20 / 41
【オフィス編】
勉強会②
しおりを挟む
『ふるさと納税で届いたんだ。カニ鍋しようぜ』
(勉強会はどこに行ったの?)
そう思うものの、ゴクリと唾を呑み込む。
『お前、カニ好きだろ?』
『好きだけど。なんで知ってるのよ』
『前に同期会で、黙々とカニを食ってただろ。食べないヤツの分も奪って』
『それはもったいなかったからよ!』
『一人じゃ食べ切れないなぁ。せっかく新鮮で刺し身でも食えるやつなんたけど、腐らせちゃうかもな~』
それは聞き捨てならない。
『何時から?』
『二時はどうだ?』
『いいわよ』
『じゃあ、駅まで迎えに行くから、東改札口で待ってて』
『わかった』
犬が尻尾を振っているスタンプが送られてきた。
自分でもワンコな自覚があるのかとちょっとおかしい。
(進藤に乗せられるのは癪に障るけど、カニを救出せねば!)
明日の使命を思うと、顔が緩んでくる。
私はご機嫌で資料作成を進めた。
土曜の二時十分前に進藤の最寄り駅に着いた。
彼の家はなにげに近くて、隣駅だ。
同期会のたびに帰りが一緒になるから、それは知っていたけど、当然、ヤツの家に行くのは初めてだ。
東改札口に行くと、進藤はすでに待っていて、私を発見して顔を輝かせた。
「よく来たな、夏希」
進藤は最近、二人のときは夏希と呼ぶようになった。
許可してないのに。
まぁ、目くじらを立てるほどのことではないから放置しているけど。
こっちだ、と誘導する進藤についていくと、十分ほどで、小綺麗なマンションに着いた。
「コーヒー淹れるから、その辺に座ってて」
進藤の部屋は1Kで、モノトーンに近いシンプルで片づいた部屋だった。
そして、中央には魅惑のコタツがあった。
コタツ布団はやっぱりモノトーンの北欧柄で、最近のコタツはオシャレなのねと感心する。
もそもそと入ると、幸せの温もり。
(コタツ買いたいなと思っていたけど、やっぱり買おうかな。でも、抜け出せなくなりそう)
私がぬくぬくしていると、進藤がコーヒーを持ってきてくれた。
「あ、そうだ。クッキー持ってきたんだ」
進藤とはいえ、部屋にお邪魔するのに手ぶらもなんだからと駅前で買ってきたんだ。
「ありがとう」
クッキーの箱を早速開けようとした進藤を慌てて制する。
「ダメよ!」
「え、なんで?」
キョトンとする進藤に言って聞かせる。
「今夜はカニ鍋なんでしょ? クッキー食べるなら、明日にして」
「ハハッ、どんだけカニ鍋のために準備万端にしようとしてるんだ!」
笑われたけど、うっかりクッキーを食べ過ぎてしまったら、せっかくのカニが満喫できない。
進藤は素直に箱から手を離して、横に置いた。
(勉強会はどこに行ったの?)
そう思うものの、ゴクリと唾を呑み込む。
『お前、カニ好きだろ?』
『好きだけど。なんで知ってるのよ』
『前に同期会で、黙々とカニを食ってただろ。食べないヤツの分も奪って』
『それはもったいなかったからよ!』
『一人じゃ食べ切れないなぁ。せっかく新鮮で刺し身でも食えるやつなんたけど、腐らせちゃうかもな~』
それは聞き捨てならない。
『何時から?』
『二時はどうだ?』
『いいわよ』
『じゃあ、駅まで迎えに行くから、東改札口で待ってて』
『わかった』
犬が尻尾を振っているスタンプが送られてきた。
自分でもワンコな自覚があるのかとちょっとおかしい。
(進藤に乗せられるのは癪に障るけど、カニを救出せねば!)
明日の使命を思うと、顔が緩んでくる。
私はご機嫌で資料作成を進めた。
土曜の二時十分前に進藤の最寄り駅に着いた。
彼の家はなにげに近くて、隣駅だ。
同期会のたびに帰りが一緒になるから、それは知っていたけど、当然、ヤツの家に行くのは初めてだ。
東改札口に行くと、進藤はすでに待っていて、私を発見して顔を輝かせた。
「よく来たな、夏希」
進藤は最近、二人のときは夏希と呼ぶようになった。
許可してないのに。
まぁ、目くじらを立てるほどのことではないから放置しているけど。
こっちだ、と誘導する進藤についていくと、十分ほどで、小綺麗なマンションに着いた。
「コーヒー淹れるから、その辺に座ってて」
進藤の部屋は1Kで、モノトーンに近いシンプルで片づいた部屋だった。
そして、中央には魅惑のコタツがあった。
コタツ布団はやっぱりモノトーンの北欧柄で、最近のコタツはオシャレなのねと感心する。
もそもそと入ると、幸せの温もり。
(コタツ買いたいなと思っていたけど、やっぱり買おうかな。でも、抜け出せなくなりそう)
私がぬくぬくしていると、進藤がコーヒーを持ってきてくれた。
「あ、そうだ。クッキー持ってきたんだ」
進藤とはいえ、部屋にお邪魔するのに手ぶらもなんだからと駅前で買ってきたんだ。
「ありがとう」
クッキーの箱を早速開けようとした進藤を慌てて制する。
「ダメよ!」
「え、なんで?」
キョトンとする進藤に言って聞かせる。
「今夜はカニ鍋なんでしょ? クッキー食べるなら、明日にして」
「ハハッ、どんだけカニ鍋のために準備万端にしようとしてるんだ!」
笑われたけど、うっかりクッキーを食べ過ぎてしまったら、せっかくのカニが満喫できない。
進藤は素直に箱から手を離して、横に置いた。
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる