アルテミスの着ぐるみ美少女たち

（７）「アルテミスの美少女たち」のコスプレイベント列車

マリアの着替え（１）

　美少女着ぐるみの中の人が、男というのはよくある話である。当然男が美少女に化けるのであるから、それなりの努力は必要である。中には外見を気にしないという場合もあるが。でも、最低限女の子らしい姿にならないと見るものからすれば気色悪いなんてことにもなりかねない。

　男が着ぐるみでなくても苦労するのは女装することである。最も難しいのはボディラインであろう。顔のところは美少女らしくなるのであるが、問題は体つきである。やはり男と女では体の凸凹が違うからである。だからパッと見中の人が男だ、なんてわかる着ぐるみ美少女も当然ながらいる。

　その点、弘樹はやりやすいかもしれない。なぜならボディーラインが女の子のように細いからだ。それは彼にとってはコンプレックスであるが、着ぐるみを着る時にはメリットにもなる。そんな彼にも問題があった。そう股間の膨らみである。男の場合はどうしても、あそこのラインが目立ってしまうからだ。だからパットをつけたりとかしてごまかす場合を多い。

　弘樹がスタッフから渡されたインナースーツに唖然としていた。それは女の子の体のボディスーツの形をしたウェットスーツみたいであった。

　「これって？」

　「決まっているじゃないのよ、女の子になるからよ。この上に肌タイを着てもらうから」

　アイリス製作所の新製品のそれは、まるで本物の人間の皮のようであった。ただ、あんまりにもリアルすぎて怖い部分があった。それは女の子の胸とあそこだった。

　「でも、どうやって着るのですが？　それに他の娘は着ないでしょ」

　「それは大丈夫！　みんな同じものを着てもらう！　補正下着みたいなものだ。でも、君のは特別さ！　なんだって女の子と同じようにトイレに行けるようになるんだから」

　スタッフの言っていることがわからない弘樹であった。