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素材採取②
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ラフィーの顔の両側に手をついて、彼女に覆いかぶさり、リュオはささやいた。
「それなりの刺激がないと愛液は採取できないだろ? 手伝ってやるよ」
銀色の瞳に至近距離から覗き込まれて、ラフィーの体の中心がズクンッと反応した。
「え、あ、あの……だ、大丈夫、だから……」
うろたえるラフィーに構わず、リュオは続けた。
「それに、僕も恥ずかしいところを見られたんだ。今度はあんたの番でもいいだろ?」
口許を歪め、そんなことを言い出したリュオに、ラフィーは「なるほど~!」と目から鱗というように、納得した。
その反応に、リュオは崩れ落ちそうになる。
(そんな簡単に丸め込まれるなよ!!)
自分で作った状況のくせに、危なっかしいラフィーに、リュオは憤りさえ覚えた。
それでも、同意は得られたとして、彼女の頬に触れ、首筋を辿り、胸に触れた。
「あ……」
ラフィーは声を上げたが、嫌がる様子はなく、真っ赤に染まった頬でリュオを凝視するばかりだった。
大きく円を描くように胸を擦り、揉みしだくけど、やっぱりラフィーは彼のなすがままだ。
(好きでもない男にここまで許すなんて!)
こんな有様では、少し強引に迫られたら、ラフィーは簡単に落ちてしまうのではないかと、リュオは焦った。
(こんなことなら、僕が口説いてもいいよね?)
頬に口づけ、首元を舐って、リュオの手がラフィーの脇腹から腰を辿る。
そして、もう一度、ラフィーを見つめ、リュオは口を開いた。
「ねぇ、ラフィー。僕は……」
リュオの手が自分の体を這うのを、まるで他人事のように唖然と見ていたラフィーは、それでも、自分の中から、とろりとろりと愛液が滲み出してきているのを感じていた。
(リュオが私を触ってる!)
チュッと頬に口づけられ、ぽわんとなる。
まだ触られてもいないところがじんわり濡れていて、そこを目指してリュオの手が動いているのに気づき、ラフィーはハッとした。
(もう濡れてるなんて、はしたないと思われるかも!)
そう思ったとたん、恥ずかしさのあまり、彼女はなにか言いかけていたリュオを押し退けていた。
突然の彼女の抵抗に驚いているリュオの体の下から抜け出すと、ラフィーは「ご、ごめん! ひとりで大丈夫だから、ありがとう!」と言って、革袋を引っ掴み、走り去った。
呆然としていたリュオは、直後に頭を抱えた。
(うわぁ、うわぁ……)
半ばパニック状態で、自分の部屋に戻るとラフィーは戸を背にもたれかかって、身悶えた。
心臓がばっくん、ばっくんと跳ねていて、胸が苦しい。
ショーツの濡れて冷たい感触に我に返り、恐る恐るそれを脱ぐと採取できるほどに愛液で濡れていた。自分に触れたリュオの手や唇を思い出すと、さらに蜜が太ももを滴り落ちる。
ラフィーは赤い顔でそれを小瓶に採取した。
「揃っちゃった……」
脱力してぺたりと床に座り込む。
あとは調合するだけで、惚れ薬の完成だ。
「どうしよう……?」
ラフィーは、リュオにキスされた頬を押さえた。
───惚れ薬は好意を増幅させるだけのもの。
クロードの言葉を思い出して、ラフィーの心は揺れた。
(リュオが私になんの好意も抱いていなかったら、惚れ薬は効かない。でも……)
頬に触れた熱い唇を思い出す。
(少しは私に好意を持っていてくれてるんじゃないかしら? だとしたら、私にもチャンスはある?)
リュオは片想いをしているらしい。彼がその子に惚れ薬を使う前に自分が使ってしまったら、とラフィーは考えた。
(ずるいかな? ずるいよね……? でも……)
心は堂々巡りを繰り返す。
結論は出ないまま、ラフィーは身を清めると、寝てしまうことにした。
でも、ベッドで目をつぶると、リュオの愛撫を思い出してしまう。
首筋にかかる息づかい。ぺろりと舐められた鎖骨。優しく触れられた胸。体の線をなぞる手。
思い出すだけで濡れてきてしまって、ラフィーは自分が信じられなかった。
(私って、結構エッチだったのね)
愕然としながらも、慣れない経験に疲れていたラフィーはほどなく眠りに落ちていった。
翌朝、ラフィーは採取したばかりの素材を携えて、ガイラの工房に出勤した。
「おはようございます、師匠。素材が全部揃いました」
開口一番ラフィーがそう言うと、めずらしくガイラが瞠目した。
「もう? リュオってば、なかなか手が早いじゃない」
驚いた表情は一瞬で、ガイラはニヤニヤ笑い出した。
「それで、どうだった? あ、処女の血はちゃんと採取したでしょうね!?」
「な、なんで、処女の血なんですか!?」
ガイラの言葉に今度はラフィーが驚いて、顔を赤らめた。その反応にガイラがまた驚く。
「え? ヤってないの?」
「やって……? やってません! そんなことするわけないじゃないですか!」
「でも、精液は取ったんでしょ?」
「もちろんです。それを協力してくれたんですもん」
変な疑いをかけられて心外だと頬を膨らませるラフィーを見て、「あのヘタレ!」とガイラはつぶやいた。
「え?」
「なんでもない。じゃあ、リュオは精液だけ取らせてくれたの?」
「そうですよ?」
当たり前じゃないかと大真面目に頷くラフィーに、ガイラは吹き出した。
「精液だけって! ふ、ふふふっ」
なにがおかしいのか、爆笑しているガイラをポカンとラフィーが見ていたら、「ずいぶん楽しそうだね、サリ」ときらびやかな人が入ってきた。彼の存在だけで、周囲の光度が上がる。
「あ、クロード、聞いてよ! ふふっ」
よっぽど共有したかったのか、めずらしく自分から話しかけるガイラに、クロードは碧い宝石の瞳を細めた。
「リュオってば、精液だけを提供してくれたんだって!」
クスクス笑いながら、彼に報告するガイラの隣りにスッと腰かけ、クロードは「へぇ」とくすり微笑んだ。
「リュオはずいぶん我慢強いんだね」
「ヘタレなだけよ! ヘタレ!」
ラフィーはガイラがなぜそんなに笑っているのかわからなかったが、彼女が笑いを治めないうえ、そんなことを言うので、プゥーッと膨れた。
「リュオを悪く言うのはやめてください! リュオは紳士なだけです!」
「あー、ごめんごめん。うんうん、紳士よね~、うん、ふふっ」
結局、新たな笑いを誘ってしまったようで、ラフィーがガイラを睨んでいると、クロードが穏やかに話しかけてきた。
「ラフィーはリュオ以外の男性と二人きりにならない方がいいね」
「どうして?」
「う~ん、警戒心がなさすぎるからね。見ていて危なっかしいよ」
「リュオにも言われた……」
まさか同じようなことをクロードからも言われるとは思わずに、ラフィーはショックを受けた。
「私って、そんなにぼんやりしてる?」
ラフィーは自分がおバカな自覚はあるけど、そんなに隙だらけなのかと恐る恐る尋ねてみる。
「ぼんやりというか、魅力的な女性の自覚がないよね?」
「あぁ、それだったら、そんな魅力ないから全然大丈夫よ! わざわざ私に興味持つ人なんていないもん」
あっけらかんと言うラフィーに、ガイラとクロードは思わず、目を見交わせた。
「どうしてそう思うの?」
「え、だって、師匠も知ってるでしょ? 私がここに来たばかりのとき、しゃべるとイメージが違うとかバカっぽいとかツンと澄ましたままの方がいいとか散々言われましたよね?」
「え、あれをそう取ったの? 否定じゃなかったでしょ?」
『ギャップ萌』だとか『ほんわかしてる』とか、一部変態に『澄ました顔で踏まれたい』だとか、好き勝手なことを言われていたのは確かだけど、必ずしも悪い意味ではなかったのにとガイラは思った。
「でも、実際、私、男性から誘われたこともないですし」
ちょっとさみしそうにラフィーは肩をすくめた。
「それはクロードとリュオに割って入る勇気のある男性はなかなかいないでしょうからね……」
ガイラが苦笑すると、「えっ、じゃあ、噂のせいだったんですか!」とラフィーが目を丸くした。
「まぁ、そうね。ひそかにラフィーを気に入ってる人もいたと思うわよ」
リュオはあからさまに威嚇していたけどね、と心の中でガイラは付け加えた。
「えぇー、そうなんですか!?」
自分への評価が思っていたものと違って、ラフィーはびっくりした。ちょっとうれしくなって、ラフィーは微笑んだ。
「それはそうと、ラフィー、素材が集まったのなら、早速調合するわよ!」
急にやる気を出したガイラが宣言した。
そして、調合の邪魔だとクロードを追い出す。
彼は不平も言わず、「じゃあね」とガイラの頬をスーッと撫でて、部屋を出ていった。
「今回の素材は鮮度が命だからね~」
そう言うガイラに従い、ラフィーは工房のドアに『調合中につき立入禁止』という札を下げ、必要な人のために、台を出して、傷薬、魔力回復薬、体力回復薬などの基礎的な瓶を並べた。
ご自由にお取りください方式だ。
準備ができると、ラフィーはガイラの指導のもと、惚れ薬の調合を始めた。
「それなりの刺激がないと愛液は採取できないだろ? 手伝ってやるよ」
銀色の瞳に至近距離から覗き込まれて、ラフィーの体の中心がズクンッと反応した。
「え、あ、あの……だ、大丈夫、だから……」
うろたえるラフィーに構わず、リュオは続けた。
「それに、僕も恥ずかしいところを見られたんだ。今度はあんたの番でもいいだろ?」
口許を歪め、そんなことを言い出したリュオに、ラフィーは「なるほど~!」と目から鱗というように、納得した。
その反応に、リュオは崩れ落ちそうになる。
(そんな簡単に丸め込まれるなよ!!)
