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第壱章:下克上国王親娘とロートル魔道士
9.魔道士ウェルズビル(6)
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「は、はち、八十年も前ってどういうことなのよ! よく、そんなので魔道士なんて看板出せたわね! うちの果樹園の木をダメにしたのも当たり前だわ! そんなんで異界から救世主を召喚できるというのよ! 本当にねえ!」
エルザ=ナオミはおもわずウェルズビルを押し倒して馬乗りになっていた。彼女はお姫様になったということを忘れてしまったようだ。そしてこう罵った。
「あんたねえ、銀貨を十万枚も受け取るんでしょ! これって私が稼いだものじゃないけど王国の人たちが長年貯めてきた大切なお金じゃないのよ! それを使うんだから、どうにかしてちょうだいよ!」
そこまで言ったところで今度はウェルズビルを抱きしめて涙を流していた。その時、自分が何をしに来たのかを自覚したようだ。
「あの骸骨騎士団には・・・あたいが作った果物を買っていった人も・・・幼馴染も・・・みんなみんな殺されたのよ! 死んでいった人たちを戻してとは言わないわ。これ以上誰かが犠牲になるのを防いでほしいのよ・・・だから、御願い!」
そう言っていた時、父親のガイル三世は二人の横に立って、ある物を差し出した。それは彼が国王として最初に書いた勅書だった。ウェルズビルに対する召喚するための契約の書だった。
「魔道士ウェルズビル殿、御願いします。私はまだ国王になったばかりですし、もうじき骸骨騎士団によって滅ぼされる運命かもしれません。それでも滅ぼされる前に出来る事をしたいのです! それにしても・・・エルザ=ナオミ! いいかげんにしろ! まだ嫁にも行っていない娘が男に跨るなんて・・・はしたない!」
そう言われはっとした彼女は事もあろうにウェルズビルを突き飛ばした。それに驚いたルドルフが駆け寄ってみると、少し顔がにやけていた。どうやら若い娘に抱きつかれ満更でもない様子だった。
「魔道士様! 召喚の儀式を早くしてください! 次の大の月が満月になる前に救世主の準備が出来ていないと、地獄門が開いてしまいます! あと二日しかないんですよ! 結構かかるんでしょ召喚の儀式は!」
ルドルフはエルザ=ナオミの温もりの余韻に浸っているウェルズビルを抱え起こした。彼の顔はどうせ起こしてくれるのなら王太子のじゃじゃ馬娘にしてもらった方が良かったなという顔をしていた。こんなので役に立つというのか?
エルザ=ナオミはおもわずウェルズビルを押し倒して馬乗りになっていた。彼女はお姫様になったということを忘れてしまったようだ。そしてこう罵った。
「あんたねえ、銀貨を十万枚も受け取るんでしょ! これって私が稼いだものじゃないけど王国の人たちが長年貯めてきた大切なお金じゃないのよ! それを使うんだから、どうにかしてちょうだいよ!」
そこまで言ったところで今度はウェルズビルを抱きしめて涙を流していた。その時、自分が何をしに来たのかを自覚したようだ。
「あの骸骨騎士団には・・・あたいが作った果物を買っていった人も・・・幼馴染も・・・みんなみんな殺されたのよ! 死んでいった人たちを戻してとは言わないわ。これ以上誰かが犠牲になるのを防いでほしいのよ・・・だから、御願い!」
そう言っていた時、父親のガイル三世は二人の横に立って、ある物を差し出した。それは彼が国王として最初に書いた勅書だった。ウェルズビルに対する召喚するための契約の書だった。
「魔道士ウェルズビル殿、御願いします。私はまだ国王になったばかりですし、もうじき骸骨騎士団によって滅ぼされる運命かもしれません。それでも滅ぼされる前に出来る事をしたいのです! それにしても・・・エルザ=ナオミ! いいかげんにしろ! まだ嫁にも行っていない娘が男に跨るなんて・・・はしたない!」
そう言われはっとした彼女は事もあろうにウェルズビルを突き飛ばした。それに驚いたルドルフが駆け寄ってみると、少し顔がにやけていた。どうやら若い娘に抱きつかれ満更でもない様子だった。
「魔道士様! 召喚の儀式を早くしてください! 次の大の月が満月になる前に救世主の準備が出来ていないと、地獄門が開いてしまいます! あと二日しかないんですよ! 結構かかるんでしょ召喚の儀式は!」
ルドルフはエルザ=ナオミの温もりの余韻に浸っているウェルズビルを抱え起こした。彼の顔はどうせ起こしてくれるのなら王太子のじゃじゃ馬娘にしてもらった方が良かったなという顔をしていた。こんなので役に立つというのか?
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