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第一章 ― 優 ―
なにそれっ!⑤
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「まぁ、存在と噂は知ってるよ。超美形で女を食い散らかしてて、授業に出ないくせに成績はいいといううらやま……いや、評判がよくないヤツだろ? 佐伯妹にとても太刀打ちできるヤツじゃないから止めとけ」
「だから、違いますって!」
精悍な顔つきで、スポーツマンだから割とモテるはずの森さんからしてもそんな評価なのね、遥斗先輩は。
「なんで授業に出ないか知ってます?」
「んー? なんかクラスで女とトラブルになって、出にくくなったって聞いたけど? ストーカーみたいなのがいて、冷たく断ったらリストカットして……」
「えっ!」
「いや、怪我は大したことなかったみたいで、相手は今も普通に来てるらしいけど。そういえば、なんで久住の方が出なくなったんだろうな」
ここでも女性のトラブルなんだ。
美形も大変ね……。
私はため息をついた。
「それで久住がどうしたんだ?」
「んー、よくわかんないんです」
「なんだ、それ」
あきれたような森さんに、だって……と膨れる。
遥斗先輩の個人的なことを話すのもどうかと思うし、それに繋がる話だから、お弁当を提供している話もあまりしたくない。
「うぅ、強いて言えば、私がおせっかいで、おせっかいを止められないって話です」
「ふーん。なんかよくわからないけど、止められないなら、思いっきりやればいいんじゃないか? お前のおせっかいに救われることもあるさ」
森さんはポンポンと私の頭を叩く。
「そうかな?」
「救われないこともあるかもしれないけど」
「もー、そこはそうだって断言してくださいよ!」
バンバン森さんを叩いて、怒る。
ハハッと笑って、森さんは言った。
「思うようにやればいいんじゃないか? 後悔先に立たずって言うし。やらないで後悔するより、やって後悔する方がいい。佐伯妹はそういうタイプだろ?」
意外と私の性格をわかってて驚く。
いつの間に見抜かれていたんだろう?
そっか、なんでもやらないよりはマシ!
私はまさにそういうタイプだ。
私が落ち着いたのを見て、森さんはよっと立ち上がった。
「いけね、戻らないといけないんだった」
最後にまたポンと頭を叩いて、「まぁ、頑張れよ!」と森さんは急いで走っていった。
後悔先に立たず、か……。
本当にそうだよね。やれることをやろう。
どうせ私は偽善者、自己満足の塊なんだから。嫌がられたって、遥斗先輩が倒れたり病気になるよりましだわ。
気を取り直して、今度こそ家に向かった。
家に帰って、スマホでお兄ちゃんに連絡を取る。
『こないだ言っていた手作りサイトで稼いでいる知り合いを紹介して』
『おー、いいぞ。いつがいい?』
ちょうどスマホを見ていたのか、秒で返ってくる。
『週末ならいつでもいいけど』
『じゃあ、聞いておく!』
『ありがと!』
私はペンギンがペコリとしているスタンプを押した。
「だから、違いますって!」
精悍な顔つきで、スポーツマンだから割とモテるはずの森さんからしてもそんな評価なのね、遥斗先輩は。
「なんで授業に出ないか知ってます?」
「んー? なんかクラスで女とトラブルになって、出にくくなったって聞いたけど? ストーカーみたいなのがいて、冷たく断ったらリストカットして……」
「えっ!」
「いや、怪我は大したことなかったみたいで、相手は今も普通に来てるらしいけど。そういえば、なんで久住の方が出なくなったんだろうな」
ここでも女性のトラブルなんだ。
美形も大変ね……。
私はため息をついた。
「それで久住がどうしたんだ?」
「んー、よくわかんないんです」
「なんだ、それ」
あきれたような森さんに、だって……と膨れる。
遥斗先輩の個人的なことを話すのもどうかと思うし、それに繋がる話だから、お弁当を提供している話もあまりしたくない。
「うぅ、強いて言えば、私がおせっかいで、おせっかいを止められないって話です」
「ふーん。なんかよくわからないけど、止められないなら、思いっきりやればいいんじゃないか? お前のおせっかいに救われることもあるさ」
森さんはポンポンと私の頭を叩く。
「そうかな?」
「救われないこともあるかもしれないけど」
「もー、そこはそうだって断言してくださいよ!」
バンバン森さんを叩いて、怒る。
ハハッと笑って、森さんは言った。
「思うようにやればいいんじゃないか? 後悔先に立たずって言うし。やらないで後悔するより、やって後悔する方がいい。佐伯妹はそういうタイプだろ?」
意外と私の性格をわかってて驚く。
いつの間に見抜かれていたんだろう?
そっか、なんでもやらないよりはマシ!
私はまさにそういうタイプだ。
私が落ち着いたのを見て、森さんはよっと立ち上がった。
「いけね、戻らないといけないんだった」
最後にまたポンと頭を叩いて、「まぁ、頑張れよ!」と森さんは急いで走っていった。
後悔先に立たず、か……。
本当にそうだよね。やれることをやろう。
どうせ私は偽善者、自己満足の塊なんだから。嫌がられたって、遥斗先輩が倒れたり病気になるよりましだわ。
気を取り直して、今度こそ家に向かった。
家に帰って、スマホでお兄ちゃんに連絡を取る。
『こないだ言っていた手作りサイトで稼いでいる知り合いを紹介して』
『おー、いいぞ。いつがいい?』
ちょうどスマホを見ていたのか、秒で返ってくる。
『週末ならいつでもいいけど』
『じゃあ、聞いておく!』
『ありがと!』
私はペンギンがペコリとしているスタンプを押した。
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