自分で作った状況のくせに、危なっかしいラフィーに、リュオは憤りさえ覚えた。
それでも、同意は得られたとして、彼女の頬に触れ、首筋を辿り、胸に触れた。
「あ……」
ラフィーは声を上げたが、嫌がる様子はなく、真っ赤に染まった頬でリュオを凝視するばかりだった。
大きく円を描くように胸を擦り、揉みしだくけど、やっぱりラフィーは彼のなすがままだ。
(好きでもない男にここまで許すなんて!)
こんな有様では、少し強引に迫られたら、ラフィーは簡単に落ちてしまうのではないかと、リュオは焦った。
(こんなことなら、僕が口説いてもいいよね?)
頬に口づけ、首元を舐って、リュオの手がラフィーの脇腹から腰を辿る。
そして、もう一度、ラフィーを見つめ、リュオは口を開いた。
「ねぇ、ラフィー。僕は……」
リュオの手が自分の体を這うのを、まるで他人事のように唖然と見ていたラフィーは、それでも、自分の中から、とろりとろりと愛液が滲み出してきているのを感じていた。
(リュオが私を触ってる!)
チュッと頬に口づけられ、ぽわんとなる。
まだ触られてもいないところがじんわり濡れていて、そこを目指してリュオの手が動いているのに気づき、ラフィーはハッとした。
(もう濡れてるなんて、はしたないと思われるかも!)
そう思ったとたん、恥ずかしさのあまり、彼女はなにか言いかけていたリュオを押し退けていた。
突然の彼女の抵抗に驚いているリュオの体の下から抜け出すと、ラフィーは「ご、ごめん! ひとりで大丈夫だから、ありがとう!」と言って、革袋を引っ掴み、走り去った。
呆然としていたリュオは、直後に頭を抱えた。
(うわぁ、うわぁ……)
半ばパニック状態で、自分の部屋に戻るとラフィーは戸を背にもたれかかって、身悶えた。
心臓がばっくん、ばっくんと跳ねていて、胸が苦しい。
ショーツの濡れて冷たい感触に我に返り、恐る恐るそれを脱ぐと採取できるほどに愛液で濡れていた。自分に触れたリュオの手や唇を思い出すと、さらに蜜が太ももを滴り落ちる。
ラフィーは赤い顔でそれを小瓶に採取した。
「揃っちゃった……」
脱力してぺたりと床に座り込む。
あとは調合するだけで、惚れ薬の完成だ。
「どうしよう……?」
ラフィーは、リュオにキスされた頬を押さえた。
───惚れ薬は好意を増幅させるだけのもの。
クロードの言葉を思い出して、ラフィーの心は揺れた。
(リュオが私になんの好意も抱いていなかったら、惚れ薬は効かない。でも……)
頬に触れた熱い唇を思い出す。
(少しは私に好意を持っていてくれてるんじゃないかしら? だとしたら、私にもチャンスはある?)
