願うのはあなただけ

mahiro

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「君は苦手そうだな」


「やっぱり、そう見えますか」


「あぁ。しっかりと自分の気持ちは言葉で伝えた方が言いと思う」


ルイスの言う通りだよね。
一度として自分の気持ちをルイスに伝えることなく、人生を一度終えてしまったからね。
今世はしっかりと言葉にするようにしなきゃ。


「で?」


「はい?」


「やる気が満ち溢れた所で俺に言いたいことは?」


「ルイスさんに言いたいこと………ですか?」


「あるだろう。先から視線がうるさい」


「そ、それはすみません」


無意識に見てたのかも。
うわぁ、恥ずかしい。
いや、それより言いたいこと、言いたいことね。
今のルイスに言いたいこと………『どうか、今世は幸せにお過ごしください』とか?
いや、今世って何?って言われるよね。
これじゃあ、会社に来たファンと同じような人物になって、不審人物だと思われて家出されるわ。
それなら、この間のファンのことを聞いてみようかな。


「言いたいことというか、聞きたいことなんですが、この間のファンという方、あれ以降、何もしてきていませんか?」


「してきていない、というより出来ないと思うな」


「出来ない、ですか?」


「あぁ。この間の術具を逆探知させて貰って居場所を特定した後にザッカリーに処分を任せた。あいつはあれ意外にも余罪があったからな」


処分………処分って何かって聞いた方が良いのかな。
聞いたら駄目なような気がするからやめておこうかな、ルイスも言いたくなさそうだし。


「そう、だったんですね。ルイスさんにあれ以上何も起きなくて良かったです」


「心配かけて悪かったな。だが、この小鳥はまだ預かっていてもいいか?」


「勿論です」


そう言えば、ルイスの肩に乗っていた小鳥は嬉しそうにルイスの周辺を飛び再び肩へと着地した。


「ありがとう。この小鳥が側にいると安心するんだよ。まるで昔に戻ったかのように思えて、な」


「え?」


それはどういう意味なのかと問いかける前に、ルイスの顔が急に近付いてきた。
美しすぎる顔が目の前にさらされ、良い香りに包まれているような気分に陥る。
何だ、何が起きているんだ。
それに昔ってなんだろう。
小鳥と戯れるような出来事があったのかな。


「ファン王子、が誰だか分かりますよね?」


「え」


王子って………まさか、記憶があるのか?!
え、どうやって分かったんだ?
名前も見た目も性別だって違うのに。


「そのようだと分かるようですね。まぁ、貴方と違って私は性別しか変わっていませんからね」


細いけれど男らしい指が頬にかかり、お互いの息が当たるくらいの距離まで顔が近付けられた。


「昔も今もうまく隠れてくれましたね。もう逃がしませんよ、ファン王子。私からーーーいえ、俺から逃れられるなんて思うなよ」
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