人形娘香奈同居日誌 -早く人間に戻りたい-

ジャン・幸田

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都会から故郷へ ~Escape from Tokyo~

准教授の家

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 塩谷豊三郎准教授の家の中は研究所そのもののような雰囲気があった。様々な機械や資料などが詰まった棚や収納ケースが並んでいた。どちらかといえば倉庫の中みたいな感じだった。

 「とりあえず君たちはここで休んでくれ。ところで香奈さん、君は食事は必要なのか?」
 そう准教授がいうと香奈は首を縦に振った。

 「それじゃあ、これを飲みたまえ。たぶん君にあうはずだから」

 そういうと、箱の中から大きな筒に入ったものを取り出した。すると香奈は躊躇無くそれに口付けした。

 「准教授、なんでそれを持っているのですか? それって合衆国機兵隊の専用補給食品ではないですか?」
 田河は驚いた声をだしていた。

 「やはりそうか・・・田河君もしっているかもしれないが、わたしの研究室は合衆国国防総省の極秘研究に従事しているのだ。だからパワードスーツ部隊である機兵隊員の関連装備品もあるのだ。そうだろう、機械に覆われたら人間らしい食事など出来ないのだから」

 「それじゃあ、先生は香奈のような犠牲者を出す研究に加担しているわけですか?」
 智樹も田河と同じような声を出した。もしかすると香奈を人形娘にした組織と関係しているのじゃないかと思ったからだ。

 「加担? いや違うね、わたしがやっているのは国のため民のために心身とも奉仕すると誓った軍人の役に立つ装備品に関連した研究だ。
 そこの香奈さんのように意に沿わずに勝手に人形にする技術に加担していないさ。でも人間を切り刻んで機械と一体化する研究をしているのは一緒かもしれんけど」

 智樹は恐ろしくなった。目の前にいる男も香奈を人形にした組織と同類の悪い連中に思えたからだ。しかし、彼じゃないと香奈を人形から人間に戻す事が出来そうも無い事も事実だった。

 「わたしは香奈さんが人間だったときのことは知らない。目の前にいる彼女は美少女着ぐるみを着たレイヤーにしかみえない。しかし、彼女は人間なのは間違いない。さっきのレントゲンで君の身体を見たんだが、君の素顔を見たくなったんだ。
 なるべく早いうちに方法を見つけるから君に協力してもらいたい、いいよね」

 准教授がそういうと香奈はペンで今の思いを筆談した。

 ”わたしも人間に早く戻りたいです。先生、わたしをここから出してください。いまのわたしは自分でも可愛いと思う姿ですけど、その中に閉じ込められておぞましいです。喜怒哀楽を表現できませんし、自由にしゃべれません。はやくどうにかしてください”
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