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初詣
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寝る場所は変わったが、それ以外は結婚しても生活は変わらず、望晴は今まで通り働いた。
休日の前夜などには求められ、身体を重ねることにも慣れていく。
年末年始は望晴はほとんど仕事で、拓斗は休みだった。
「ご実家に行かれたりしないんですか?」
「しない。両親とはこの間会ったばかりだし必要ない」
拓斗は父親に対するわだかまりがまだ解消できていないようで、実家には行きたくないようだ。
読書したり、ジムで運動したりしてゆっくり過ごすと言う。
「それなら、元旦に初詣に行きませんか?」
元旦はモール全体が休みなので、もちろん望晴も休みだった。
モールに隣接して有名な神社があるので、望晴は毎年仕事始めの日の朝、お参りしていた。今回はせっかくなので、拓斗も一緒にと思ったのだ。
そう言うと、拓斗が顔をしかめた。
「あそこか。あんな人混みのところにわざわざ出かけるのは時間の無駄じゃないか?」
「あぁ、そうでしたね。すみません。忘れてください」
効率性を重視する拓斗にもっとも似合わない提案をしてしまったと、望晴はしょげた。すぐさま提案を撤回する。
(だいたい、私たちはそんな関係じゃないのに、なに図々しく誘ってしまったんだろう)
クリスマスも拓斗は仕事で遅く、望晴は一人でケーキを食べただけだった。
考えたら、二人で出かけたのも、挨拶のために京都とホテルに行っただけだ。拓斗は望晴とともに時間を過ごそうという気がないのかもしれない。
望晴がそう考えていたら、拓斗は彼女を気づかって思い直したのか、意見を翻した。
「行かないとは言ってない」
「お気づかいなく。いつも通り、初出のときに一人で行きますから」
拓斗を責めていると受け取られないように、望晴はさりげなく言う。
それなのに、彼はむっとして、言い張った。
「君が行くなら、僕も行く」
「無理されなくても――」
「無理などしてない」
「そうですか?」
拓斗がなににこだわっているのかわからず、望晴は首を傾げた。夫として妻の相手をするべきだと思ったのかもしれない。でも、一緒に行けるのは単純にうれしい。
二人は元旦に初詣に行くことにした。
「あけましておめでとうございます」
「おめでとう。今年もよろしく」
新年の挨拶をして、伊勢海老やローストビーフなどの入った豪華なおせちを食べる。
望晴は作ると言ったのだが、拓斗は仕事があるんだから作らなくてもいいと言って、ホテルのおせちを取り寄せてくれたのだ。
「わぁ、彩りが綺麗ですね! 伊達巻、美味しい! あっ、このアワビは柔らかくて、いいお味ですよ。拓斗さんも食べてみてください」
料理を口に入れるたびにいつものように喜びの声をあげ、幸せそうに目を細める望晴を見て、拓斗も微笑んだ。
「気に入ったのならよかった」
「こんな豪勢なおせちは初めてです。ありがとうございます」
おせちはあったけど、望晴はお雑煮も作った。
(お正月といえば、これがないとね)
相変わらず、感想はないが、拓斗は綺麗に食べてくれた。
食後、ゆっくりしてから、午後に出かける予定だ。
神社までは散歩がてら歩いていくことにした。
寒いだろうから、しっかり防寒対策をする。
海が見える大きな公園を横切っていく。
(気持ちいい)
穏やかな海面が日差しを受けて輝いていた。空気は冷たいが、広く開けた眺めが爽快だ。
神社は拓斗が懸念した通り、激込みで、望晴は拓斗に肩を引き寄せられ、手を繋がれる。そのたびにときめいて大変だった。
お参りしたあと、授与所でお守りをいただく。
この神社の御利益の一つに夫婦和合があって、どきりとした。
出口では甘酒が振る舞われて、二人で飲んだ。
「美味しいですね」
「あぁ、甘酒なんてなかなか飲む機会がないが、意外とうまいな」
冷えた身体に染み渡った。
帰りはさすがに疲れたので、タクシーを使う。
「混んでいても、意外と楽しめたな」
「よかったです!」
そう拓斗がつぶやいたので、望晴はうれしくなって微笑んだ。
休日の前夜などには求められ、身体を重ねることにも慣れていく。
年末年始は望晴はほとんど仕事で、拓斗は休みだった。
「ご実家に行かれたりしないんですか?」
「しない。両親とはこの間会ったばかりだし必要ない」
拓斗は父親に対するわだかまりがまだ解消できていないようで、実家には行きたくないようだ。
読書したり、ジムで運動したりしてゆっくり過ごすと言う。
「それなら、元旦に初詣に行きませんか?」
元旦はモール全体が休みなので、もちろん望晴も休みだった。
モールに隣接して有名な神社があるので、望晴は毎年仕事始めの日の朝、お参りしていた。今回はせっかくなので、拓斗も一緒にと思ったのだ。
そう言うと、拓斗が顔をしかめた。
「あそこか。あんな人混みのところにわざわざ出かけるのは時間の無駄じゃないか?」
「あぁ、そうでしたね。すみません。忘れてください」
効率性を重視する拓斗にもっとも似合わない提案をしてしまったと、望晴はしょげた。すぐさま提案を撤回する。
(だいたい、私たちはそんな関係じゃないのに、なに図々しく誘ってしまったんだろう)
クリスマスも拓斗は仕事で遅く、望晴は一人でケーキを食べただけだった。
考えたら、二人で出かけたのも、挨拶のために京都とホテルに行っただけだ。拓斗は望晴とともに時間を過ごそうという気がないのかもしれない。
望晴がそう考えていたら、拓斗は彼女を気づかって思い直したのか、意見を翻した。
「行かないとは言ってない」
「お気づかいなく。いつも通り、初出のときに一人で行きますから」
拓斗を責めていると受け取られないように、望晴はさりげなく言う。
それなのに、彼はむっとして、言い張った。
「君が行くなら、僕も行く」
「無理されなくても――」
「無理などしてない」
「そうですか?」
拓斗がなににこだわっているのかわからず、望晴は首を傾げた。夫として妻の相手をするべきだと思ったのかもしれない。でも、一緒に行けるのは単純にうれしい。
二人は元旦に初詣に行くことにした。
「あけましておめでとうございます」
「おめでとう。今年もよろしく」
新年の挨拶をして、伊勢海老やローストビーフなどの入った豪華なおせちを食べる。
望晴は作ると言ったのだが、拓斗は仕事があるんだから作らなくてもいいと言って、ホテルのおせちを取り寄せてくれたのだ。
「わぁ、彩りが綺麗ですね! 伊達巻、美味しい! あっ、このアワビは柔らかくて、いいお味ですよ。拓斗さんも食べてみてください」
料理を口に入れるたびにいつものように喜びの声をあげ、幸せそうに目を細める望晴を見て、拓斗も微笑んだ。
「気に入ったのならよかった」
「こんな豪勢なおせちは初めてです。ありがとうございます」
おせちはあったけど、望晴はお雑煮も作った。
(お正月といえば、これがないとね)
相変わらず、感想はないが、拓斗は綺麗に食べてくれた。
食後、ゆっくりしてから、午後に出かける予定だ。
神社までは散歩がてら歩いていくことにした。
寒いだろうから、しっかり防寒対策をする。
海が見える大きな公園を横切っていく。
(気持ちいい)
穏やかな海面が日差しを受けて輝いていた。空気は冷たいが、広く開けた眺めが爽快だ。
神社は拓斗が懸念した通り、激込みで、望晴は拓斗に肩を引き寄せられ、手を繋がれる。そのたびにときめいて大変だった。
お参りしたあと、授与所でお守りをいただく。
この神社の御利益の一つに夫婦和合があって、どきりとした。
出口では甘酒が振る舞われて、二人で飲んだ。
「美味しいですね」
「あぁ、甘酒なんてなかなか飲む機会がないが、意外とうまいな」
冷えた身体に染み渡った。
帰りはさすがに疲れたので、タクシーを使う。
「混んでいても、意外と楽しめたな」
「よかったです!」
そう拓斗がつぶやいたので、望晴はうれしくなって微笑んだ。
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