116 / 171
第三章
拒絶①
しおりを挟む
朝、いつものように部室に向かう。
野球部の部室の前を通るとき、身体がちょっと強張った。
昨日は怖かった……。
いきなり大きな男の先輩二人が立ちはだかって、腕を摑まれて。森さんが来てくれなかったら、どうなってたんだろう。
学校のこんな人通りが多いところではなにもないとは思うけど、どこかに連れ込まれていたら……?
あの二人なら簡単に私を抱えていける……。
ブルッと身震いする。
いくら色気がないにしても気をつけよう。
森さんは送ってやるから待ってろと言ったけど、私が大丈夫と言うと、溜め息をついて、ユニホームのまま校門まで送ってくれた。
さっきの二人が出てくる前にそこから離れられて、ほっとして肩の力が抜けた。
『お前さー、久住と噂になってるから気をつけろよ? 』
歩きながら、森さんが言った。
『顔を特定してるのは野球部のやつぐらいだと思うけど。こないだの日曜に久住と一緒に出かけてただろ? 久住はそこにいるだけで目立つやつだし、優はその前に写真も撮ってたから、野球部員の記憶にばっちり残っているんだ』
『そうなんですね……』
噂になることはあるかもとは思っていたけど、あんな風に迫ってこられるとは思っていなかった。
『あんまり頻繁に出入りしないほうがいいんじゃないか?』
『だって、部室だし……』
『そうだな……。まぁ、野球部の連中には俺から言っとくけど、くれぐれも気をつけるんだぞ?』
頭をぽんぽん叩かれる。
『ありがとうございます! なんか森さん、お兄ちゃんみたい』
ふふっと笑うと、『俺にはこんなそそかっしい妹はいない!』とムッとしていた。
そんなことを思い出しながら、ノックして、部室に入る。
今日のお弁当は遥斗先輩の好きなものばかり入れた。
初めて絵が売れたお祝いに。
今日はなにが気に入ったって言ってくれるかな?
「おはよーございます、遥斗先輩!」
イーゼルの前に佇む先輩に挨拶をする。
いつもは返事が返ってくるのに、先輩は無言で振り向いた。
とても硬い表情だった。
「遥斗先輩?」
どうしたんだろう?
なにかあったのかな?
私が見つめると、先輩はグッと目に力を入れて睨んだ。
「お前、もうここには来るな。弁当もいらない」
「え?」
「俺は落ち着いて絵を描きたいんだ。お前にうろちょろされると迷惑だ。もう絵が売れるのはわかったし、お前には用はない。もう来ないでくれ」
冷たく私を見据えて言い放つ。
その怜悧な眼差しに、私は凍りついた。
なにを言われているのかわからない。
野球部の部室の前を通るとき、身体がちょっと強張った。
昨日は怖かった……。
いきなり大きな男の先輩二人が立ちはだかって、腕を摑まれて。森さんが来てくれなかったら、どうなってたんだろう。
学校のこんな人通りが多いところではなにもないとは思うけど、どこかに連れ込まれていたら……?
あの二人なら簡単に私を抱えていける……。
ブルッと身震いする。
いくら色気がないにしても気をつけよう。
森さんは送ってやるから待ってろと言ったけど、私が大丈夫と言うと、溜め息をついて、ユニホームのまま校門まで送ってくれた。
さっきの二人が出てくる前にそこから離れられて、ほっとして肩の力が抜けた。
『お前さー、久住と噂になってるから気をつけろよ? 』
歩きながら、森さんが言った。
『顔を特定してるのは野球部のやつぐらいだと思うけど。こないだの日曜に久住と一緒に出かけてただろ? 久住はそこにいるだけで目立つやつだし、優はその前に写真も撮ってたから、野球部員の記憶にばっちり残っているんだ』
『そうなんですね……』
噂になることはあるかもとは思っていたけど、あんな風に迫ってこられるとは思っていなかった。
『あんまり頻繁に出入りしないほうがいいんじゃないか?』
『だって、部室だし……』
『そうだな……。まぁ、野球部の連中には俺から言っとくけど、くれぐれも気をつけるんだぞ?』
頭をぽんぽん叩かれる。
『ありがとうございます! なんか森さん、お兄ちゃんみたい』
ふふっと笑うと、『俺にはこんなそそかっしい妹はいない!』とムッとしていた。
そんなことを思い出しながら、ノックして、部室に入る。
今日のお弁当は遥斗先輩の好きなものばかり入れた。
初めて絵が売れたお祝いに。
今日はなにが気に入ったって言ってくれるかな?
「おはよーございます、遥斗先輩!」
イーゼルの前に佇む先輩に挨拶をする。
いつもは返事が返ってくるのに、先輩は無言で振り向いた。
とても硬い表情だった。
「遥斗先輩?」
どうしたんだろう?
なにかあったのかな?
私が見つめると、先輩はグッと目に力を入れて睨んだ。
「お前、もうここには来るな。弁当もいらない」
「え?」
「俺は落ち着いて絵を描きたいんだ。お前にうろちょろされると迷惑だ。もう絵が売れるのはわかったし、お前には用はない。もう来ないでくれ」
冷たく私を見据えて言い放つ。
その怜悧な眼差しに、私は凍りついた。
なにを言われているのかわからない。
0
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる