139 / 171
第三章
嫌な予感②
しおりを挟む
遥斗先輩はそのうち飽きるって言っていたけど、翌日はさらにフィーバーしていた。
噂を聞いた子が家で広報誌を見て、先輩を見に行った子がまた噂して……とどんどん話が広まっていった。
私もあれこれ知らない人にまで聞かれるようになって、なんて答えていいか困った。
菜摘ちゃんとさやちゃんが適当に捌いてくれるのが本当に助かった。
先輩のもとにもひっきりなしに誰かが来ていたようで、放課後に寄ったときにはげんなりしていた。
私がいる間も、トントンと何度もノックの音がして、これが続いたら、ノイローゼになりそうと思った。
「先輩、大丈夫ですか? 思ったよりひどいですね」
「まぁ、なんとかな。明日は土曜だから、さすがに来ないだろう。土日が過ぎれば少しはマシになるんじゃないか?」
願望も込めて先輩が言う。
「そうだといいですね」
週末は、約束のホットケーキを持ってきて、先輩と一緒に食べた。
土曜日までここに押しかける子はいなくて、ほっとする。
これで落ち着いてくれるといいなぁ。
そう思ったけど、甘かった。
週明けは、どこで聞いたのか、写真同好会に入りたいという子が殺到した。
どうやら遥斗先輩がずっと鍵をかけて居留守をつかっているから会えなくて、代わりに私のところに来たらしい。
『会員は募集していない』と丁重にお断りすると、みんな不満げに去っていった。
そのうち、通りすがりにコソコソ話されるようになって、とってもイヤな感じ。
友達がそばにいるときはいいけど、一人でいるときなんかはちょっと怖い。
なんで女の子って群れると凶悪になるんだろう?
部室に行くときにはキョロキョロ辺りを見回すようになっちゃった。
一度、集団に囲まれて責めたてられているところを通りすがりの森さんに助けられた。
「お前、久住に関わってから、碌なことないな」って言われたけど、「遥斗先輩は悪くないです!」と答えたら、呆れた顔をされた。
はぁっ。
これっていつまで続くのかな?
部室に行くと、遥斗先輩も疲れていた。
なぜかカーテンが閉まっている。
「どうしてカーテンを閉めているんですか?」
私が聞くと、心底うんざりした顔で、先輩は答えた。
「窓から忍び込まれそうになった」
「え、だって、ここ2階……」
「あぁ、隣の部屋から伝って覗こうとしていたから、慌ててカーテンを閉めたんだ」
想像して、思わずゾクッとする。
それは気持ちが悪すぎる。
「はぁ……。俺の周りにはなんでこんな女しかいないんだろうな」
暗い目で先輩がつぶやくから、煩わせている女の子みんなに腹が立ってくる。
私が怒りで黙り込んでいると、先輩が誤解したようで、私の頭をなでた。
「あぁ、お前は違うぞ? 優は安心できる」
そんな風に言われて微笑まれて、うれしいけど、切なくなった。
先輩にとっては、私は女ではなくただの安全牌なんだろうなぁ。
「はい、安心してください。私はストーカーにはなりませんから」
「いや、来るなと言ってもここに来てたけどな。ある意味、一番しつこい」
先輩がからかうように言った。
「しつこいって、ひどい!」
膨れた私をまた先輩がなでた。
噂を聞いた子が家で広報誌を見て、先輩を見に行った子がまた噂して……とどんどん話が広まっていった。
私もあれこれ知らない人にまで聞かれるようになって、なんて答えていいか困った。
菜摘ちゃんとさやちゃんが適当に捌いてくれるのが本当に助かった。
先輩のもとにもひっきりなしに誰かが来ていたようで、放課後に寄ったときにはげんなりしていた。
私がいる間も、トントンと何度もノックの音がして、これが続いたら、ノイローゼになりそうと思った。
「先輩、大丈夫ですか? 思ったよりひどいですね」
「まぁ、なんとかな。明日は土曜だから、さすがに来ないだろう。土日が過ぎれば少しはマシになるんじゃないか?」
願望も込めて先輩が言う。
「そうだといいですね」
週末は、約束のホットケーキを持ってきて、先輩と一緒に食べた。
土曜日までここに押しかける子はいなくて、ほっとする。
これで落ち着いてくれるといいなぁ。
そう思ったけど、甘かった。
週明けは、どこで聞いたのか、写真同好会に入りたいという子が殺到した。
どうやら遥斗先輩がずっと鍵をかけて居留守をつかっているから会えなくて、代わりに私のところに来たらしい。
『会員は募集していない』と丁重にお断りすると、みんな不満げに去っていった。
そのうち、通りすがりにコソコソ話されるようになって、とってもイヤな感じ。
友達がそばにいるときはいいけど、一人でいるときなんかはちょっと怖い。
なんで女の子って群れると凶悪になるんだろう?
部室に行くときにはキョロキョロ辺りを見回すようになっちゃった。
一度、集団に囲まれて責めたてられているところを通りすがりの森さんに助けられた。
「お前、久住に関わってから、碌なことないな」って言われたけど、「遥斗先輩は悪くないです!」と答えたら、呆れた顔をされた。
はぁっ。
これっていつまで続くのかな?
部室に行くと、遥斗先輩も疲れていた。
なぜかカーテンが閉まっている。
「どうしてカーテンを閉めているんですか?」
私が聞くと、心底うんざりした顔で、先輩は答えた。
「窓から忍び込まれそうになった」
「え、だって、ここ2階……」
「あぁ、隣の部屋から伝って覗こうとしていたから、慌ててカーテンを閉めたんだ」
想像して、思わずゾクッとする。
それは気持ちが悪すぎる。
「はぁ……。俺の周りにはなんでこんな女しかいないんだろうな」
暗い目で先輩がつぶやくから、煩わせている女の子みんなに腹が立ってくる。
私が怒りで黙り込んでいると、先輩が誤解したようで、私の頭をなでた。
「あぁ、お前は違うぞ? 優は安心できる」
そんな風に言われて微笑まれて、うれしいけど、切なくなった。
先輩にとっては、私は女ではなくただの安全牌なんだろうなぁ。
「はい、安心してください。私はストーカーにはなりませんから」
「いや、来るなと言ってもここに来てたけどな。ある意味、一番しつこい」
先輩がからかうように言った。
「しつこいって、ひどい!」
膨れた私をまた先輩がなでた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~
桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。
高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。
見知らずの後輩である自分になぜと思った。
でも、ふりならいいかと快諾する。
すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる