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第三章
嫌な予感①
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その日は休み時間のたびに、教室移動のたびに、写真のことを聞かれて、二言目には遥斗先輩のことを聞かれた。
「菜摘ちゃん、私、すごーく嫌な予感がするんだけど……」
「うん、私も。取りあえず、久住先輩のことは知り合いぐらいで通しておいた方がいいよ」
朝クラスメイトに答えた以外は、ただ知り合いとだけ答えていた。だって、詳しく聞かれるといろんなことを説明しないといけなくなるから。
放課後は部室に急いだ。
こういうときに限って、ホームルームが長引いて遅くなる。
「きゃー、ほんとにいた!」
「すごいかっこよかったねー!」
「でも、無愛想だった」
「あれだけ顔が良ければいいんじゃない?」
興奮気味の女の子たちとすれ違う。
わー、やっぱり嫌な予感。
部室をノックして開けようとすると、鍵がかかっている。
「あれ? 遥斗先輩? 留守?」
声をかけると、ガチャとドアが開いた。
うんざりしたような遥斗先輩が出てくる。
私が中に入ると、すぐ鍵をかけた。
「今度は優でよかった……」
はぁっと溜め息をついて、先輩は椅子に座り込む。
「どうしたんですか?」
うすうす察していたけど、一応聞いてみる。
「今日は休み時間のたびにノックされて──ノックさえもされないときもあったが──俺の顔を見に来たり、いきなり写真を撮ったりされたんだ。うざかったから鍵をかけていたんだが、さっきノックされて、優かと思ってうっかり開けたら、取り囲まれて……」
また疲れたように溜め息をついて、額に手を当てる。
そんな仕草も色っぽいから、女の子たちがキャーキャー騒ぐ気持ちもわかるけど、マナー違反な子たちが多そう。遥斗先輩からしたらたまったもんじゃないだろうな……。
「ごめんなさい。たぶん、私のせいです……」
そう言うと、遥斗先輩は顔にかかった前髪の間からちらりと私を見た。
うーん、写真に撮りたいぐらいセクシーだわ。
改めて見ると、先輩は綺麗な顔だけじゃなくて、なんだか嫣然とした魅力があるのよね。
だから、変なのが寄ってきちゃうのかも。
そんなことを思いながら、説明する。
「こないだ話したコンクールの受賞した写真が、市の広報誌に載ったらしくて、それを見た子たちが騒いでて……」
「あぁ、あれか」
納得したように頷いて、顔をしかめる。
「ご、ごめんなさい。こんなことになるとは思ってなくて」
「いや、いい。お前のせいじゃないだろ」
「でも、私がコンクールに出さなければ……」
「俺がモデルを了承したんだ。その代わり、優はずっと弁当を作ってくれていただろ?」
いつの間にか、逆に先輩に慰められていた。
「ずっと鍵をかけて居留守をつかっていればいいさ。お前が来たら開けてやる」
「すみません」
「謝るな。そのうち飽きるさ」
ぽんぽんと頭を叩かれた。
一過性のことだといいんだけど。
「それよりテストはできたのか?」
先輩が話題を変えてくれる。
「はいっ! 先輩のおかげで、数学はばっちりです! テストが返ってくるのが楽しみなんて初めてです」
うれしくてニコニコしてしまう。
「お礼に週末になにか作ってきますよ。なにがいいですか?」
「またお前はそうやって俺を甘やかそうとする」
「だって、作りたいんですもん! なにかリクエストしてくださいよ!」
聞くまで一歩も引かないとばかりに見つめると、先輩は苦笑して、「じゃあ、こないだのホットケーキ」と言った。
気に入ったんだ!
甘いもの好きな先輩ってかわいい。
ふふっと笑って、「りょーかいです」と答えた。
「菜摘ちゃん、私、すごーく嫌な予感がするんだけど……」
「うん、私も。取りあえず、久住先輩のことは知り合いぐらいで通しておいた方がいいよ」
朝クラスメイトに答えた以外は、ただ知り合いとだけ答えていた。だって、詳しく聞かれるといろんなことを説明しないといけなくなるから。
放課後は部室に急いだ。
こういうときに限って、ホームルームが長引いて遅くなる。
「きゃー、ほんとにいた!」
「すごいかっこよかったねー!」
「でも、無愛想だった」
「あれだけ顔が良ければいいんじゃない?」
興奮気味の女の子たちとすれ違う。
わー、やっぱり嫌な予感。
部室をノックして開けようとすると、鍵がかかっている。
「あれ? 遥斗先輩? 留守?」
声をかけると、ガチャとドアが開いた。
うんざりしたような遥斗先輩が出てくる。
私が中に入ると、すぐ鍵をかけた。
「今度は優でよかった……」
はぁっと溜め息をついて、先輩は椅子に座り込む。
「どうしたんですか?」
うすうす察していたけど、一応聞いてみる。
「今日は休み時間のたびにノックされて──ノックさえもされないときもあったが──俺の顔を見に来たり、いきなり写真を撮ったりされたんだ。うざかったから鍵をかけていたんだが、さっきノックされて、優かと思ってうっかり開けたら、取り囲まれて……」
また疲れたように溜め息をついて、額に手を当てる。
そんな仕草も色っぽいから、女の子たちがキャーキャー騒ぐ気持ちもわかるけど、マナー違反な子たちが多そう。遥斗先輩からしたらたまったもんじゃないだろうな……。
「ごめんなさい。たぶん、私のせいです……」
そう言うと、遥斗先輩は顔にかかった前髪の間からちらりと私を見た。
うーん、写真に撮りたいぐらいセクシーだわ。
改めて見ると、先輩は綺麗な顔だけじゃなくて、なんだか嫣然とした魅力があるのよね。
だから、変なのが寄ってきちゃうのかも。
そんなことを思いながら、説明する。
「こないだ話したコンクールの受賞した写真が、市の広報誌に載ったらしくて、それを見た子たちが騒いでて……」
「あぁ、あれか」
納得したように頷いて、顔をしかめる。
「ご、ごめんなさい。こんなことになるとは思ってなくて」
「いや、いい。お前のせいじゃないだろ」
「でも、私がコンクールに出さなければ……」
「俺がモデルを了承したんだ。その代わり、優はずっと弁当を作ってくれていただろ?」
いつの間にか、逆に先輩に慰められていた。
「ずっと鍵をかけて居留守をつかっていればいいさ。お前が来たら開けてやる」
「すみません」
「謝るな。そのうち飽きるさ」
ぽんぽんと頭を叩かれた。
一過性のことだといいんだけど。
「それよりテストはできたのか?」
先輩が話題を変えてくれる。
「はいっ! 先輩のおかげで、数学はばっちりです! テストが返ってくるのが楽しみなんて初めてです」
うれしくてニコニコしてしまう。
「お礼に週末になにか作ってきますよ。なにがいいですか?」
「またお前はそうやって俺を甘やかそうとする」
「だって、作りたいんですもん! なにかリクエストしてくださいよ!」
聞くまで一歩も引かないとばかりに見つめると、先輩は苦笑して、「じゃあ、こないだのホットケーキ」と言った。
気に入ったんだ!
甘いもの好きな先輩ってかわいい。
ふふっと笑って、「りょーかいです」と答えた。
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