全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

文字の大きさ
42 / 171
第一章 ― 優 ―

光が明るい①

しおりを挟む
 翌日のお弁当は、鰆の塩焼き、和風ハンバーグ、レンコンとひじきの煮物。
 ほとんど昨日の夕食の残りだ。
 お母さんはすっかり私に料理を仕込むことにしたらしく、昨夜は煮物の極意を教わった。
 最初に砂糖を入れて煮込むと味が染みて美味しくなるんだって。
 また全体的に茶色く地味になったから、ニンジンの花とブロッコリーで彩りを出す。
 デザートにはイチゴとバナナのフルーツミックス。

 うんうん、いい感じ!

 なかなか満足な出来映えに、ほくそ笑む。

「それじゃあ、行ってくるね!」
「行ってらっしゃい」

 外に出ると皐月晴れの空がキラキラまぶしい。
 
「いい天気ー!」

 私は気持ちよくて目を細めた。
 遥斗先輩も屋内ばかりにいないで、外で写生でもすればいいのに。土日とかにしているのかな?
 日に当たってなさそうで色白な遥斗先輩と、健康的に日に焼けて色黒な森さんを思い出す。
 対照的よねー。
 遥斗先輩は運動とかしなさそうだし。

 そんなことを考えながら歩いていくと、すぐ学校に着いた。
 すっかり日課になった部室へ直行する。



「おはようございます!」

 単純な性格なので、一晩寝れば、気持ちもリセットされる。
 昨日は、遥斗先輩も私の負担を思って言ってくれたんだろうに、感情的になって、悪かったなぁなんて思う。

「……おはよう」

 遥斗先輩がぼそっと挨拶をしてくれる。
 綺麗な流し目で私を観察するように見た。

「今日のお弁当は和がテーマです。ハンバーグも和風なんですよ! ひじきも入っているから、しっかり鉄分摂ってくださいね」
「ありがとう」
「いいえー、私もおかげで女子力上がりまくりですから」
「……女子力」

 遥斗先輩の口角がくっと上がった。

「あっ、笑った! 今、笑ったでしょ? 失礼だなー」

 口を尖らせると、先輩はなんかツボに入ったようで、くくっという笑いから堪えきれなくなったのか、アハハハッと声をあげて笑った。
 口に手をあて、お腹を押さえて笑う姿なんて初めて見た。

 私は目を丸くして、見入ってしまった。

「……女子力って、お前と対極な言葉だな」

 まだ笑いの気配を残しながら、先輩が言った。

「どーせ、色気ないですよ!」
「そうだな、まったくない」

 膨れる私に、遥斗先輩は断言して、また笑った。

 やっぱり美形の笑顔は心臓に悪い……。
 無駄にドキドキするじゃんか!
 まぁ、先輩が楽しそうでいいけど。

「もー! じゃあ、私は行きますね。また夕方」
「あぁ」

 


 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...