全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

文字の大きさ
51 / 171
第一章 ― 優 ―

魔法みたい③

しおりを挟む
「お母さーん、見て見て!」

 家に着くと、リビングに駆け込んだ。

「どうしたの?」

 騒がしいわねーと、キッチンでお母さんが振り向いた。
 私は、描いてもらった絵を掲げて、お母さんに見せる。
 それを見たお母さんは息を呑んだ。

「すごい……! 例の先輩が描いたの?」
「そうなの! 素敵でしょ?」
「本当にいいわ。リビングに飾りたいくらい」
「でしょー! お母さんだったらいくらで買う?」

 ちょうどいいから値付けの目安に聞いてみる。
 私が聞くと、お母さんは改めてしげしげと絵を見つめて首を傾げた。

「うーん、いくらかなー。2000円だったら買うかな。額なしの一枚絵だからなー。でも、5000円って値段がついてても違和感はないし、うっかり買っちゃうかも」

 お母さんは現実的な値段を言った。
 そっか、額がないと安く見えちゃうかな。

「ネットで売るつもりなの」
「あぁ、正信さんが言っていた話ね」
「そう。ネットだと、見栄えをよくしないといけないよね。額を買ってくるかなー」
「買ってこなくても、まずはうちにあるのを試してみたら?」
「そうだね。どこにある?」
「物置だけど、お母さんも行くわ」

 私たちは物置からいくつか額を取り出して、絵にあててみた。
 お母さんはこういう装飾品が好きだから、意外といっぱいある。
 ちょうどいいものがあった。

「これ高見えしていいね」
「そうね。でも、額付きで販売するの? 額を用意するの大変じゃない?」
「うん、だから額なしにする予定」
「額がないのに額付き写真を載せたら紛らわしいんじゃない?」
「そういえばそうだね。………なんか考えることいっぱいあるね。来週お兄ちゃんが詳しい人を紹介してくれるから聞いてみる」
「それがいいわね。とりあえず、この絵はお母さんが買いたいわ」

 この額に入れたまま飾りたいらしい。
 お客様第一号だわ。

「じゃあ、本当はもっと高いんだけど、家族割で2000円いただきます」
「家族割があるのね。はい。先輩に渡してね」

 お母さんは笑いながら封筒に2000円を入れてくれた。
 もっと高くしてもよかったかな?なんて思いながら受け取る。
 相場が全然わからない。

「あ、そうだ、他にもいっぱい描いてもらったのよ。見る?」
「えー、後出しなんてずるい! 他にも欲しくなったらどうしてくれるのよ」
「買ってくれたらいいんだよ」

 私はにやにやしながら、デジカメの画面を見せた。
 
「あー、これもいい、あ、こっちも。えー、最後の花束の絵、すっごく好き」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~

root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。 そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。 すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。 それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。 やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」 美人生徒会長の頼み、断れるわけがない! でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。 ※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。 ※他のサイトにも投稿しています。 イラスト:siroma様

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

処理中です...