ヘレンと奈津 -老婆から転生して主人とやり直したいと思ったのにあの人は浮気者でした!ー

ジャン・幸田

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弐章:紫水晶ダンジョン杯

26.耳長族の女

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 このダンジョンは魔族たちの巣窟だった。様々な生き物が暮らしていたけどそこが瘴気が立ち上っていたからだ。その瘴気もまたそれらを育んでいた。そのため植物も価値のあるものがはえていた。

 「なんだって、これってハリオロウの奴に売りつけたら一ヶ月毎日宴会が開けるぐらいの金になるじゃねえかよ」

 ルドルフはダンジョンの通風孔からぶら下がるなんか得体のしれない実に興奮していた。どうもそれは高価なものだったらしかった。でも渡された注意書きによれば植物の採取は禁止とあった。だから捕獲して身体の一部を採るのは動物だけだった。でも、ここダンジョンの生き物と言ったら・・・気色悪いし触っただけでも害される毒を持っているものばっかりだった。

 「で、ルドルフさん、私に何を手伝えと?」

 そういうとルドルフは筒をカバンから取り出した。

 「この筒になあ、これから行くところにある針トカゲの針を入れるんだ。だって、そいつは金になるから」

 「金? あなた持って帰って売るつもりなのよ?」

 私は呆れた素振りをした。いくら注意書きに採ったものは「参加賞」として持って帰って良いとあっても、そんな打算づくでやるとはおもっていなかったからだ。そんなのなら難易度の低い奴でもチャレンジすればいいのにと思った。捕まえようと言っている針トカゲは、動きが早く狂暴だったからだ。

 「そうだよ! なにせ慰謝料の支払いに困っているんだ。聞いているんだろう大姉さんに、俺が女たらしだから女をあちらこちらで怒らしているんだと」

 「そうなんだあ・・・」

 私はそこから先を突っ込む気はなかった。私はその時和夫さん以外の男に興味はなかったし、他の男と何かをする事も出来なかった。それが例外中の例外の少女の使命だから。そんな時、さっきルドルフと楽しそうに話していた耳長族の女がやってきた。その女を何故かにらんでいると女の方から私に分かるような言葉でしゃべって来た。

 「あなたがルドルフの相棒なの? 可哀そうだなあルドルフが! そんな女の子のお守人はねえ!」

 なんて失礼な事を言うんだと、私の心の芯は沸騰していた。しかし、いまは我慢するしかなかった。今は競技会の最中、格闘する必要がないのだ。それにしても、特訓してきた意味がなかった。なんのためにこの競技会の為に努力したのか・・・なんでダンジョン巡りなの? なんでアイテム探しなのよ! しかも女たらしの男と一緒だなんて! そんな不満も心の中で吹き上がっていた。

 「まあ、いいじゃねえかよ! それよりもお前はわざわざ来たのは別の目的だろ! そういえばお前の相棒はどこだ?」

 ルドルフは針トカゲを捕まえるための道具が使えるのかどうかを試しながら聞いていた。するとその耳長族の女は深刻そうな顔をした。

 「相棒だけど・・・大変なのよ! ちょっと来てもらえない?」
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