全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―

入海月子

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第三章 

誤解しちゃうよ?②

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 あれからちょこちょこ売れているようで、だいぶ売り切れが目立ってきた。

「今からだとベタにヒマワリか?」
「そうですねー」

 頷いてみたものの、個人的にはそんなに好きな花ではない。よくヒマワリが似合うと言われるんだけどね。
 本当はもっと繊細な花に例えられたいという願望があるのかもしれない。

「なんだ。好きじゃないのか?」

 私の顔色を読んで、先輩が言う。
 本当に私って顔に出過ぎだわ……。

「うーん、好きな人も多いと思うから、アリだと思います。あとは……」

 スマホで『夏の花』と検索してみる。

「あっ、ハイビスカス! なるほどねー。そうだ、夏の花と言えるかどうかわからないんですが、ブーゲンビリア好きなんですよねー」
「ブーゲン……?」

 先輩がスマホを覗き込んでくる。
 花の写真を見せながら言う。

「沖縄でよく咲いている花です。ピンクや赤、白とか色とりどりで華やかなんですよ」
「あぁ、綺麗だな」
「へー、変わり種で月下美人なんてのもありますよ。これも繊細で綺麗な花ですよね。名前も素敵だし、一晩しか咲かないなんてロマンチック。これなんて良くないですか?」
「なるほど、これは描いてみたくなるな」
「遥斗先輩の描く月下美人、見てみたいです!」

 そんなことを言っているとあっという間に家に着いてしまう。
 
「ありがとうございました」
「いや。じゃあ、またな」
「はい。気をつけて帰ってくださいね」

 戻っていく先輩の後ろ姿を見えなくなるまで見送った。

 
 

 翌日、休み時間に、クラスの女の子から聞かれた。

「ねぇねー、例の先輩と付き合い出したってほんと?」
「えぇっ!」

 私は突拍子もない声をあげてしまった。

「ち、違うよ! なんでそんなこと……?」
「違うのー? すごい噂だよ」
「えー、どんなどんな?」

 さやちゃんが興味津々に寄ってきた。

「うーんとね、その先輩が佐伯さんのことを抱きしめてキスしてたとかー」

 あのときのことか! ま、まぁ、言葉としては合ってる。キスはほっぺただけどね。

「あと、ノックしたら出てきてくれるようになったんだけど、対応が超塩で、冷たく追い返されるのに、『優には手を出すな』なんて言うんだって。なんかキュンとするよね?」
「え、なにそれ?」

 聞いてない。なにそれ、聞いてないよ、先輩ー!

「うわぁ、優、愛されてるじゃん!」

 なにか方法を考えるって言ってくれてたけど、これなの?
 前から思っていたけど、先輩ってばストレートすぎるよ!

 「そんなんじゃないよ」と否定しながらも、赤くなってしまう。

 もう、先輩! そういうところだよ! 私が本気にしたらどうするの? もうっ!

 わかってる。先輩が一生懸命私を守ってくれようとしているのは。
 でも、あらぬ誤解を受けてるよ?
 いいの?

「ちょっと、優! 思い当たることがありそうじゃん。私、聞いてないよ?」

 さやちゃんが耳打ちしてくる。
 そのまま廊下に引っ張っていかれて、「観念して白状しろー!」と脅される。
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