 9
8
しおりを挟む
「君は苦手そうだな」
「やっぱり、そう見えますか」
「あぁ。しっかりと自分の気持ちは言葉で伝えた方が言いと思う」
ルイスの言う通りだよね。
一度として自分の気持ちをルイスに伝えることなく、人生を一度終えてしまったからね。
今世はしっかりと言葉にするようにしなきゃ。
「で?」
「はい?」
「やる気が満ち溢れた所で俺に言いたいことは?」
「ルイスさんに言いたいこと………ですか?」
「あるだろう。先から視線がうるさい」
「そ、それはすみません」
無意識に見てたのかも。
うわぁ、恥ずかしい。
いや、それより言いたいこと、言いたいことね。
今のルイスに言いたいこと………『どうか、今世は幸せにお過ごしください』とか?
いや、今世って何?って言われるよね。
これじゃあ、会社に来たファンと同じような人物になって、不審人物だと思われて家出されるわ。
それなら、この間のファンのことを聞いてみようかな。
「言いたいことというか、聞きたいことなんですが、この間のファンという方、あれ以降、何もしてきていませんか?」
「してきていない、というより出来ないと思うな」
「出来ない、ですか?」
「あぁ。この間の術具を逆探知させて貰って居場所を特定した後にザッカリーに処分を任せた。あいつはあれ意外にも余罪があったからな」
処分………処分って何かって聞いた方が良いのかな。
聞いたら駄目なような気がするからやめておこうかな、ルイスも言いたくなさそうだし。
「そう、だったんですね。ルイスさんにあれ以上何も起きなくて良かったです」
「心配かけて悪かったな。だが、この小鳥はまだ預かっていてもいいか?」
「勿論です」
そう言えば、ルイスの肩に乗っていた小鳥は嬉しそうにルイスの周辺を飛び再び肩へと着地した。
「ありがとう。この小鳥が側にいると安心するんだよ。まるで昔に戻ったかのように思えて、な」
「え?」
それはどういう意味なのかと問いかける前に、ルイスの顔が急に近付いてきた。
美しすぎる顔が目の前にさらされ、良い香りに包まれているような気分に陥る。
何だ、何が起きているんだ。
それに昔ってなんだろう。
小鳥と戯れるような出来事があったのかな。
「ファン王子、俺が誰だか分かりますよね?」
「え」
王子って………まさか、記憶があるのか?!
え、どうやって分かったんだ?
名前も見た目も性別だって違うのに。
「そのようだと分かるようですね。まぁ、貴方と違って私は性別しか変わっていませんからね」
細いけれど男らしい指が頬にかかり、お互いの息が当たるくらいの距離まで顔が近付けられた。
「昔も今もうまく隠れてくれましたね。もう逃がしませんよ、ファン王子。私からーーーいえ、俺から逃れられるなんて思うなよ」
「やっぱり、そう見えますか」
「あぁ。しっかりと自分の気持ちは言葉で伝えた方が言いと思う」
ルイスの言う通りだよね。
一度として自分の気持ちをルイスに伝えることなく、人生を一度終えてしまったからね。
今世はしっかりと言葉にするようにしなきゃ。
「で?」
「はい?」
「やる気が満ち溢れた所で俺に言いたいことは?」
「ルイスさんに言いたいこと………ですか?」
「あるだろう。先から視線がうるさい」
「そ、それはすみません」
無意識に見てたのかも。
うわぁ、恥ずかしい。
いや、それより言いたいこと、言いたいことね。
今のルイスに言いたいこと………『どうか、今世は幸せにお過ごしください』とか?
いや、今世って何?って言われるよね。
これじゃあ、会社に来たファンと同じような人物になって、不審人物だと思われて家出されるわ。
それなら、この間のファンのことを聞いてみようかな。
「言いたいことというか、聞きたいことなんですが、この間のファンという方、あれ以降、何もしてきていませんか?」
「してきていない、というより出来ないと思うな」
「出来ない、ですか?」
「あぁ。この間の術具を逆探知させて貰って居場所を特定した後にザッカリーに処分を任せた。あいつはあれ意外にも余罪があったからな」
処分………処分って何かって聞いた方が良いのかな。
聞いたら駄目なような気がするからやめておこうかな、ルイスも言いたくなさそうだし。
「そう、だったんですね。ルイスさんにあれ以上何も起きなくて良かったです」
「心配かけて悪かったな。だが、この小鳥はまだ預かっていてもいいか?」
「勿論です」
そう言えば、ルイスの肩に乗っていた小鳥は嬉しそうにルイスの周辺を飛び再び肩へと着地した。
「ありがとう。この小鳥が側にいると安心するんだよ。まるで昔に戻ったかのように思えて、な」
「え?」
それはどういう意味なのかと問いかける前に、ルイスの顔が急に近付いてきた。
美しすぎる顔が目の前にさらされ、良い香りに包まれているような気分に陥る。
何だ、何が起きているんだ。
それに昔ってなんだろう。
小鳥と戯れるような出来事があったのかな。
「ファン王子、俺が誰だか分かりますよね?」
「え」
王子って………まさか、記憶があるのか?!
え、どうやって分かったんだ?
名前も見た目も性別だって違うのに。
「そのようだと分かるようですね。まぁ、貴方と違って私は性別しか変わっていませんからね」
細いけれど男らしい指が頬にかかり、お互いの息が当たるくらいの距離まで顔が近付けられた。
「昔も今もうまく隠れてくれましたね。もう逃がしませんよ、ファン王子。私からーーーいえ、俺から逃れられるなんて思うなよ」
7
あなたにおすすめの小説
王太子殿下との思い出は、泡雪のように消えていく
木風
恋愛
王太子殿下の生誕を祝う夜会。
侯爵令嬢にとって、それは一生に一度の夢。
震える手で差し出された御手を取り、ほんの数分だけ踊った奇跡。
二度目に誘われたとき、心は淡い期待に揺れる。
けれど、その瞳は一度も自分を映さなかった。
殿下の視線の先にいるのは誰よりも美しい、公爵令嬢。
「ご一緒いただき感謝します。この後も楽しんで」
優しくも残酷なその言葉に、胸の奥で夢が泡雪のように消えていくのを感じた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」「エブリスタ」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎泡雪 / 木風 雪乃
おしどり夫婦の茶番
Rj
恋愛
夫がまた口紅をつけて帰ってきた。お互い初恋の相手でおしどり夫婦として知られるナタリアとブライアン。
おしどり夫婦にも人にはいえない事情がある。
一話完結。『一番でなくとも』に登場したナタリアの話です。未読でも問題なく読んでいただけます。
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
男装の騎士に心を奪われる予定の婚約者がいる私の憂鬱
鍋
恋愛
私は10歳の時にファンタジー小説のライバル令嬢だと気付いた。
婚約者の王太子殿下は男装の騎士に心を奪われ私との婚約を解消する予定だ。
前世も辛い失恋経験のある私は自信が無いから王太子から逃げたい。
だって、二人のラブラブなんて想像するのも辛いもの。
私は今世も勉強を頑張ります。だって知識は裏切らないから。
傷付くのが怖くて臆病なヒロインが、傷付く前にヒーローを避けようと頑張る物語です。
王道ありがちストーリー。ご都合主義満載。
ハッピーエンドは確実です。
※ヒーローはヒロインを振り向かせようと一生懸命なのですが、悲しいことに避けられてしまいます。
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
婚約者が私のことをゴリラと言っていたので、距離を置くことにしました
相馬香子
恋愛
ある日、クローネは婚約者であるレアルと彼の友人たちの会話を盗み聞きしてしまう。
――男らしい? ゴリラ?
クローネに対するレアルの言葉にショックを受けた彼女は、レアルに絶交を突きつけるのだった。
デリカシーゼロ男と男装女子の織り成す、勘違い系ラブコメディです。
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
もう何も信じられない
ミカン♬
恋愛
ウェンディは同じ学年の恋人がいる。彼は伯爵令息のエドアルト。1年生の時に学園の図書室で出会って二人は友達になり、仲を育んで恋人に発展し今は卒業後の婚約を待っていた。
ウェンディは平民なのでエドアルトの家からは反対されていたが、卒業して互いに気持ちが変わらなければ婚約を認めると約束されたのだ。
その彼が他の令嬢に恋をしてしまったようだ。彼女はソーニア様。ウェンディよりも遥かに可憐で天使のような男爵令嬢。
「すまないけど、今だけ自由にさせてくれないか」
あんなに愛を囁いてくれたのに、もう彼の全てが信じられなくなった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる