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(9)人外同士の逢瀬の果てに

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 半魚人と人魚の姿はまさに人外であった。アスカはもうどうにでもなってくれと思っていた。こんなことなら、スズの依頼なんか受けなかったらよかったのにと後悔していた。しかし、身体の方は心とは違い、快楽に溺れる事を受け入れてしまった。心はいやなのに身体は人魚として弄ばれる事を受け入れていた。だから半魚人による逢瀬を楽しんでいた。永遠ともいえるような長く深い快楽の底へと沈んでいった・・・

 結局、何度も撮影を要求されたので、アスカは人魚ゼンタイを脱がしてもらえず、おしっこさえ着たままさせられる恥辱を受けた。それなのにスズは長時間の撮影でも元気いっぱいだった。

 一通りの撮影が終わるとようやく解放してもらえたが、人魚ゼンタイから出された時にはアスカはぐったりしてしまった。身体は疲労感と汗臭さと尿臭さで自分の身体だと思いたくないほどの気色悪さであった。それで、そのまま気を失ってしまった。

 それから何時間たったであろうか、アスカが目を覚ますとまたしても全身が拘束されたかのようになっていた。まさか人魚ゼンタイを着せられた? そう思ったが、歩く事が出来たので違っていた。それで近くにあった鏡をみたら、そこに映っていたのは半魚人の顔だった。

 アスカは戸惑ってしまった、こいつってスズか着ていたものじゃないのよ! これって何なのよ! 理由を聞こうと思ってスズを探していたらベットの上に人魚が座っていた。でも、その人魚はさっきまでアスカが着せられていた人魚ゼンタイではなく、リアルな人魚だった。

 「それって、まさか、なんといったらいいのよ?」

 アスカはなんとなく答えが分かっていた。でも聞かずにいられなかった。

 「ええ、私は人魚になっていたのよ。今までの人間の姿は仮のものだったのよ。これが本当の私なのよ、私は人魚のスズよ」

 スズは自分が人魚だとカミングアウトしたけど、にわかに信じられなかった。

 「それはそうと・・・納得できん! なんで今度は私が半魚人にされなきゃいけないのよ!」

 アスカは全身が不気味な鱗で覆われた半魚人にされて爆発寸前だった。

 「それはね、私たち人魚は最低でも十年に一回は契りを結ばないといけないのよ。でもね、陸にいたら難しいじゃないのよ相手が。本当は海の妖怪なら良いんだけど探すの面倒だし、相手が不安じゃないのよ。出来たら知った相手がいいからね、だからあなたを選んだのよ! アスカ」

 スズはニコニコしていたけど、なんで自分なのよ! アスカは嫌だった。

 「あのね、あたしは女なのよ! 女同士って本当に良いのかって! どうなのよ?」

 「それはね、私が今一番好きなのがあなただからよ! そこらへんの男を半魚人にするよりも良いじゃないかと思ってね。そうそう、いまのあなたの姿はね人魚の呪いをかけているからね。解くためには私とエッチしなさいよ! やり方は昨日私がしたようにすればいいからね、終わったら多分元にもどるからね」

 多分戻るという言い方はいやだったが、とりあえずやるしかないようだった。アスカはスズとエッチし始めた。その光景は半魚人の女が人魚の貞操を奪っているようにしか見えなかった。そのあと人外たちの逢瀬と契りは数日にわたり行われたという。
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