全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第一章 ― 優 ―

写真同好会③

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「もー、調子のいいこと言って! 私、怒ったんだからね!」

 そう言いつつ、顔を見合わせるとぷっと吹き出した。
 ひとしきりじゃれた後、真面目な顔に戻って、さやちゃんが言った。

「でもさー、気をつけなよ? 手を出されないように」
「だいじょぶだいじょぶ。私、色気ないし」
「あー、根に持ってる!」
「そりゃそうだよー」

 私たちはまた笑い合った。



 放課後、お弁当箱を取りに写真部の部室に行った。ノックをしたけど、また返事はない。

 「入りますよー」と言いながらドアを開けたら、やっぱり遥斗先輩がいた。
 そして、やっぱり絵を描いている。
 絵を描くのが本当に好きなんだなぁ。
 でも、あの噂は本当なのかな?

 無視されるかと思ったら、遥斗先輩が振り返った。

「弁当箱はそこにある」

  先輩は無表情なまま、顎で壁際を示した。
 ウソでもうまかったとか言ってほしいなぁ。お母さんに手伝ってはもらったけど、初めて頑張って作ったのに。まぁ、コゲとかあったし、味よりも量になっちゃったけどね。 

「多すぎませんでした?」

 サッカー部だったお兄ちゃんの弁当箱は、久しぶりに見たら暴力的な大きさだった。思わず、それに詰め込めるだけ詰め込んだけど、いくら男の人でも、この細身の人のお腹に入る量じゃなかったかも。
 心配になって尋ねた。

「あんなに腹いっぱい食べたの初めてだ」

 遥斗先輩はふっと笑って言った。
 思わず漏れたというような満足げな微笑み。
 お、おぅ……破壊力抜群だ。
 美形の満面の笑みとかクラクラする。

 無愛想キャラじゃなかったの?
 あ、あれでよかったってことよね?

 動揺してヨロヨロとよろけながら、お弁当箱を回収する。

「あれ? これってプリンター?」

 お弁当箱が置いてあったのは、カラープリンターの上だった。これってもしかしてプロ仕様じゃない?
 当たり前だけど、デジカメの写真印刷はプリンターの性能で出来が全然違う。せっかくうまく撮れた写真でも、プリンターが悪いとうまく色が出なかったり荒かったりで、ガッカリすることが多い。家にあるプリンターがまさにそうだ。

「プリンターがあるということはパソコンもあるんですか?」
「あるぞ? そこに」
「本当だ。わぁ、光沢紙まである! A3の紙があるってことは、このプリンターってA3まで印刷できるの!? すごい!」

 私が興奮していると、遥斗先輩が「でも、そのパソコンは写真部のだからパスワードがないと使えないぞ?」と淡々と言った。さっきの笑みは影も形もない。

「えぇー! そうなんですか? ここの管理しているのって誰ですか?」
「和田先生じゃないか? 元、写真部の顧問だったし」
「わかりました! ちょっと行ってきます! 明日も朝にお弁当を持ってきますね」
「あ、あぁ…」

 私はお弁当箱を持つと、職員室に急いだ。
 


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