リュオは片想いをしているらしい。彼がその子に惚れ薬を使う前に自分が使ってしまったら、とラフィーは考えた。
(ずるいかな? ずるいよね……? でも……)
心は堂々巡りを繰り返す。
結論は出ないまま、ラフィーは身を清めると、寝てしまうことにした。
でも、ベッドで目をつぶると、リュオの愛撫を思い出してしまう。
首筋にかかる息づかい。ぺろりと舐められた鎖骨。優しく触れられた胸。体の線をなぞる手。
思い出すだけで濡れてきてしまって、ラフィーは自分が信じられなかった。
(私って、結構エッチだったのね)
愕然としながらも、慣れない経験に疲れていたラフィーはほどなく眠りに落ちていった。
翌朝、ラフィーは採取したばかりの素材を携えて、ガイラの工房に出勤した。
「おはようございます、師匠。素材が全部揃いました」
開口一番ラフィーがそう言うと、めずらしくガイラが瞠目した。
「もう? リュオってば、なかなか手が早いじゃない」
驚いた表情は一瞬で、ガイラはニヤニヤ笑い出した。
「それで、どうだった? あ、処女の血はちゃんと採取したでしょうね!?」
「な、なんで、処女の血なんですか!?」
ガイラの言葉に今度はラフィーが驚いて、顔を赤らめた。その反応にガイラがまた驚く。
「え? ヤってないの?」
「やって……? やってません! そんなことするわけないじゃないですか!」
「でも、精液は取ったんでしょ?」
「もちろんです。それを協力してくれたんですもん」
変な疑いをかけられて心外だと頬を膨らませるラフィーを見て、「あのヘタレ!」とガイラはつぶやいた。
「え?」
「なんでもない。じゃあ、リュオは精液だけ取らせてくれたの?」
「そうですよ?」
当たり前じゃないかと大真面目に頷くラフィーに、ガイラは吹き出した。
「精液だけって! ふ、ふふふっ」
なにがおかしいのか、爆笑しているガイラをポカンとラフィーが見ていたら、「ずいぶん楽しそうだね、サリ」ときらびやかな人が入ってきた。彼の存在だけで、周囲の光度が上がる。
「あ、クロード、聞いてよ! ふふっ」
よっぽど共有したかったのか、めずらしく自分から話しかけるガイラに、クロードは碧い宝石の瞳を細めた。
「リュオってば、精液だけを提供してくれたんだって!」
クスクス笑いながら、彼に報告するガイラの隣りにスッと腰かけ、クロードは「へぇ」とくすり微笑んだ。
「リュオはずいぶん我慢強いんだね」
「ヘタレなだけよ! ヘタレ!」
ラフィーはガイラがなぜそんなに笑っているのかわからなかったが、彼女が笑いを治めないうえ、そんなことを言うので、プゥーッと膨れた。
「リュオを悪く言うのはやめてください! リュオは紳士なだけです!」
「あー、ごめんごめん。うんうん、紳士よね~、うん、ふふっ」
結局、新たな笑いを誘ってしまったようで、ラフィーがガイラを睨んでいると、クロードが穏やかに話しかけてきた。
「ラフィーはリュオ以外の男性と二人きりにならない方がいいね」
「どうして?」
「う~ん、警戒心がなさすぎるからね。見ていて危なっかしいよ」
「リュオにも言われた……」
まさか同じようなことをクロードからも言われるとは思わずに、ラフィーはショックを受けた。
「私って、そんなにぼんやりしてる?」
ラフィーは自分がおバカな自覚はあるけど、そんなに隙だらけなのかと恐る恐る尋ねてみる。
「ぼんやりというか、魅力的な女性の自覚がないよね?」
「あぁ、それだったら、そんな魅力ないから全然大丈夫よ! わざわざ私に興味持つ人なんていないもん」
あっけらかんと言うラフィーに、ガイラとクロードは思わず、目を見交わせた。
「どうしてそう思うの?」
「え、だって、師匠も知ってるでしょ? 私がここに来たばかりのとき、しゃべるとイメージが違うとかバカっぽいとかツンと澄ましたままの方がいいとか散々言われましたよね?」
「え、あれをそう取ったの? 否定じゃなかったでしょ?」
『ギャップ萌』だとか『ほんわかしてる』とか、一部変態に『澄ました顔で踏まれたい』だとか、好き勝手なことを言われていたのは確かだけど、必ずしも悪い意味ではなかったのにとガイラは思った。
「でも、実際、私、男性から誘われたこともないですし」
ちょっとさみしそうにラフィーは肩をすくめた。
「それはクロードとリュオに割って入る勇気のある男性はなかなかいないでしょうからね……」
ガイラが苦笑すると、「えっ、じゃあ、噂のせいだったんですか!」とラフィーが目を丸くした。
「まぁ、そうね。ひそかにラフィーを気に入ってる人もいたと思うわよ」
リュオはあからさまに威嚇していたけどね、と心の中でガイラは付け加えた。
「えぇー、そうなんですか!?」
自分への評価が思っていたものと違って、ラフィーはびっくりした。ちょっとうれしくなって、ラフィーは微笑んだ。
「それはそうと、ラフィー、素材が集まったのなら、早速調合するわよ!」
急にやる気を出したガイラが宣言した。
そして、調合の邪魔だとクロードを追い出す。
彼は不平も言わず、「じゃあね」とガイラの頬をスーッと撫でて、部屋を出ていった。
「今回の素材は鮮度が命だからね~」
そう言うガイラに従い、ラフィーは工房のドアに『調合中につき立入禁止』という札を下げ、必要な人のために、台を出して、傷薬、魔力回復薬、体力回復薬などの基礎的な瓶を並べた。
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