人形娘香奈同居日誌 -早く人間に戻りたい-

ジャン・幸田

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人形娘故郷へ

これから起きる事は

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 「香奈、私たちがもし死んだあとの事だけど、お前の事が心配なんだ」父が唐突に切り出した。

 「父さん、なんでそんなことを言うの? まだ、そんな歳じゃないのに」

 「いやいや、例えばの話だ。お前は一人っ子だろ。だから頼る兄弟もいないし、それにうちの会社も経営が苦しいだろ。まあ、出来ればお前を大学に上がらせてやるまでは頑張りたいんだがのう。ところで人形娘って言葉しっているか?」

 「ええ!」

 そういった瞬間わたしの身体は大きく成長し、大人の女性になったかと思うと・・・あっというまに人形のようになってしまった。そう現在の人形娘に戻ってしまったのだ。当然、しゃべることが出来なくなってしまった。

 「そうよな。それが現在のお前の姿さ。わしも母さんもばあさんもこの世のものではなくなっているから、どうすることも出来ない。だけど、ひとつだけは言っておく。信ずれば自ずと道は開くものだ。
 だから元の姿に戻れるかもしれないぞ、諦めなければ。でも気を付けてほしいのは智樹君のことだ。あまり危険な目に合わせないようにしてくれよ。一文字食堂の跡取りなんだからな。それと、お前に危険を与える奴だけど、それは・・・」

 そこまで父が言いかけたときに目が覚めてしまった。大事な会話が途中になったのと、もっと母さんとも話をしたかったのにと残念に思わずにはいかなかった。

 わたしは車中を見回していた。車内は高速道路の路面を疾走する振動と乗客の寝息がかすかに聞こえていた。また運転席付近の電光式時計は午前5時前をさし示していた。
 もうすぐ瀬戸大橋を渡るころかな、そうすれば四国に上陸だけど何年ぶりなんだろうかと考えていた。

 取りあえずわたしは南松山にある一文字食堂の迫水の家に居候することになりそうだけど、早いことこの人形娘の姿から脱出したかった。そうしなければ人間として幸せになれないからだ。このまま一生人形として過ごすわけにはいかないと。

 わたしは、そーと隣の席に座る智樹を見た。彼は小さな寝息を立てていた。いままでわたしは彼を男として見たことはなかった。でも、いまは彼を頼るしかなかった。

 それにしても彼と同居して何が起きるのかが不安であった。もしかするとわたしを人形にした奴らに危害を加えられるかもしれなかったからだ。おそらく愛媛に落ち延びてもわたしを連れ戻すことなど簡単な事なのかもしれなかったからだ。もし迫水の家の人たちに危険が及ぶのなら、逃げるしかないだろう。

 これから起きることを思うとわたしは胸が苦しくなった。それにこの人形の殻から抜け出すことが出来るのだろうか? それに、これから起きることは一体・・・
 
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