営業部のイケメンエースは、さわやかなヘンタイでした。

入海月子

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スッキリした?②

「なにか御用でした?」
「ん~、ただ宇沙ちゃん、なにしてるかな、と思って」
「ちょっと早い大掃除してました」
「そう。えらいね」

 にっこりとツリ目を細めて笑う木佐さんの顔が思い浮かぶ。
 なぜだか、ぶわっと体温が上がった。
 でも、次の言葉にすっと冷える。

「……昨日は石原係長と行かなかったんだね」
「どうして?」
「二次会に石原係長も来てたから」
「あぁ、そうなんですね」

 まだ木佐さんに別れたことを告げていないことを後ろめたく思った。
 彼がどういう反応をするかわからなくて、言い出せずにいる。

「二次会、楽しかったですか?」
「斉藤に無理やり引っ張っていかれただけだから、早々に帰ったよ。本当は宇沙ちゃんを連れ帰りたかったんだけどね」
「え、だって、高木さんは?」
「なんで、高木さん?」
「あ、いいえ、高木さんが木佐さんのことを話してたのを聞いたから……」

 くすっと木佐さんが笑った。

「もしかして宇沙ちゃん、嫉妬してくれてた?」
「ち、違います!」
「そう? じゃあ、あのとき、なんで泣きそうな顔してたの?」
「あのとき?」

 本当は思い当たる場面があったのに、わざととぼけた。

「俺が付き合ってる人はいないって言ったとき」
「別に泣きそうな顔なんて……」

 やっぱりそのときのことなのね。
 私、そんな顔してた?

「いるって言ってほしかった?」
「いいえ、付き合ってませんから」
「ほぼ付き合ってない? 毎週デートしてセックスして」
「それは……」

 あなたが脅したからじゃない!
 私たちはそんな甘い関係じゃないわ。
 私が不服そうなのが伝わったようで、軽い調子で木佐さんが言う。

「脅されたから仕方なく?」

 たしかに、最初はそうだった。でも……。

「だいたい木佐さんは他人のものが好きなんですよね? 私は……」

 もう誰のものでもない。
 木佐さんの好みから外れてしまった。
 そう思ったのに、次の彼の言葉に私は目を見開いた。

「別に横恋慕が好きなわけじゃないよ」
「そうなんですか!?」

 私の問いかけには答えてくれず、木佐さんはふっと笑って、話題を変えた。

「ところで、大晦日だけど……」

 木佐さんの家の近所のお寺が除夜の鐘をつかせてくれるというので、夕方から彼の部屋に行くことになった。

「じゃあね。俺も宇沙ちゃんに習って、大掃除しとくよ」

 木佐さんはそう言うけど、彼の部屋はいつも綺麗だ。
 
「それじゃあ、大晦日に」

 電話を切って、頬に手を当てる。
 顔が緩んでる自覚はある。

(高木さんとはなにもなかったんだ……)

 モヤモヤしてたのがクリアになったかというと、新たなモヤモヤが生まれて大差ない気もするけれど、それがわかっただけでうれしくなってしまった。


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