営業部のイケメンエースは、さわやかなヘンタイでした。

入海月子

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こんなのずるい①

 身体を貪られたあと、お風呂場に連れ込まれ、いやらしく洗われて、再び服を着たときにはぐったりしていた。
 対照的に木佐さんはいきいきしている。

「宇沙ちゃん、寒い?」

 風呂場との気温差にぶるっと身を震わせた私を気づかって、木佐さんが聞いてきた。
 でも、寒いどころか身体はまだほてっていて、気だるい。

「いいえ……」
「ご飯食べに行こうかと思ってたけど、疲れちゃった? ごめんね」

 言葉少ない私に、さすがに気まずそうに木佐さんは謝ってきた。
 こうも素直に謝られると、責められず、私は首を振った。

「少し休めば、大丈夫です」
「そう? どうせ除夜の鐘まで時間あるから、ゆっくりしよう」

 木佐さんに後ろから抱き込まれて、しばらくテレビを見た。
 今日はスペシャル番組ばかりで、どのチャンネルも芸人がわさわさ出てきてにぎやかだった。それなのに、木佐さんに包まれて、あったかくて、うとうとする。
 気がつくと、彼の胸で抱っこされて寝ていた。
 
「起きた? か~わいいなぁ、宇沙ちゃん。俺にしがみついてきて。俺、また勃っちゃうよ?」

 私は両手で木佐さんの服を握りしめ、彼にぺとっとくっついていた。
 慌てて身を離そうとしたけど、肩を抱かれて彼の胸もとに引き戻される。
 チュッと額にキスされた。髪をすーっと撫で下ろされる。
 彼はどうしてこんなに甘いんだろう……。

「もっとイチャイチャしてたいけど、出かけないとね」

 動揺している私にお構いなく、木佐さんはあっさりと私を放した。


「なにが食べたい?」
「あっさりめのものがいいです」
「じゃあ、近所の定食屋でいい? うまいんだ」
「はい。もちろん」

 エレベーターで一階に着くと、木佐さんに手を取られて、歩き出す。
 彼は出かけるとき、必ず恋人つなぎをする。
 それをどう考えたらいいのかわからない。

 定食屋さんで、木佐さんは生姜焼き定食を、私はブリの照り焼き定食を食べた。
 夫婦二人でやっているというここの料理は家庭的でたしかに美味しかった。
 木佐さんは常連のようで、店主に「女の子を連れてるなんてめずらしいね」とからかわれていた。
 
(めずらしい?)

 彼の定番のデートコースかと思ったのに、違うんだ。
 そんなささいなことがうれしく感じてしまう。

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