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第一章 ― 優 ―
魔法みたい③
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「お母さーん、見て見て!」
家に着くと、リビングに駆け込んだ。
「どうしたの?」
騒がしいわねーと、キッチンでお母さんが振り向いた。
私は、描いてもらった絵を掲げて、お母さんに見せる。
それを見たお母さんは息を呑んだ。
「すごい……! 例の先輩が描いたの?」
「そうなの! 素敵でしょ?」
「本当にいいわ。リビングに飾りたいくらい」
「でしょー! お母さんだったらいくらで買う?」
ちょうどいいから値付けの目安に聞いてみる。
私が聞くと、お母さんは改めてしげしげと絵を見つめて首を傾げた。
「うーん、いくらかなー。2000円だったら買うかな。額なしの一枚絵だからなー。でも、5000円って値段がついてても違和感はないし、うっかり買っちゃうかも」
お母さんは現実的な値段を言った。
そっか、額がないと安く見えちゃうかな。
「ネットで売るつもりなの」
「あぁ、正信さんが言っていた話ね」
「そう。ネットだと、見栄えをよくしないといけないよね。額を買ってくるかなー」
「買ってこなくても、まずはうちにあるのを試してみたら?」
「そうだね。どこにある?」
「物置だけど、お母さんも行くわ」
私たちは物置からいくつか額を取り出して、絵にあててみた。
お母さんはこういう装飾品が好きだから、意外といっぱいある。
ちょうどいいものがあった。
「これ高見えしていいね」
「そうね。でも、額付きで販売するの? 額を用意するの大変じゃない?」
「うん、だから額なしにする予定」
「額がないのに額付き写真を載せたら紛らわしいんじゃない?」
「そういえばそうだね。………なんか考えることいっぱいあるね。来週お兄ちゃんが詳しい人を紹介してくれるから聞いてみる」
「それがいいわね。とりあえず、この絵はお母さんが買いたいわ」
この額に入れたまま飾りたいらしい。
お客様第一号だわ。
「じゃあ、本当はもっと高いんだけど、家族割で2000円いただきます」
「家族割があるのね。はい。先輩に渡してね」
お母さんは笑いながら封筒に2000円を入れてくれた。
もっと高くしてもよかったかな?なんて思いながら受け取る。
相場が全然わからない。
「あ、そうだ、他にもいっぱい描いてもらったのよ。見る?」
「えー、後出しなんてずるい! 他にも欲しくなったらどうしてくれるのよ」
「買ってくれたらいいんだよ」
私はにやにやしながら、デジカメの画面を見せた。
「あー、これもいい、あ、こっちも。えー、最後の花束の絵、すっごく好き」
家に着くと、リビングに駆け込んだ。
「どうしたの?」
騒がしいわねーと、キッチンでお母さんが振り向いた。
私は、描いてもらった絵を掲げて、お母さんに見せる。
それを見たお母さんは息を呑んだ。
「すごい……! 例の先輩が描いたの?」
「そうなの! 素敵でしょ?」
「本当にいいわ。リビングに飾りたいくらい」
「でしょー! お母さんだったらいくらで買う?」
ちょうどいいから値付けの目安に聞いてみる。
私が聞くと、お母さんは改めてしげしげと絵を見つめて首を傾げた。
「うーん、いくらかなー。2000円だったら買うかな。額なしの一枚絵だからなー。でも、5000円って値段がついてても違和感はないし、うっかり買っちゃうかも」
お母さんは現実的な値段を言った。
そっか、額がないと安く見えちゃうかな。
「ネットで売るつもりなの」
「あぁ、正信さんが言っていた話ね」
「そう。ネットだと、見栄えをよくしないといけないよね。額を買ってくるかなー」
「買ってこなくても、まずはうちにあるのを試してみたら?」
「そうだね。どこにある?」
「物置だけど、お母さんも行くわ」
私たちは物置からいくつか額を取り出して、絵にあててみた。
お母さんはこういう装飾品が好きだから、意外といっぱいある。
ちょうどいいものがあった。
「これ高見えしていいね」
「そうね。でも、額付きで販売するの? 額を用意するの大変じゃない?」
「うん、だから額なしにする予定」
「額がないのに額付き写真を載せたら紛らわしいんじゃない?」
「そういえばそうだね。………なんか考えることいっぱいあるね。来週お兄ちゃんが詳しい人を紹介してくれるから聞いてみる」
「それがいいわね。とりあえず、この絵はお母さんが買いたいわ」
この額に入れたまま飾りたいらしい。
お客様第一号だわ。
「じゃあ、本当はもっと高いんだけど、家族割で2000円いただきます」
「家族割があるのね。はい。先輩に渡してね」
お母さんは笑いながら封筒に2000円を入れてくれた。
もっと高くしてもよかったかな?なんて思いながら受け取る。
相場が全然わからない。
「あ、そうだ、他にもいっぱい描いてもらったのよ。見る?」
「えー、後出しなんてずるい! 他にも欲しくなったらどうしてくれるのよ」
「買ってくれたらいいんだよ」
私はにやにやしながら、デジカメの画面を見せた。
「あー、これもいい、あ、こっちも。えー、最後の花束の絵、すっごく好き」
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