人形娘香奈同居日誌 -早く人間に戻りたい-

ジャン・幸田

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人形娘故郷へ

人形がいる!

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 高速バスは一路西に向かっていた。俺は眠くなっていたが寝付くことが出来なかった。香奈の事が心配だったからだ。乗車しているバスは三列シートで座席それぞれにカーテンが付いている豪華な内装だった。

 もともと予約していたのは安いツワーバスだったが、わざわざ変更したのはそっちは四列シートで左右のどちらかに別の乗客がくる場合が考えられたからだ。そう、男女なので別々のシートにされるからキャンセルしてこっちにしたのだ。この際キャンセル料金など言ってられなかった。

 この時、本当は鉄道の方がよかったかなとも思っていた。まあ身体検査などがある飛行機は問題外だけど鉄道の時はどうなっていたのかと想像していた。この場合は品川駅から新幹線に乗って岡山までいってそこから松山まで特急に乗るというコースになるわけだけど、もし車掌に不審に思われたらどうなる? という危険があった。

 俺はバスで正解だったのかと思ったけど、本当は塩谷准教授に車を手配してもらった方がよかったかと考えていた。実際、准教授は数日あれば手配できると言っていたけど、彼も香奈を研究材料と見ている節があったので、早く東京を離れたかったので断っていた。

 バスは午前三時ごろ新名神から新名阪へと入っていた。その時、バスはどこかのパーキングに停車していた。このバスにはトイレが装備されているので、トイレに乗客が行くための休憩はなく、運転手の交代のみが行われていた。そう、乗客は誰も降ろしてくれないのだ。

 そう考えていると一人の乗客が脇を歩いていた。どうも中年男性のようだったが酔っぱらっているのか千鳥足だった。そして、隣で座っている香奈の席のカーテンをあけてしまった!

  「おい、なんでここに人形が座っているんだ? しかも大きい!」

 そういってその男が香奈の顔を触っているようだった! 俺はまずいと思った。ここで香奈の事がばれるとどうなるのか? まさか着ぐるみを着ていると弁明できても変質者として警察に差し出されたら。そして脱ぎなさいといわれたら・・・そう考えただけで俺はパニックになりそうだった。

 しかし、その男はそのままカーテンを閉めて香奈の前の席に戻っていった。そして小言が聞こえてきた。

 「わし、酔っぱらってしまったのかな? それもこれもなんか勘違いしたのかな? 早く寝よう寝よう」

 その男にバレてはいたようだが、自分が酔いすぎただけと納得したようだった。それにしても生きた心地がしなかった。その男に対し香奈はどう思ったのかな?
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